コロナ禍の「くまもと復興映画祭」、なぜ成功した? 映画人が“一度は行きたい”と語るワケ

「くまもと復興映画祭2020」で登壇した(左から)「タイトル、拒絶」の恒松祐里、山田佳奈監督、池田大【写真:平辻哲也】
「くまもと復興映画祭2020」で登壇した(左から)「タイトル、拒絶」の恒松祐里、山田佳奈監督、池田大【写真:平辻哲也】

行定氏「来年は熊本地震が起こった4月開催に戻したい」

 まもなく開催される東京国際映画祭(31日~11月9日)を巡っては、「国際映画祭としての魅力が足りない」という厳しい声もあるが、日本映画に限って言えば、新しい才能を発掘している。演劇界で活躍する演出家・山田佳奈氏が初監督し、デリヘル嬢たちの舞台裏を描く伊藤沙莉主演の映画「タイトル、拒絶」(11月13日公開)、映画「猿楽町で会いましょう」(児山隆監督、来春公開)は、昨年の東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門の出品作だ。行定氏は東京国際映画祭で見て、気に入り、「熊本でぜひ上映したい」と思っていた。

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「猿楽町で会いましょう」は、渋谷駅近くの街を舞台に、駆け出しの写真家(金子大地)と女優志望の読者モデルのヒロイン、ユカ(石川瑠華)の恋の顛末を描く恋愛ストーリー。堤幸彦監督、大根仁監督が所属する製作プロダクション「オフィスクレッシェンド」が優秀な未完成の予告編に対して、映画化をサポートする第2回「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」グランプリ受賞作。監督は、林海象監督に師事し、独立後は映像の世界で活躍する児山隆氏。これが初の長編映画となるが、脚本の巧みな構成力と演出力に注目してほしい。

 主演の金子は、行定監督の映画「ナラタージュ」(2017年)で、有村架純演じるヒロインの後輩演劇部員を演じており、その成長と、映画祭での再会を喜んだ。また、行定氏は石川を「1度仕事がしたい女優」と評しており、その日が来るのも遠くはないだろう。

 映画祭は、観客にとっても、出演者&監督陣にとっても、新たな出会いの場でもある。映画祭は来年の開催も決定。コロナ禍の今年は、10月開催にずれ込んでしまったが、「来年は熊本地震が起こった4月開催に戻したい」と行定氏は語る。それはひとえに、映画の力であり、地震からの復興を遂げる姿を全国に届けたい、という思いがあるからだ。コロナの終息を願うとともに、来年4月はぜひ“Go To くまもと”を。

次のページへ (3/3) 【写真】「くまもと復興映画祭」で登壇した俳優・監督陣
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