「割に合わない」 キンコン西野亮廣、相方・梶原のためNYから毎週帰国する“理屈なき”コンビ愛
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣は、童話作家、アニメーション『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(廣田裕介監督、3月27日公開)の製作総指揮・原作・脚本、さらには実業家として八面六臂の活躍を見せる。そんな彼が「絶対に割に合わない」と笑いながらも続けているのが、相方・梶原雄太とのYouTubeチャンネル「毎週キングコング」の収録だ。結成から四半世紀。ビジネスという枠組みを軽々と超えた、2人の“現在地”とコンビ愛の真髄に迫った。

出会いは19歳のとき「何かのご縁だなと思っているんです」
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣は、童話作家、アニメーション『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(廣田裕介監督、3月27日公開)の製作総指揮・原作・脚本、さらには実業家として八面六臂の活躍を見せる。そんな彼が「絶対に割に合わない」と笑いながらも続けているのが、相方・梶原雄太とのYouTubeチャンネル「毎週キングコング」の収録だ。結成から四半世紀。ビジネスという枠組みを軽々と超えた、2人の“現在地”とコンビ愛の真髄に迫った。(取材・文=平辻哲也)
22歳のとき、心身症で失踪した相方・梶原を「待つ」という人生最大の決断をした西野。あれから20年以上がたち、西野は映画の世界で海外まで飛び回る多忙な日々を送っている。現在の彼にとって、キングコングとしての活動はどのような位置付けなのだろうか。
「キングコングの割合ですか? 週に1回は必ず会うようにしてるんするんですよね。どんだけ自分が海外に行ってても、そのときだけは日本に戻ってきて、YouTubeでぺちゃくちゃしゃべって、またバイバイして来週、みたいな感じなんです。だから7分の1はキングコングですね」
現代のテクノロジーを使えば、わざわざ帰国せずとも収録を済ませることは十分に可能だ。しかし、西野はそれを良しとしない。
「YouTube撮影のためにわざわざ日本に戻ってくるって、絶対割に合わないんです。ニューヨークと日本の飛行機代の往復って結構するじゃないですか。そんなの、YouTube1回の撮影でペイできるわけがない。Zoomでやりゃいいんですけど、でもなんかね、わざわざ戻ってきてますね」
時間的にも金銭的にも「割に合わない」ことを承知の上で、なぜそこまでして直接会うことにこだわるのか。そこには、西野の深いコンビ愛と、人間関係に対する独自の哲学がある。
「梶原さんとは、何かのご縁だなと思っているんです。19歳のときに出会ったんですけど、もう25年以上になる。この先、25年の友達ってできないじゃないですか。そう考えたときに、やっぱご縁だなと思って、そういうのは残しておきたいんですよね」

「シンプルに2人でいるときが楽しい」
西野にとって梶原は、ビジネスパートナーという枠組みを超えた、かけがえのない存在なのだ。
「きれいごと抜きにして、シンプルに2人でいるときが楽しい。梶原さんが『テレビ下手』なのも込み込みで楽しい。一緒にテレビ出て、結果出せなくてげらげら笑って『全然だめじゃん』って言ってる時間とかは楽しいし。やっぱ友達といられるっていうのは楽しいですよ。父ちゃんとか母ちゃんとか兄弟と一緒にいることに理屈がないように、梶原さんといるときも『なんで?』って言われても『まあ相方だしな』みたいな。そういう感じです」
自らの行動を客観視し、西野は笑う。
「僕は飛行機で戻ってるときも笑っちゃってるんですよ。『なんなんだこの時間は』って思うんです。いや、それもやっぱおもろいっすね」
西野の作品には常に、デジタルとアナログ、個人と分業といった相反する要素が共存しているが、それは彼の生き方そのものにも通じている。
映画のプロジェクトでは、デジタルを駆使したアニメーション制作を進める一方で、自身は「どぶ板営業」としてチケットの手売りを泥臭く続ける。そのスタンスの根底には、若手時代からの変わらぬ原風景がある。
「こないだ(映画の)完成パーティーみたいなのがあって、気づいたらエンドロールの名前が500人ぐらいいましたし、夏にミュージカル(※2025年夏に製作費4億5000万円で上演されたミュージカル『えんとつ町のプペル』)をやったときも2300人ぐらいスタッフがいて『気づいたらこうなってたな』ってびっくりするんです。ただ、根元の部分はぶっちゃけ今でも居酒屋で飲んで『次あれやる』『あれ、おもろかったな』って友達とやってる。大阪のなんばの劇場終わりで、芸人仲間と飲んでて『次こんなライブやろうや』って言ってる形式と何ら変わってないんですよ」
自身が率いる会社「CHIMNEY TOWN」の社風も、まさにその延長線上にあるという。
「まともに戦略会議みたいなのをしたことないんじゃないかな。その代わり飲み会は一生懸命やる。20歳下ぐらいの子を呼び出して、飲みに行くみたいなことも。今のご時世なかなかない、『残業代出るんですか』とか突っ込まれるぐらいの世界です。でも、そんな感じでみんなと飲んで、その席で大事なことをガンガン決めちゃうんです」
本作が第76回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式出品され、現地へ参加した際も、大層なパーティーを途中で抜け出し、スタッフと酒場を探してビールを飲み、「次何する?」と語り合ったという西野。ステージがどれほど世界へと広がろうとも、彼のコアにあるのは「仲間と面白いことを企む」というシンプルな喜びだ。そして、その原点であり最高の遊び相手こそが、25年来の相方・カジサックこと梶原なのだろう。梶原は本作では、ネズミたちの管理職「ヒモサック」として声の出演をしている。
□西野亮廣(にしの・あきひろ) 兵庫県川西市出身。19歳で梶原雄太とお笑いコンビ・キングコングを結成し、デビュー直後から人気を博す。その後、童話作家や実業家としても才能を発揮し、現在は株式会社CHIMNEY TOWNをけん引。2020年公開のアニメーション『映画 えんとつ町のプペル』では製作総指揮・原作・脚本を務め、興行収入27億円のヒットを記録した。近年はニューヨーク・ブロードウェイなど海外にも活動の拠点を広げている。
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