「死ね、クソババア」消滅…泉ピン子、舞台名変更に恨み節「くだらない時代」

俳優の泉ピン子が、今年4月から全国ツアーが行われる舞台『声舞劇!終活を始めた途端、55歳の息子が帰ってきました』で主演を務める。御年78歳。俳優人生の集大成とも言えるこの時期に「終活」をテーマにした作品に挑むわけだが、昨年には『終活やーめた。』というエッセーを出版している。

インタビューに応じた泉ピン子【写真:増田美咲】
インタビューに応じた泉ピン子【写真:増田美咲】

『声舞劇!終活を始めた途端、55歳の息子が帰ってきました』で主演

 俳優の泉ピン子が、今年4月から全国ツアーが行われる舞台『声舞劇!終活を始めた途端、55歳の息子が帰ってきました』で主演を務める。御年78歳。俳優人生の集大成とも言えるこの時期に「終活」をテーマにした作品に挑むわけだが、昨年には『終活やーめた。』というエッセーを出版している。(取材・文=平辻哲也)

 エッセーでは「終活はやめた」と言いながら、舞台では「終活」をする母親を演じる。そこが面白い。

 舞台は、保坂祐希氏の小説『「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきました』が原作。しかし、舞台のタイトルからは、この衝撃的なフレーズが消えた。

「本当は原作通りのタイトルが面白かったんだけど、今は使えないのよ」

 昭和の芸能界を生き抜いてきた彼女にとって、ちょっとした言葉狩りですぐに炎上する今の世の中は、いささか窮屈に映るようだ。

「私たちの世代からすると『くだらない時代になったな』とも思うけど、それが今のルールだからね」。著書でも、「多様性」を主張する人が古いものを排除することへの違和感を綴っている。舞台のタイトル変更は、まさに彼女が感じる「現代のピンチ」を象徴する出来事だったのかもしれない。

 エッセーのタイトル通り、形式ばった「終活」には背を向けているのかと思いきや、実は自身の“しまいじたく”は驚くほど具体的だ。

「私はもうお墓も作ってあるの。人に迷惑をかけたくないから」

 お葬式に関しては確固たる信念がある。「葬式はやらない。人の葬式にも行かない」というのだ。そのきっかけとなったのは、1992年に事故で急逝した親友・太地喜和子さん(享年48)との別れだった。

「太地喜和子の葬式に行った時、死んだ顔を見てしまったの。そうしたら、あの人の笑顔が出てこなくなっちゃった。亡くなった顔しか浮かばなくなって……。杉村春子先生もよく『死んだ人の顔を見ちゃだめよ』っておっしゃってたけど、本当にそうだった」

 そのつらい経験から、親しい森光子さんや山岡久乃さん、さらには西田敏行さんの葬儀にも参列しなかった。「行かなきゃ、見なきゃ、死んでないと思えばいいから」。それは冷淡さではなく、生前の生き生きとした姿だけを胸に留めておきたいという、彼女なりの深い愛情表現なのだろう。

橋田壽賀子さんの死で変化した“終活”観を語った【写真:増田美咲】
橋田壽賀子さんの死で変化した“終活”観を語った【写真:増田美咲】

恩師・橋田壽賀子さんの死で「終活」に対する考え方が変化

 また、自身の「終活」に対する考え方に影響を与えたのが、熱海移住のきっかけを作った恩師・橋田壽賀子さん(2021年、享年95)の死だったという。泉は、橋田さんの遺志が十分に果たされなかったのではないか、と心を痛めている。

「先生は生前、『(私の死後)3年間はそのまま置いておいて』とおっしゃっていたの。『1億8000万円残しているから、それで3年間はお手伝いさんを雇って、私が生きているのと同じようにご飯を出して。で、3年経ったら整理してくれ』って。私はそう聞いていたのに、実際には3か月で片付けられちゃった。それは先生の遺志と違っていると思うのよね」

 遺言にお金を残していても、本人の思い通りになるとは限らない――。その現実を目の当たりにしたことが、形式にとらわれない彼女流の“終活”観につながっているのかもしれない。

 舞台『声舞劇!』では、家出した息子と再会する母・晴恵を演じる。自身の信念を貫く泉ピン子が、舞台の上でどんな「家族の再生」を見せてくれるのか。

□関連番組 BSフジ『ピン子が行く! 終演支度~ピン活編~』放送日時:3月22日午後2時30分

撮影協力:お葬式のむすびす「西葛西セレモニー江戸川区球場前ホール」

スタイリスト:森外 玖水子
ヘアメイク:林 香織(ヘアーベル)

□公演情報 『声舞劇!終活を始めた途端、55歳の息子が帰ってきました』 原作:保坂祐希『「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきました』(講談社)
脚本・演出:シライケイタ 出演:泉ピン子、佐藤隆太、星野真里、あめくみちこ
日程:2026年4月25日(土)17:00開演、26日(日)14:00開演
会場:東京・シアター1010 チケット:8000円(全席指定・税込)
※ほか茨城、栃木、熊本、佐賀、兵庫、山形、秋田、愛知、大阪、岡山、広島、鳥取など全国ツアーあり。
公式サイト:https://shukatsu-hahamusuko.com/

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