モデル→レポーター→俳優の原石 『GIFT』脚本の金沢知樹氏が“育てた”栗原萌実の素顔
放送中のTBS系連続ドラマ『GIFT』(日曜午後9時)や昨年の『クジャクのダンス、誰が見た?』の脚本を手掛け、映画監督や演出家でもある金沢知樹氏が“見初め”、育成中の俳優が全国デビューを果たす。元情報番組レポーターの栗原萌実。金沢氏が脚本と演出を手掛ける松岡昌宏の主演舞台『はがきの王様』(東京・本多劇場:14日初日、大阪・森ノ宮ピロティホール:28日初日)に出演する。将来が楽しみな逸材のようだが、どんな人物なのか取材すると、笑顔が似合う“明るく朗らかな芸術家”だった。

松岡昌宏の主演舞台『はがきの王様』に出演 脚本・演出は金沢知樹氏
放送中のTBS系連続ドラマ『GIFT』(日曜午後9時)や昨年の『クジャクのダンス、誰が見た?』の脚本を手掛け、映画監督や演出家でもある金沢知樹氏が“見初め”、育成中の俳優が全国デビューを果たす。元情報番組レポーターの栗原萌実。金沢氏が脚本と演出を手掛ける松岡昌宏の主演舞台『はがきの王様』(東京・本多劇場:14日初日、大阪・森ノ宮ピロティホール:28日初日)に出演する。将来が楽しみな逸材のようだが、どんな人物なのか取材すると、笑顔が似合う“明るく朗らかな芸術家”だった。(取材・文=中野由喜)
そもそもどんな経歴の持ち主なのか。
「2022年の大学卒業のタイミングで福岡県内のモデル事務所に所属し、1年ほどCMやプロモーションビデオの仕事をしていました。2年目に九州朝日放送の情報番組のレポーターのオーディションに合格し、2年間務めていました。大学卒業の頃はコロナ禍の影響もあって就職難。実は大学1年時にもモデル事務所にスカウトされたことがあり、こういう道もありかなと決意しました」
22年には九州朝日放送のドラマ『福岡恋愛白書17』に出演している。これが俳優デビュー作なのか。
「いえ役名もないほぼエキストラでした(笑)。昨年6月に上京するまではレポーターのお仕事をメインに事務所や金沢さんの地元福岡の小劇場の舞台に3、4回出演させていただいています」
金沢氏とはどこで出会ったのだろう。すると、栗原の芸術家の顔がのぞく。
「絵を描くのが好きでポップなイラストから水彩画、油絵などオールジャンルで描いています。今は水墨画の勉強をしています。ある方に個展をやってみないかと声をかけていただき、23年3月に福岡で開催したことがあります。そこに金沢さんがたまたま来てくださったんです。その場に共通の知人が偶然いて、ご挨拶させていただきました。その時にお芝居をやりたいと伝えました。そしたら、同年7月の舞台に出演させてくださったんです。個展では絵と共に描くに至った背景や作品に込めた思いを文章にして添えていました。それをすごくほめてくださいました」

芝居でも「『すごい』と言われたいのかもしれません(笑)」
どっちが本業かと思うほど絵の才能が豊かなようだ。話の中心が絵になると、笑いながら軌道修正し、芝居に興味を持った理由を紹介してくれた。
「大学時代にネットでお芝居の台本を探して読むことが好きになり、趣味になりました。大学卒業後、芸能関係のお仕事を始めて間もなく、ふと、この仕事でずっと長く表現者でいられるものは何だろうと考えたことがありました。その時たどり着いた答えがお芝居。いくつになっても年齢に応じた表現の仕方がある仕事。奥が深い仕事だと思ったんです。モデル事務所所属でしたが、お芝居をやりたいと懇願してやらせていただきました」
芸術家の血が騒いだ形だ。
「表現方法が何であれ、私は一生表現者でいたいと思っています。絵だけでなく書道も独学でやっています」
福岡時代、金沢氏にはどんなことを言われていたのか。
「『芝居は新人だし正直、上手ではない。でも向いている。続けた方がいい。何か作る側にいた方がいい』と言われました」
それをどう受けとめたのか。
「これで良かったんだと思いました。自分以外の人から表現者に向いていると言われたのは初めてでしたので」
絵や書道と芝居はどういう位置関係なのか。
「絵や書道は好きですが最優先ではないです。お芝居がとにかく大好き。芝居をやるなと言われても無理です。多分、お芝居はまだ人に認められていないからなのかもしれません。絵は見た方が『すごいね』と評価してくださいました。でも、お芝居はまだ全然。お芝居でも『すごい』と言われたいのかもしれません(笑)。とにかくお芝居が好き。もっと突きつめてみたい。核の部分に行ってみたいです。1人の表現者としてのチャレンジ精神が強くあるんだと思います」

目指す俳優は田中裕子
今回の舞台では、勉強に打ち込んできた内気な医学部のはがき職人。どこに行くにも何をするにも1人という東七音を演じる。金沢氏からどんな指導があったのだろう。
「何も言われていません。どういう方向性で行くべきかなどアドバイスを求めると『自分で考えろ』と言われました。唯一、言われたのは『お前の今の演技は誰でもできる。自分でなければできない演技を練ってこい。自分でなければできない役にしろ』と言われました。その言葉をもらってから自分の中の役への取り組み方が大きく変わりました。ただ、お芝居の技術が未熟過ぎて苦戦しています」
一見クール美人。話すと明るく朗らか。笑顔が印象的。どちらのタイプも演じられる可能性を感じる。目指す俳優像を聞いてみた。
「田中裕子さんのお芝居が好きなんです。田中さんしかできないお芝居、この役は田中さんが演じる意味があると毎回思わされます。私も栗原萌実にしかできないお芝居のできる俳優になりたいと思っています」
俳優にかける覚悟を聞いた。すると栗原の明るさの土台となる言葉を紹介してくれた。
「『死ぬこと以外かすり傷』というのが私の座右の銘です。これを私の根本に置くことでつらいことも大丈夫と思えるんです。書道で好きな言葉を書こうと、ネットで調べていて見つけた言葉。胸に刺さって大事にしています。俳優という仕事をやっていく上での私の覚悟。一生表現者でありたいし、表現者の中でもお芝居をずっとやっていきたいです」
笑顔を絶やさず明るく朗らか。人に元気を与えてくれるエネルギーを感じる。九州を出ていよいよ舞台は全国。栗原は「ここからスタート」と気を引き締めていた。
□栗原萌実(くりはら・もえみ)1999年9月11日、熊本県生まれ。2022年福岡女学院大国際キャリア学部卒業。卒業のタイミングで福岡県内のモデル事務所に所属。九州朝日放送『アサデス。7』のリポーターのオーディションに合格し、タレント活動をスタートし、『アサデス。GOLD』にも出演。肥後銀行やNTT西日本のCMにも出演。芝居はこれまで金沢知樹氏が手掛ける地元・福岡開催の舞台に出演。特技はピアノ、趣味は書道、絵画。
□『はがきの王様』は仕事も家庭も失った主人公・田中浩司(松岡昌宏)が、”深夜ラジオ”のはがき職人だった青年期の体験をベースに再生していく姿を描く舞台。他に出演は黒谷友香、渡辺裕太、ピエール瀧ら。脚本・演出を金沢知樹氏が担当。
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