Penthouse、個を尊重した活動方針 武道館完売も会社員と両立のメンバーも「有給が足りない」

東京大の音楽サークルで出会った6人からなるシティソウルバンド・Penthouseが2月4日、配信シングル『青く在れ』をリリースした。3月16日には東京・日本武道館での初ワンマンが決まっており、チケットはすでに完売するなど、今まさに勢いに乗るバンドだ。今回、ENCOUNTではツインボーカルを担う浪岡真太郎と大島真帆にインタビューを行い、“Penthouseの魅力”に迫った。

Penthouseのボーカルを務める浪岡真太郎(左)と大島真帆【写真:増田美咲】
Penthouseのボーカルを務める浪岡真太郎(左)と大島真帆【写真:増田美咲】

最新曲『青く在れ』は『第6回全国大学対校男女混合駅伝』のテーマソング

 東京大の音楽サークルで出会った6人からなるシティソウルバンド・Penthouseが2月4日、配信シングル『青く在れ』をリリースした。3月16日には東京・日本武道館での初ワンマンが決まっており、チケットはすでに完売するなど、今まさに勢いに乗るバンドだ。今回、ENCOUNTではツインボーカルを担う浪岡真太郎と大島真帆にインタビューを行い、“Penthouseの魅力”に迫った。(取材・文=中村彰洋)

――今作は2月15日にカンテレ・フジテレビ・岡山放送で生中継される『第6回全国大学対校男女混合駅伝』のテーマソングになっていますが、書き下ろし楽曲となるのでしょうか。

浪岡「もともと作っていた曲をベースに、歌詞を書き下ろした形です。2月は別の楽曲のリリースも考えていましたが、お話をいただいたタイミングでPenthouseにしてはロックに寄せた8ビートの楽曲を作っていたんです。駅伝という熱いテーマに合うかなと思い、『これで行きましょう』と決めました」

――今回は、でき上がっていた曲にタイアップに合った歌詞を大原(拓真/Ba)さんが作られたかと思いますが、普段はメンバー間で意見を出し合うこともありますか。

浪岡「最初の頃はみんなで書いたりしていました。今は大原さんが頑張って書いてくれています。本当に最初はかみ合わない時もありました(笑)。実際に歌うのは我々なので、歌う時に『このハメ方はさすがに……』といったこともありました。そのあたりの擦り合わせには時間は掛かりましたが、最近はそういったこともなくなってきました」

――実際に歌われるのはお二人なので、そのあたりのすり合わせは大変そうですね。

浪岡「そうですね。そういう時に、真帆さんにも意見を聞いたりしました」

大島「Penthouseは、浪岡が作るメロディーが主になってくるので、そこにどのように気持ちよくハメるかっていうのは、ボーカルとしては大事にしたいポイントなんです。浪岡と大原さんの一騎打ちだと、メラメラしすぎて『あ、やばいやばい』みたいになるので、そういう時に『あ、本当に歌いづらいです……』みたいな感じでカットインしていました(笑)」

浪岡「最近はかみ合ってきたので、そういった場面も減りましたね。大原さんが僕のテイストにかなり合わせてくれていると思います」

――歌詞以外の部分でも話し合うことは多いのでしょうか。

大島「Penthouseを組んだ時から、浪岡が主になって、動いてきてくれているので、『浪岡がやりたいことについていこう』といった暗黙の了解みたいなものがメンバーの中にあります。ただ、その中でどうしても譲れないポイントがある時は、ちゃんと言葉にして明確に伝えられるような関係性だと思っています」

――楽曲を作る時に一番意識してるのはどういった部分なのでしょうか。

浪岡「メロディーの良さを一番大事にしています。ただ、その良し悪しも自分がいいと思うものとみんながいいと思うものの2軸があると思っています。大衆に寄せすぎたメロディーだと、やっていて面白くない。かといって、好きなメロディーだけにしたら、みんなが聞いていて楽しくない。そこの塩梅は常に変えながら、どういった形がPenthouseとして世の中に受け入れられやすいのかを考えています」

バンドの発起人でもある浪岡真太郎【写真:増田美咲】
バンドの発起人でもある浪岡真太郎【写真:増田美咲】

音楽サークル「東大POMP」で出会った6人

――浪岡さんはもともとハードロックバンド・QUORUMとして活動されていました。現在とは曲調も大きく異なりますが、どのように捉えていらっしゃいますか。

浪岡「ハードロックは僕のルーツです。父親の影響で聴き始めて、大学入学時もそればかり聴いていました。実際、本当に1番好きなジャンルがブルースの入ったハードロックです。QUORUMでは、ライブを年間100本やるぐらい精力的に活動しましたが、日本でハードロックというジャンルで、お金を稼ぐ難しさを痛感しました。

 一方で、東大POMPという大学のサークルに所属していたのですが、そこは本当にオールジャンルなんでもやるサークルでした。そこでいろんな音楽に触れて、自分の好きな音楽の幅もすごく広がりました。そういった中で、大衆にも聞いてもらいやすいジャンルの音楽をやってみようかなと考えて組んだのがPenthouseでしたね」

――大学を卒業されたタイミングもQUORUMで活動されていたかと思いますが、音楽を仕事にするという意識は持たれていたのでしょうか。

浪岡「特定のタイミングで音楽だけで食べていくことができていなかったら、一旦就職することは決めていました。実際に食べていくことができていなかったので就職した感じです」

――Penthouseを作ろうとしたタイミングは、すでに卒業から数年が経過していたかと思います。当時は、角野(隼斗)さんを除くメンバーの方々はすでに就職されていたかと思いますが、声を掛けることに躊躇はありませんでしたか。

浪岡「たくさんいたサークルメンバーの中でも、仕事をやりながらでもやる元気がある人っていうのはなんとなく見えていたので、そういった人たちを誘いました」

――大島さんは青山学院大を卒業されましたが、なぜ東大の音楽サークルを選んだのでしょうか。

大島「もちろん青学のサークルや早稲田など、いろいろな大学のサークルも見に行った中で、明確に1番レベルが高かったのが、東大POMPでした。見に行った新歓イベントでベースを弾いてたのが大原さんでしたね。いろんなジャンルに触れることもできますし、ここでなら、良い仲間に出会えそうだなと思いました。

 私は幼少期から歌を歌っていきたいと思っていて、高校時代には、自分で曲を作ったりもしました。その中で、自分自身に作曲する才能はあまりないと感じていたので、才能を持っている人に出会える場を求めていました。そういった思いもあって、東大POMPに入りました。そしたら、実際に出会えました(笑)」

――就職されるタイミングでは、音楽の道は諦めていたのでしょうか。

大島「サークルで組んでいたバンドでデビューしようという気持ちは一切なかったです。でも、何かしらの形で歌い続けていきたいとは思っていました。高校生の頃からオーディションなどにもトライし続けていました。でも、受けに行っては、ボコボコにやられて泣いて、みたいな感じでした(笑)。ジャズのソロライブをやってみたり試行錯誤していた時期もありましたが、1度ちゃんと就職しようということで、大学3年生からは切り替えて就活しました」

――そこから浪岡さんに声を掛けられるまでの期間はどのように過ごされていたのでしょうか。

大島「仕事がめちゃくちゃ忙しい会社だったので、土日に時間があったら、誘ってもらった時にバンドをやるぐらいで、趣味感覚でした。とにかく働いていましたが、どこか物足りなくて、『本当に私ってこれがやりたかったんだっけ』と感じていたんです。そんなタイミングで『バンドやらない?』と声を掛けてもらったので、『やる!やる!』と2つ返事でLINEを返した記憶があります」

――大島さんにとっては急な誘いだったのでしょうか。

大島「本当に急でした。そもそもめちゃくちゃ仲が良かったわけではなかったですし、遊んだこともほぼなかったです。ただ、同期でライバルみたいな存在では間違いなくありました。ボーカル同士だったので、『え、浪岡ボーカルだよね? 私、コーラス?』みたいな(笑)。それを聞いたら『ツインボーカルでやろう。なんなら俺ギター弾いてもいいよ』と言ってくれました。でも、浪岡が良い曲を書くことは当時から知っていたので、コーラスだろうと、どんな形であっても参加したいと思っていました」

――浪岡さんが発起人となって声掛けしたタイミングでは、今のPenthouseの形を想像されていましたか。

浪岡「編成はオーソドックスに、ギター、ピアノ、ベースにドラムで考えてはいました。ただどういう音楽をやるかは決めていませんでした。オールジャンルのサークルだったので、みんなも何でもできるだろうとも思っていました」

――大島さんがお話をもらった時には、ここまでの規模感になるとは思っていなかったかと思います。

大島「Penthouseを組んだ当初は全く想像もしていませんでした。楽しく音楽できたらいいなぐらいの感覚でしたね。浪岡も当時は就職していたので、音楽が仕事になるとは考えてもいませんでした。でも、QUORUMの活動が終わるタイミングで、浪岡に『今後どうするの?』と何気なく聞いたら、『Penthouseでやっていこうと思ってる』と返ってきて、その時に『もしかしたら本気でやっていくことになるのかも』と考えるようにはなりました」

ソロライブの目標も明かした大島真帆【写真:増田美咲】
ソロライブの目標も明かした大島真帆【写真:増田美咲】

個を尊重するPenthouseが目指す先「この6人でできるだけ長く楽しくバンドを続けたい」

――大島さんは25年9月に会社を辞められたばかりですが、まだ働かれているメンバーもいらっしゃいますね。スケジュール調整など苦労はされませんか。

大島「ドラマーの平井(辰典)とギターの矢野(慎太郎)が働いています」

浪岡「有給がなくなる時もありますね……」

大島「ツアーがあると、どうしても角野の予定を第1優先に組むので、平日にライブすることも多くなります。そうすると有給が足りないという現実には直面しますね」

――その辺りはメンバーでも調整しながら、尊重されているんですね。

浪岡「そうですね。レコーディングはフレックスの時間をうまく使って、午後にササっとやったり、MVはメンバーを出さず、アニメにするだけでも1日有給が節約できたりもしますね」

――有給を節約という考えはPenthouseならではの形ですね(笑)。社会人とバンドマンの2つの生活を大事にされているんですね。

大島「あの2人はそんな感じがしますね」

浪岡「特に平井は、絶対辞めないぐらいの感じだと思います。続けたかったら続ければいいと思います。辞めることを強制しないことは、バンドを組む時にある程度決めてもいました」

――大島さんはなぜ25年9月というタイミングで退職を決断されたのでしょうか。

大島「ずっと“辞める辞める詐欺”みたいな感じにはなっていました(笑)。ダラダラ続けていたんですけど、前回のツアーでの東京・国際フォーラムでのライブが終わった後に、1番近くで見てくれている夫から『もうそろそろ辞めてもいいんじゃない』と言ってもらえました。

 それと、いつもお世話になっている照明スタッフの方から『あなたはもうスターだから、みんなが会いたくても会えない存在になった方がいいんじゃない』と言ってもらえたんです。かなりお酒も入っていたのですが、そうそうたるスターを見てきた方にそう言っていただけて、それがすごく大きかったのかもしれません。『あ、そろそろ変わらなきゃいけないのかな』って」

――東大出身や高学歴バンドといった枕詞を使われることも多いかと思いますが、その辺りはどのように捉えていらっしゃしますか。

浪岡「どうですかね……。高学歴ではあるので、事実だなーと思っています(笑)」

大島「間違いないよね(笑)」

――皆さん頭が切れる方々だと思います。勝手ながらぶつかり合うことも多いのかなと勘ぐってしまいます。

浪岡「見る人が見たらぶつかってると思うかもしれないですけど、当人たちは議論だと言い張ってるような感じではありますね」

大島「淡々としてるよね。感情的に言い合うというよりも、淡々と議論してる感じです(笑)」

――その中で紅一点の大島さんはどういった立ち位置を意識されているのでしょうか。

大島「変に口出しをしないようにはしています。一応は紅一点なので、特に組んだ当初は、自分が空気を和らげられるようにというのは、心掛けていたかもしれないです」

――3月の武道館もチケットが完売するなど、順調に広がりを見せているかと思います。現在は何を目指して活動されていますか。

浪岡「あまり大きいことは考えていないです。音楽は楽しいので、それが続けられたらいいなっていうことぐらい。そのためにはヒット曲があった方が続けやすいだろうなという感覚です。逆に、音楽で誰かに寄り添いたいみたいな気持ちは全くないんです。音楽ってそんな真面目に聞くもんじゃないと思っていて、気分が良い時により気分が良くなったり、気分がちょっと沈んでる時に、ちょっとだけ気分が良くなったり、その程度のものを作っていきたいですね」

大島「私も本当にこの6人でできるだけ長く楽しくバンドを続けたいというのが1番です。学生時代はソロでやっていきたいと思っていましたが、バンドを組んでからは、バンドで歌っている自分が1番好きになりました。せっかくこの6人でここまで来れたので、この先もみんなが幸せな状態でずっと続いていけたらいいですね。そのためにもたくさんの人に聞いてもらって、たくさんのお客さんにライブに足を運んでもらって、みんなにハッピーな気持ちで帰ってもらえるようなバンドであり続けたいです」

――ライブ会場も着実に大きくなっていますが、その光景はどのように映っていますか。

大島「お客さんの層がすごく幅広くなってきたと感じています。最初は角野経由で来てくださったお客さんが大半でした。今では、小さいお子さんを連れたお母さん、ファミリー、カップルや学生などいろんな方々が来てくださっているのが目に見て分かるようになってきていて、それをリアルに確認できることはすごくうれしいですね」

――Penthouseとして、将来的にどういったバンドになることを目標とされていますか。

浪岡「本当に日本中誰もが知っているような曲を作りたいとは思っています」

――ソロ活動への興味などもあったりはするのでしょうか。

浪岡「ソロはあまり面白くないんじゃないかなと思っています」

大島「意外ですよね(笑)」

浪岡「1人でライブをしてもあまり楽しくないかなって。作るのは1人でもいいんですけどね」

大島「私はソロライブをいつかやりたいと思っています。ラジオパーソナリティーのレギュラーを持つことも目標にしているので、頑張りたいです!」

□Penthouse(ぺんとはうす)浪岡真太郎(Vo/G)、大島真帆(Vo)、角野隼斗/Cateen(Pf)矢野慎太郎(Gt)、大原拓真(Ba)、平井辰典(Ba)の6人からなるシティソウルバンド。東京大の音楽サークル・POMPで出会い、2019年6月より活動開始した。21年11月にEP『Living Room』でビクターからメジャーデビュー。26年3月にはを果たす。2023年3月に1stアルバム「Balcony」をリリース。2024年11月に2ndアルバム「Laundry」を発表した。26年3月16日にはバンド初となる日本武道館でのワンマンライブ『Penthouse ONE MAN LIVE in 日本武道館 “By The Fireplace”』を開催する。

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