「ドクターX」生み出した中園ミホ、新作“秘書ドラマ”の決めぜりふは「サラッと書いた」
決めぜりふは「名乗るほどの者ではございません』」&「懲らしめてやりましょう」
――“取材の中園”と言われるほど、中園さんはかなり深く取材をされることで有名ですが、秘書や敵となる権力者たちについて、今回はどういうリサーチをされたんでしょうか?
「私はいつもものすごく取材するんですけど、今回の秘書に関しては、内山さんが元秘書なので、教えてもらおうと思っていました(笑)。内山さんもいろいろと取材してくれていましたし……。あとは、飲み友達の政府の方に連絡しましたね。普段の私は“飲む”のが取材なんですけど、今はそれもできないので、メッセージのやり取りや、電話で取材しています」
――いろいろな業界の秘書、そして元秘書を演じるキャストの皆さんの顔ぶれをご覧になった時の印象をお聞かせください。
「すごく魅力的な皆さんが集まってくださったので、ドラマを一番楽しみにしているのは私だと思います。秘書の皆さんもそうだし、ラーメン屋さんのボスもカッコイイですよね。久しぶりに(メンバーの元締め・萬敬太郎を演じる)江口洋介さんにお会いして『あぁ、こんなに渋い大人になられて、ますます素敵になったなぁ』と思いました。あとは、(財務大臣の粟田口十三を演じる)大好きな岸部一徳さん! 『私、こんなに悪い人を書いたことがない!』というくらいのヒール役をやっていただくことになりました」
――今回の決めぜりふ「名乗るほどの者ではございません」や「懲らしめてやりましょう」は、どういう時に思い浮かんだのでしょうか?
「実は、『お前たち誰なんだ!』って言われた時、彼女たちはなんて答えるんだろう……と考えた時に、『名乗るほどの者ではございません』って言うんじゃないかなと思ってサラッと書いていたんです。そしたら内山さんが『これ、面白い!』と言ってくださったので、じゃあ決めぜりふにしようと(笑)。
私は、ちょっと時代劇っぽいんですけど、サラン(シム)が言う『懲らしめてやりましょう』というせりふも好きなんですよね。弱い人を踏みつけるような人たちを、みんなはどうしてやりたいんだろう、と考えた時に、きっと懲らしめてやりたいはずだ、と。これは絶対に言わせたい! と思っていました」
――中園さんが生み出すヒロインに勇気をもらったり、人生を見つめ直すきっかけになったという視聴者の方も多いと思います。自立した強い女性を描くことへのこだわりはあるのでしょうか?
「自分自身がずっとフリーランスで働いてきたし、日本はなんだかんだ言って、先進国の男女平等指数が121位と、いまだにものすごく男社会ですよね。その中で、不安定な派遣の方もそうですけど、皆さん今の労働体系で本当によく暴動を起こさず働いているなぁと思うんです。私は、そういう名もなき人たちがけなげに頑張っているからこの国が回っていると思っていて……。脚本家は、みんなそれぞれいろいろな人に向けて物語を書いているんですが、私はラブストーリーでもお仕事ものでも、そういう頑張っている人たちに、スッキリした気持ちになって『明日も頑張ろう!』と思ってもらえるような、元気になっていただけるドラマを書いていきたいと思っています」