「パパおもんないと思われたくない」 ハナコ秋山が2児の父になって感じる焦りとタイムリミット

5月9日、10日の2日間、東京・表参道で自身初となる単独個展「大きくは描けない」を開催しているお笑いトリオ・ハナコのネタ作り担当・秋山寛貴。2021年に長男が、そして25年11月に長女が誕生し、2児の父親となった。父としての自覚は、秋山のお笑いやアートに対する意識をどのように変えたのか。

インタビューに応じたハナコの秋山寛貴【写真:冨田味我】
インタビューに応じたハナコの秋山寛貴【写真:冨田味我】

自身初の単独個展「大きくは描けない」を開催

 5月9日、10日の2日間、東京・表参道で自身初となる単独個展「大きくは描けない」を開催しているお笑いトリオ・ハナコのネタ作り担当・秋山寛貴。2021年に長男が、そして25年11月に長女が誕生し、2児の父親となった。父としての自覚は、秋山のお笑いやアートに対する意識をどのように変えたのか。(取材・文=平辻哲也)

 秋山は現在、21年10月に誕生した第1子となる男児、そして25年11月に誕生したばかりの第2子となる女児の父でもある。子どもの誕生は、多忙な日々を送る秋山の創作活動に強烈な刺激をもたらした。

「作風のテーマを無理に変えようという意識は全くないのですが、第1子が生まれた時から、めちゃくちゃ芽生えた意識があります。それは、いずれ子どもが6歳や7歳になった時、僕のネタやイラストを見た時に『おもんな(面白くない)』と思われたくない、ということです」と、切実な親心を明かす。

「『あ、パパおもろ』と思ってもらえるものを生み出さなきゃいけないという、タイムリミットを感じながら焦っています。その意識はお笑いのネタ作りにも、イラスト制作にも全体的にありますね」

 現在、自身のSNSで日記的に子どものイラストを公開しており、ファンからも温かい反響が寄せられている。また、子ども向けYouTubeチャンネルの企画で、4~5歳の子どもが「編集長」となり、秋山に絵の指示を出すというコラボレーションも経験した。

「子どもの配色やアイデアは全く予想できず、迷いがなくて、見えている世界が全然違うんだなと大きな刺激を受けました」と、子どもならではの自由な発想に感銘を受けたエピソードも披露してくれた。

アートにおける野望を語った【写真:冨田味我】
アートにおける野望を語った【写真:冨田味我】

 秋山がインスタグラムにイラストのみを投稿し始めたのは2017年6月。当時のマネジャーから「絵が好きなら、知られた方がいいんじゃない?」と勧められたことがきっかけだった。以来、「純粋な落書きの延長」として独自のイラストを発信し続けているが、その中で、お笑い芸人でありイラストレーターでもある秋山ならではの驚くべき相乗効果もあった。

「以前、SNS用に『天狗が証明写真を撮る機械に入ったら、仕上がりは鼻しか写っていなかった』という1コマのイラストを書いたことがあったんです。それがきっかけで、フジテレビの『新しいカギ』という番組のスタッフさんに『これ、実写コントにできませんか?』と提案したところ、本当に映像化してくださったんです」

 実際に秋山自身が特殊メイクを施して天狗のスーツを着て、本物の証明写真機でロケを行い、ショートコントとしてシリーズ化までされたのだという。1コマのSNSイラストから実写のテレビコントが生まれるというこのエピソードは、卓越した発想力を持つ彼だからこそ成し得た、クロスオーバーとなった。

 高校時代のアートでの挫折を乗り越え、お笑いで自由を手に入れ、父親としての新たなモチベーションも獲得した秋山。彼のアートにおける次なる野望は、スケールが格段に大きい。「僕が描くイラストの特徴として、セリフがそんなにないというのがあるんです。だからこそ、言語の壁を越えられるんじゃないかと思っています」と、自身の作品の強みを冷静に分析する。

「僕、『Mr.ビーン』が大好きなんですが、彼が海外の人に寄せるわけでもないのに、世界共通でこんなに楽しめるというのは本当に憧れます。自分のイラストでも、タイトルを英語にするだけで英語圏の方にも笑ってもらえるんじゃないか、世界共通の笑いになるんじゃないかと可能性を感じているんです」と、世界を見据えた夢を語る。

「大きくは描けない」と語り、10センチ四方の極小キャンバスに自らの世界を詰め込む秋山だが、その小さな枠の中に込められた笑いとエンターテインメントへの情熱は、国境を越えるほどのスケールを秘めている。2児のパパとして、そして日本を代表するお笑いクリエイターとして、秋山の描く「小さな落書き」が世界を笑顔にする日は、そう遠くないかもしれない。

□秋山寛貴(あきやま・ひろき)1991年9月20日生まれ、岡山県岡山市出身。総社南高普通科美術工芸コースで油絵を専攻。2014年、ワタナベコメディスクール同期の菊田竜大、岡部大とともに「ハナコ」を結成し、ネタ作りを担当する。「キングオブコント2018」で優勝し、ブレイク。現在は日本テレビ系『有吉の壁』、フジテレビ系『新しいカギ』など多数の番組にレギュラー出演。また、日本テレビ系連続ドラマ『でっけぇ風呂場で待ってます』などで共同脚本を担当したほか、2025年公開の映画『ブラック・ショーマン』やTBS系連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』に出演するなど、俳優やクリエイターとしても多才ぶりを発揮している。身長163センチ。血液型O型。

□ハナコ・秋山寛貴 初単独個展『大きくは描けない』
日程:5月9日(土)午後1時~午後7時、5月10日(日)午前11時30分~午後6時
会場:Gallery Feles Omotesando(東京都渋谷区神宮前3-18-26)
料金:1000円(※1時間ごとの日時指定制)
チケット:ローソンチケットにて販売

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