4人組ロックバンドyutori、ミニアルバム『心の微熱』に込めた思い「原点を振り返ってみようって」
4人組ロックバンド・yutoriが3月4日にミニアルバム『心の微熱』をリリースした。メジャーデビューから約1年。6月7日には、バンド史上最大規模の神奈川・KT Zepp Yokohamaでワンマンライブを開催する。激動の日々を駆け抜ける4人のオフィシャルインタビューが届いた。

3月4日にミニアルバム『心の微熱』をリリース【オフィシャルインタビュー】
4人組ロックバンド・yutoriが3月4日にミニアルバム『心の微熱』をリリースした。メジャーデビューから約1年。6月7日には、バンド史上最大規模の神奈川・KT Zepp Yokohamaでワンマンライブを開催する。激動の日々を駆け抜ける4人のオフィシャルインタビューが届いた。
――ミニアルバム『心の微熱』が完成しました。手触り、温かさ、体温感みたいなものをより感じる作品になっているように感じました。
浦山蓮「普遍的というか、日常的、身の回りみたいな温度感は確かにありますね。でも、ミニアルバム作るってなった時に『じゃあどの曲を入れようか』みたいな話をした時にはそんなに温度感を気にしていたわけではないんです。デモを並べて各々『これいいんじゃない』って4人で会話した時に、たまたまちょっと温かいものにみんな焦点がいったというか」
佐藤古都子「前作の『Hertzmetre』は今作に比べたら、温かさがないという印象を自分は持っていたので。メジャーデビューしたとはいえ芯にあるものは変わらないので、それをちょっと思い出すというか、原点を振り返ってみようっていう思いは各々が持っていたのかなって思います」
豊田太一「ライブの作り方でも、もうちょっと広い人たちにアピールしようっていうか、そっちに向けてパフォーマンスをしようという話し合いをしたことがあって。そういうこともあって、今回はそういう曲になっていったんじゃないかな」
浦山「でも、僕も古都子も、曲を書こうと思ったときの内面的な心情はそんなに変わってはいないと思っていて。ただ、メジャーデビューしていろんなことを経験させてもらっていくうちに、それに対しての切り込み方がだいぶ変わってきた。前までだったら1から7までしか見えなかったものが、7から10が見えるようになったっていうのが、温度感というか、人間味につながってきたのかなって思います」
――1曲目は『村人A』ですが、どういったテイストの楽曲でしょうか。
浦山「これは『村人A』っていう、要は主人公じゃない軸の話です。言ってしまえばモブキャラなんですけど、それを自分たちは別に嫌だとは思っていない。主人公になりたいわけではないし、村人Aは村人Aなりの妄想ができるというか。そういうイメージの曲です。でもギターは曲の途中で村人A側ではない、どちらかというと主人公みたいな感じでガンガン鳴っていたりとか、ベースも主張していたり、歌も主張していたりっていう。そこの塩梅は考えてましたね。ギターはどんなことを考えてた?」
内田郁也「ギターは、わりと歌の裏では基本的に村人Aなりの感じというか、出過ぎない立ち回りみたいなのを意識して。逆に歌のない箇所はちょっと主人公っぽい主張をしたいなと思って、派手めなフレーズを弾いたり、分かりやすいメロディーを弾いたりみたいな。曲にとっての主人公がいるときは脇役に徹して、いない時にちゃんと目立つみたいな、歌詞へのリスペクトをもって作りましたね」
――この曲に限らず、歌が一気に進化した感じがありました。
浦山「表現の幅、引き出し、あとまさに憑依じゃないですけど、いろいろなキャラクターをちゃんとものにして歌っているような感じがします。レコーディングのときも役に入りすぎたのか、ラスサビの『僕じゃダメなのか?』のところで指を差す動作をし始めたんですよ(笑)。『入ってるな』って」
佐藤「やってた? 恥ずかしいんだけど(笑)。今はステージ上でギターを持って歌ってるんですけど、ボーカルレコーディングのときはすごい手が動くタチなんですよね」
『僕らは孤独だ』がラストを飾る「孤独という言葉の意味を見直した」
――『数%のハッピーエンド』はオルタナ感があって、すごくライブ映えしそうな曲になりました。
浦山「これはAメロの冒頭4行の歌詞を最初書いて。最終的に『君の声帯を潰したい』っていう歌詞に落ち着いたんですけど、気持ち悪さを出したかったんです。『盲目越して運命』っていうのもなかなか気持ち悪くて僕はすごく好きなんですけど、生活していてもその人の一挙手一投足がすごい気になって、それで不安で眠れなくなったりしたときに、君の声帯を潰してしまえば何も言えないわけで。そういう、あまり表現できてなかったし、聞いたこともない表現をしたいなと思って書きました。同時に、最後の大サビで『愛せど愛せど空回り』って言っていて。結局ハッピーエンドに縁がないというか、楽にハッピーエンドにたどり着く人生ではないなというのは自負してるので、それが出てきた。改めて自分に言われたような気がしました」
――3曲目は『爪色とグラスの縁』です。
浦山「すごく面白いレコーディングでしたね。今までになかったキーボディストを入れたっていうのは、自分たちにとっても初めての経験だったので。キーボードが入ると聴いている曲の世界観がより広がるなというか。ギター2本、ベース1本、ドラム、歌だけじゃ出せない楽曲の広がり方を身に染みて感じました」
――4曲目の『生活』は古都子さんの歌の表現が印象的でした。
佐藤「蓮の書いてきた今までの楽曲の中でも、すごく人の体温を感じる楽曲だなと思いましたね。言葉が合ってるかわかんないんですけど、生々しい感じ。生活の中にある生々しさがきれいに描写されてる歌詞だなって思いました」
浦山「『生活』は今まで書いてきた楽曲の歌詞のなかでもいちばん裸に近いというか、何も着てない感じの、ただ等身大そのままの歌詞を書けたなって思いますね。『キス』とか『ハグ』とか『手をつなぐ』とか、そういう言葉を使えなかった自分がずっといて。そういう曲を聴くのはすごい好きだし、腑に落ちるし、想像もしやすいんですけど、でも自分が書くとなるとそのワードをうまく使えないことが多くて、今まで避けてきたんです。でもタイトルが『生活』ってなってから、日々のいちばん近いところ、いちばん生々しいものの自分が納得する入れ方を模索したときに、あのDメロができて。それは自分の作詞作曲人生のなかで、ひとつ殻を破れた瞬間だったと思います」
――5曲目の『愛してるって嘘ついた』も『生活』とはまた違う意味で壮大な曲になっていますね。
浦山「そうですね。この曲は『愛してるって嘘ついた』っていうワードの引っかかり具合が、聞いたことがあまりないなっていうか。『愛してるって嘘ついた/そうすれば君が喜ぶから』っていう……」
内田「その1文がもう矛盾していて、そこがすごいつかんでくるというか。ややこしいけど、そこがいいというか。マジひねくれてんだなって思います」
浦山「やっぱり、こういうディスカッションじゃないけど、いろんな意見が出てくる曲だなとは思っていて。その意見のどれも否定したくはなかったんですよ。あえて肯定もしないけど、そのワードに対してみんながどう思うか投げかけたかった。だからこそ最後のサビの歌詞は『愛してたよ本当に 嘘だと思う?』って疑問形で終わらせていて。それに対して『はい・いいえ』っていう2パターン出るじゃないですか。その『はい・いいえ』に対してもまた『なんでそう思ったの?』って問いかけると答えが分かれていく。そういうのがすごく面白いなと思って」
――ラストを飾るのは古都子さんの曲『僕らは孤独だ』ですが、どういうふうにできあがった曲ですか。
佐藤「私生活で何かあったとかではないんですけど、ふとしたときに『人と自分って、1つの命を持ったものにはなれないな』と思って。まったく同じ視点でまったく同じものをまったく同じときに見て、同じ鼓動を共有してっていうのって、難しいというか無理なお話じゃないですか。そのときに、何があっても、誰とどんな関係値になっても、どれだけ親密になってどれだけ思考を深めたとしても、孤独だなって思ったんですよね。ただ、孤独が別に悪いことだとは思っていなくて。だったら、生まれてから死ぬまでずっと1人ぼっちで孤独なのを受け入れて、後悔がないように好きなことをやって、好きなものを食べていっぱい寝て、好きな人と一緒にいっぱいいて死んでいくほうが、後悔ない人生になれるんじゃないかなって。そう思って作りましたね」
――「孤独」という言葉にはネガティブな響きもあるけど、この曲は決してそういう意味では言ってないと思います。
佐藤「『僕はここにいる』って歌ってるんですけど、周りの人がどれだけ変わろうが、離れようが、結局ここにいるのは自分自身であって、他の誰でもない。自分の現在地を確認して存在証明をしているみたいな歌詞になりましたね」
浦山「そういう歌詞を思い浮かべながら頭の中で楽曲を鳴らしたときに、たぶん自分が思っている孤独の捉え方とは違う捉え方をしてるなと思ったんですけど、そう思うことで意外と自分が楽になるんじゃないかなとも思いました。目まぐるしく日々が過ぎていく中で、自分の現在地がわからなくなることってすごい多いなと思うんです。自分の心が今どこにいるかとか、そういうのも含めてちょっとふわって浮くようなことが多いなかで、『僕はここにいる』って、現在の居場所を再確認することで、自己の芯ができていくんだなっていうのを思いますね」
豊田「やっぱり『孤独』って言葉にネガティブなイメージは絶対ついてしまうと思うんですけど、それに違和感を持った古都子さんが、今一度、『孤独』って言葉の意味を見直したという感じがします。本当にこの曲の『孤独』は『人間』に置き換えられるというか、『僕らは人間だ、人間だ』みたいな曲なのかなって思っていて。人間でしかないじゃないですか、1人1人は。『ただの人間じゃん』っていうのを思いながら聴いていたら、すごい腑に落ちましたね」
6月7日にはバンド史上最大規模のワンマンライブをZepp Yokohamaで開催
――今作は、いろいろなシチュエーション、物語がある中で、ラストに『孤独』があることでちゃんとyutoriの作品としてパッケージされた感があります。
浦山「そうですね。6曲目はもう絶対これでしょっていうのは決まってた。それぐらい、この曲はyutoriにとってアンセムになるなっていう思いもあるし、古都子自身がたぶんいちばん強くそれを思ってるだろうから」
佐藤「うん。ライブでいっぱいやって、お客さんのいろんな感情とか表情を見て熟成させたいですね」
浦山「演者のこっち側も、それぞれのメンタルによってまた変わるだろうなというのも感じるから、超楽しみです」
――そういう意味ではツアーが3月末から始まります。今回のツアータイトルは「Bless you!」。これは誰かがくしゃみしたときにかける言葉ですね。
内田「そうです、『お大事に』みたいな」
佐藤「『心の微熱』を引っ提げたツアーになるんですけど。『心の微熱』というのは誰でも持ってるし、みんな持っていていいものなので。『心の微熱を大事にしてね、お大事に』みたいなニュアンスですね。最後にビックリマークがあることによって軽やかな『お大事に!』になるかなと思ってこのタイトルにしました」
――6月7日のKT Zepp Yokohamaは、ワンマンとしてyutori史上最大規模の会場になります。ツアーに向けて、どういう意気込みで臨みますか。
浦山「去年はワンマンツアーと周年ツアーの2本をやったんですけど、ワンマンツアーで9本回ったほうは、どこかちょっと自分たち全員、鎧を着てるじゃないですけど……」
内田「気負っていた部分もあったし、どちらかというと『俺らから何かを伝えたい』っていう思いでやってたツアーで。周年ツアーの方はもうちょいラフというか、会話するという感じで」
浦山「それにはどちらにもそれぞれのよさがあったので、それを混ぜた感じのツアーにしたいなと思います。それがいちばん『Bless you!』につながるというか」
内田「うん。そこにいる人全員の微熱に対して『お大事に』が言えるようなツアーにしたいなと思いますね」
豊田「yutoriとして伝えたいことは、あとはこのミニアルバムが伝えてくれるなっていうのがあるので。あとは本当にみんなを楽しませつつ、しっかり音楽で届けていくっていうイメージでできればいいかなって思っています」
(取材・文=小川智宏)
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