「マツコの知らない世界」の敏腕ディレクターが映画で描く大相撲の“知らない世界”
坂田監督「強い力士は性格がいいです」
――製作過程で苦労したところは?
坂田監督「相撲ファンではない人たちを、ファンにするために作ったのですが、相撲ファンから『物足りない』とか『なにか違うよ』と言われないように考えました。マニアックでもいけないし、こびてもいけない。微妙なラインを目指しました。自分が分からないものを撮っても意味はないと思っていたので、台本を作っています。だから、無駄な部分は一切撮っていません」
染谷氏「力士の真剣勝負の部分ですね。具体的には、頭と頭、体と体がぶつかる衝撃音、体と体がぶつかり、張り手の音、そういうインパクトをきちんと伝えたい、と。普通の人がやったら、大変なことになりますけど、彼らは鍛えているから、できるんだ、と改めて思いました」
坂田監督「強い力士は性格がいいです。お相撲と一緒で、むき出しな感じというか、気持ちがいい。力士は裸でやっているから、心もそうなんだと感じましたね。自分に嘘をつかない人が厳しい稽古をやって、自分のことを追い詰めることができるんでしょうね」
――今後も映画を作るお考えは?
坂田監督「別に映画監督になりたくて、撮ったわけではないので、そういうことは考えていません。自分の作品を作る力を使って、日本人として日本のためにやりたいので。ただ、いろんな形で映像には携わっていきたいとは思っています」
――ところで、マツコデラックスさんにはお見せしたんですか?
坂田監督「DVDはお送りしたんですが、感想までは聞いていないですね」
□坂田栄治(さかた・えいじ)1975年4月3日生まれ。埼玉県出身。東京農業大学卒業後、TBSへ入社し制作部へ配属。総合演出として手掛けた「ズバリ言うわよ!」をヒット番組へ導く。その後編成部へ異動し「マツコの知らない世界」を立ち上げる。再び、制作部へ戻り、総合演出として同番組を担当。2020年の現在は制作を離れ、メディアビジネス局メディア事業部勤務。
□染谷和孝(そめや・かずたか)1963年生まれ、東京都出身。ビクター青山スタジオ、IMAGICA、ソニーPCLなどを経て、2007年、ダイマジックのスタジオ設立に参加。14年より有限会社ビー・ブルーに所属を移し、3Dオーディオ対応のスタジオを構築。現在、サウンドデザイナー、リレコーディングミキサーとして、Dolby Atmosを中心とした3D音響制作を行なうサウンドの第一人者。