相席・山添、TVで見せる“ヒール”の裏側 女性陣にコンプラ確認「不快が勝ったらおもんない」

ニヤリとエッジの効いた発言を繰り出して、平然と共演者を翻弄(ほんろう)する。お笑いコンビ・相席スタートの山添寛だ。数年前は「借金芸人」として脚光を浴びたが、最近では活躍の場をラジオ番組『サクラバシ919』やドラマ界にも広げ、世間では「クズ紳士」として目立ってきている。いかにして現在の絶妙な立ち回りを身につけたのか。相方の山﨑ケイや周囲の女性への厚い信頼を明かすとともに、ヒール像の裏側に迫った。

相方・山﨑ケイの存在がひとつの指針だという山添寛【写真:冨田味我】
相方・山﨑ケイの存在がひとつの指針だという山添寛【写真:冨田味我】

女性視点を意識した絶妙なバランス感覚

 ニヤリとエッジの効いた発言を繰り出して、平然と共演者を翻弄(ほんろう)する。お笑いコンビ・相席スタートの山添寛だ。数年前は「借金芸人」として脚光を浴びたが、最近では活躍の場をラジオ番組『サクラバシ919』やドラマ界にも広げ、世間では「クズ紳士」として目立ってきている。いかにして現在の絶妙な立ち回りを身につけたのか。相方の山﨑ケイや周囲の女性への厚い信頼を明かすとともに、ヒール像の裏側に迫った。(取材・文=島田将斗)

「そもそも僕、男4人兄弟なんですよ。しかも芸人なりたいやつのベースはみんな一緒やと勘違いして、女心がやっぱり分かってへん男やったんです。それをケイさんとコンビを組んでから痛感しました」

 男女コンビだからこそ、言葉選びや自分の常識が世間の共通認識ではないことに気が付くことができた。「手前の話で言うと」と前置きし、笑いながら当時を振り返る。

「ケイさんから『ドラゴンボールの例えやめて、分からへん』『“バキ”を女も読んでると思わんといて』って言われたんです。そういうところから、この現場で自分だけが面白いと思ってる例えを言うのは、芸人として優しくなさすぎるよなと。男女コンビを組めて人間的にめっちゃよかった。女性の気持ちが全く分からん男のまま、大人になってたかもしれないですから」

 女性目線のリアルを教えてくれる相方の存在はひとつの指針となっている。それはお笑いの枠を超えて恋愛相談にまで及んでいる。

「歴代の彼女に、別れる時に『私のこと、ほんまは好きじゃなかったやろ』って言われたことが何回もあるんです。こっちはほんまに好きやったのに。そのいら立ちをケイさんに聞いてみたら、『あんたはそう思わせるんやろうな。女からしたらな』って言われて(笑)。『なんでなんですか、日頃から好きって何回も連発する男の方が信用できへんと思いますよ』って言ったら、『何回も言って困ることがあんのか?』と」

 さらに「男性だと恋愛の話でそこまでラリーが続かないし、別にそいつがどう思ってるかなんて聞きたくない。女性がどう思うかを聞きたいし、ケイさんは言葉を選ばずに俺に言ってくれる関係性やからこそ意見を聞きたいんです」と熱くなった。

 相方は結婚、出産とライフステージを変化させている。「ケイさんは自分の人生が優先順位として一番上にあって、その次に、お笑いがある」と語り、「『そういう考えの人もいるよな』。自分にできひんことをやってはるから『すごいな』と思っています」と素直にリスペクトの思いをにじませた。

若槻千夏への思いも明かした山添寛【写真:冨田味我】
若槻千夏への思いも明かした山添寛【写真:冨田味我】

若槻千夏は“相棒”「言葉を選ばずに言ってくれる」

「クズ紳士」と呼ばれる由縁はここにある。女性視点を意識し、テレビ番組では独自のセーフティーネットを張っている。2人の女性マネジャーと相方の女性スタイリストに自身の発言の“コンプライアンス確認”を行っているとも明かした。

「例えば番組収録でこういうのしたいなってひらめいた時、『この表現、不快に思いますか?』って事前に聞いたりするんです。その答えを聞いて、はじめて『よかった、これを言おう』と。最低限の不快な部分は取り除きたいので、力を貸してもらってます」

 そのリサーチ力が実を結び、奇跡的な爆笑を生んだこともある。TBS系で放送中の朝の生番組『ラヴィット!』で、紹介するランキングのフリップをもじって出そうとした時のことだ。

「何にしようかなと思った時に、まず女性マネジャーたちに『FANZAって知ってます?』って聞いたんです。そしたら『なんだろう、聞いたことはあるぐらいの言葉だね』となったから、自分の中で『やったらセーフや』と決めて。みんながピンときて『あー!』ってなったらナシにしてたけど、お子さんも分からんし、いけるかなと判断材料にさせてもらいました(笑)」

 それがアダルトサイトであることまで説明すれば止められるため、「必要ない話です」とごまかして本番へ。女性スタッフがポカンとする中、フリップを出した結果、現場の男性陣だけが「やばっ」と青ざめるという絶妙な笑いを生み出した。

「あとでAPさんたちがどういうものかを知って。番組が終わって、エレベーターを降りて帰る時に最後ににらみつけられて、終わりました(笑)」

 決して取り返しのつかないラインは越えない。そこには「笑い」に対する確固たる信念が存在する。

「できる限りは不快な部分を取り除きたいんです。不快なのが勝ったら、おもんないじゃないですか。不快にならずに、面白の純度がちゃんとあるものがいい。僕がやってることは、言っても独りよがり。でも不快にはさせたくないし、悲しませたくない。ただ笑ってほしいだけ。その素材がダークなものってだけなんです」

 相方と同様に自身にハッキリと物を言う存在がいる。それが『ラヴィット!』で共演する若槻千夏だ。

「ちょっとした距離があるからこそ聞いてみたい人もいますよね。若槻さんにも『これ、どう思います?』って話すし、そうすると言葉を選ばずに言ってくれる」

“ダーク”な笑いを正面から受け止めてくれるまるで“相棒”のような若槻への感謝も忘れない。

「若槻さんはギャルやから。腹立ったりすることもいっぱいあったでしょうけど、器がでかいんでしょうね、僕を受け入れてくれました。ギャルの器のでかさと冗談の通じる感じで。普通のママタレとかだったら、僕のダル絡みなんて耐えられないでしょう。面白がって一緒にやってくれるから、やっぱすげえなと思わされますね」

 佐久間一行氏のような「全世代が腹を抱えて笑えるお笑いができたらよかった」とこぼしつつ、「そういう地元じゃなかった。地元のせいです」とヒールっぽく笑い飛ばした。

 テレビで見せる不敵な笑みの裏には、誰かを本気で傷つけないという「クズ紳士」の優しい配慮が隠されていた。

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