プロレスを楽しむ桜庭和志 101歳コンビが世代闘争の中心に【連載vol.13】
プロレスはキャリアのスポーツと言われるが、円熟期を迎えたベテランと勢いに乗る若手選手が、常に激しいつばぜり合いを繰り広げている。中でもプロレスリング・ノアのタッグ戦線はすさまじい。
毎週金曜午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」
プロレスはキャリアのスポーツと言われるが、円熟期を迎えたベテランと勢いに乗る若手選手が、常に激しいつばぜり合いを繰り広げている。中でもプロレスリング・ノアのタッグ戦線はすさまじい。
10・28後楽園ホール大会では、杉浦貴と桜庭和志の2人で101歳の「杉浦軍」GHCヘビー級タッグ王者コンビが、マサ北宮、征矢学の67歳「金剛」タッグの挑戦を受けて立った。
先のシングルリーグ戦「N-1 VICTORY」公式戦で、桜庭は征矢のプロレスルールを巧みに利用した技ありフォールで、3カウントを奪われており、リベンジをかけたタイトルマッチでもあった。
格闘技戦で一世を風びしたレジェンド・桜庭から勝利した征矢は「桜庭、出てこい」と挑発。これには桜庭も「呼び捨てにするな」と猛反発。4人が入り乱れる大混戦が始まった。
ノアで本格的にプロレス参戦をスタートさせた桜庭は、徐々にプロレス流ファイトを習得しており、場外戦で征矢を痛めつけることに成功。キックの連射で征矢の動きを止めると、執拗な腕攻めを開始した。
征矢のパワーに苦戦し、デスバレーボムで叩きつけられたが、腕十字固めに切り返し、変形キーロック2で、粘る征矢をついに仕留めた。
初防衛を果たした101歳コンビの前に丸藤正道が登場し、船木誠勝との92歳「M‘s alliance(M’s A)」で挑戦を迫った。これを快諾した王者組。桜庭は「丸藤さんと船木さんとやるのは楽しい。無理やりやるより、楽しくやった方が楽しい。今日の相手はデカくて簡単に持ち上げられちゃったり、キツイんですけど、こっちも頑張んないと」と、いつものひょうひょうとした桜庭節を披露した。
101歳「杉浦軍」VS92歳「M‘s A」は11・22横浜武道館大会と決定。4人合わせて193歳のGHCヘビー級タッグ選手権は、円熟期チーム同士の達人対決となりそうだ。
そして10・28決戦では、稲村愛輝が金剛から脱退し、清宮海斗と合体という新展開が勃発。2人で51歳「海斗軍(仮)」も誕生しており、ノアの世代闘争は激化の一途をたどっている。
キャリアか、勢いか、若さか。それぞれの意地や駆け引きも加わり、火花が散っている。深まりゆく秋だが、リングの上は真夏並みに温度上昇。熱い闘いが繰り広げられるだろう。ジュニアの軍団再編がヘビー級にも飛び火したノアマットから目が離せない。