女優の中条あやみがカヌー選手役に挑戦したのが映画「水上のフライト」(兼重淳監督、11月13日公開)だ。パラカヌーの日本代表選手の実話に着想を得た感動ストーリーで、中条は持ち前の演技力に加え、カヌーを乗りこなす運動能力の高さも見せている。最近、運動神経いいキャラが注目されているが、実は……。

――走高跳の有望選手だった遥が、交通事故で半身不随になり、新たにカヌーでの日本代表を目指すというストーリー。役の第一印象はいかがですか。

「本当に難しい役だなと思いました。『自分にできるかな』という不安はあったんですけど、演じることで自分を成長できたらいいな、と思っていました」

――劇中では、陸上、車椅子、カヌーもこなす。その身体能力の高さに驚かされました。カヌーの指導者からは「パリオリンピックが狙える」と言われるほどの上達を見せたそうですね。

「競技用カヌーは細くて乗るだけでも1か月かかると言われるぐらい難しいんです。水にパドルをさすだけでも、落ちちゃうぐらい。最初は大学のプールで練習して、川に出てまっすぐ進めるようになったぐらいタイミングで撮影が始まりました」

――撮影中に「沈する」ことはあったんですか。

「2回ありました。撮影では、水に落ちたら、また体を乾かすところからやらないといけないので、絶対、落ちてはいけないと思ったんです。その緊張感から上達が早くなった気がしますね(笑)。『もう日が暮れそうなのに』って。誰も、そんなこと言わないですけど、自分だけすごい焦っちゃって。落ちたくないって思いました」

――主人公の遥は負けず嫌いな性格ですが、中条さんも？

「似ているところがあります。ちょっと人見知りで、負けず嫌い。だから、弱っているところを見せるのがすごく苦手。基本的にクールとか、強いって思われているかもしれないんですけど、内面は結構、ポンコツというか弱いし、何か本当は『もうみんな助けて』と思うんですけど、言えない。負けず嫌いな部分では、損しているところはあると思うんですけど、遥を演じてみて、素直にできないことは『できない』と言って、周りの方々に助けてもらうことは大事だなと学びました」

――練習は1か月くらいですか。

「その中で陸上の方、車いすもやりました。車いすは、小学校の時に、この車いすバスケを教えてくださる方が来てくださって、授業で車いすバスケをする機会があったんです。それを覚えていたので、すぐに乗れるようになりました。車いすの先生からは『俳優さんを始め、いろんな人に車いすを教えてきたけど、速かった。でも、誰にも言わないで』って(笑)」