桜庭和志の「マーケティング」と「観客論」 新イベント「QUINTET」 を立ち上げた理由
IQレスラー・桜庭和志(51)がプロデュースする新感覚の格闘技イベント「QUINTET」。投げや関節、絞め技など、組み技のみが有効とされるグラップリングルールで行われ、基本的に試合は5人で1チームで闘う勝ち抜き戦形式の団体戦。時間切れの場合は両者失格となり、勝ち抜き団体戦ならではの戦略性を競い合うルールとなっている。来る10月27日には東京・後楽園ホールで開催されるが、一部マニアの間では人気がある「QUINTET」を桜庭プロデューサーがその魅力を元「週刊プロレス」のターザン山本!氏(74)に解説! 第1回は、桜庭が「QUINTET」 が誕生するきっかけとなった苦い経験を明かす。(聞き手◎“Show”大谷泰顕)
「勝ちたい選手同士が試合をすると面白い試合になる」
IQレスラー・桜庭和志(51)がプロデュースする新感覚の格闘技イベント「QUINTET」。投げや関節、絞め技など、組み技のみが有効とされるグラップリングルールで行われ、基本的に試合は5人で1チームで闘う勝ち抜き戦形式の団体戦。時間切れの場合は両者失格となり、勝ち抜き団体戦ならではの戦略性を競い合うルールとなっている。来る10月27日には東京・後楽園ホールで開催されるが、一部マニアの間では人気がある「QUINTET」を桜庭プロデューサーがその魅力を元「週刊プロレス」のターザン山本!氏(74)に解説! 第1回は、桜庭が「QUINTET」 が誕生するきっかけとなった苦い経験を明かす。(聞き手◎“Show”大谷泰顕)
――今日は桜庭さんに「QUINTET」の魅力を“暴走妖怪”のターザン山本! さんに教えてもらいたいなと思って。
桜庭「あれですね、人間の世界に紛れ込んでしまって、妖怪の世界への出入口が分からなくなってしまったっていう。(出入口は)水のほとりにあります(笑)」
ターザン「パチパチパチ!」
――2018年春の旗揚げから2年半経ちましたけど、その間に8回のプロの大会が開催されています。
桜庭「はじめは日本よりも外国のほうがグラップリングとか流行っていて、外国のほうで始めようと思っていたんですけど、いろいろ流れがあって今に至る感じです」
――勝ち抜き戦というルールですけど、もし引き分けになった場合は両者が失格になるんですよね。
ターザン「それ、いいルールだね」
桜庭「僕もレスリングをやっていたんですけど、レスリングもポイント制なんです。でも、何が決まると何ポイント入るのか。僕は経験しているから分かるけど、一般の人には分からないじゃないですか。野球やサッカーならどこでポイントが入るのかがハッキリ分かる。でも格闘技は分かりにくい」
ターザン「レスリングが一番分かりにくいね」
桜庭「そうです。妖怪の世界に戻るための場所のポイントも分かりにくいと戻れないじゃないですか(笑)」
――分かりやすくしないとダメですね(笑)。
ターザン「プロだったら受けが上手いのも技術なんだけど、それは負けているように見えてしまう」
桜庭「だからポイントはなくして、引き分けならドローでいいやって」
――それで引き分けという決着方法を導入したと。
桜庭「僕は1度、『メタモリス』っていう寝技の大会でヘンゾ・グレイシーとグラップリングの試合をした(14年11月22日、米国カリフォルニア)んですけど、僕の試合を含め、その大会はドローが多かった。だけど個人戦で1大会の中で10試合やるとして、何試合かドローが続いたらイベントとしては面白くないじゃないですか」
ターザン「面白くないよね」
――いつだったか桜庭さんから「勝ちたい選手同士が試合をすると面白い試合になるけど、そこに負けたくない選手が入ると、つまらない試合になる」と聞いたことがあります。
桜庭「◯◯◯◯ですね(笑)」
――あちゃー(笑)。
ターザン「負けたくないというのは一番ダメな精神なんですよ。しょっぱくて、一番大嫌いなんだよ! 思い切って負けに行けと」
桜庭「今考えると『QUINTET』ができたきっかけの1つになるんですけど、『RIZIN.7』(17年10月15日、福岡マリンメッセ)でフランク・シャムロックとグラップリングマッチ(10分)をやったんです」
――時間切れ引き分けでしたね。
桜庭「フランクは完全に負けたくない試合をしたんです。これってアマレスだったら絶対に失格負けだよなーと思って。だからその試合と、その前にヘンゾとやった『メタモリス』の試合と。その試合は完全に固められたので。後は『RIZIN.1』(16年4月17日、名古屋レインボーホール)でやったダブルバウトですね」
――桜庭&所英男VS田村潔司&ヴァンダレイ・シウバでしたね。
桜庭「あの試合でもうリングでやるグラップリングは2度とやらないと思っていたのに、フランク戦をやることになって。フランク戦が終わってしばらくした後、たまたま柔道の『金鷲旗』っていう高校生の大会をテレビで見て。それが5対5の勝ち抜き戦なんですよ。それを見ていたら面白いなと思ったし、これだと思って」