「寿引退はもういい」岩谷麻優が“プロレスとの結婚”宣言 女子初のIWGP&GHC王者が明かす2人のライバルとは

2011年1月23日にデビューし、先日15周年記念試合を行った岩谷麻優。林下詩美を挑戦者に迎え、GHC女子王座の防衛戦を行い、見事勝利をおさめ岩谷の16年目は勝利から始まった。しかし、2025年は激動の1年だった。インタビュー後編では、マリーゴールドへ移籍してからの激闘を振り返ってもらい、今後の展望についても聴いた。

15周年記念試合、そして今後の展望を語った岩谷麻優【写真:橋場了吾】
15周年記念試合、そして今後の展望を語った岩谷麻優【写真:橋場了吾】

相手が120%の技を仕掛けてきて、受けきれたときの自分が好き

 2011年1月23日にデビューし、先日15周年記念試合を行った岩谷麻優。林下詩美を挑戦者に迎え、GHC女子王座の防衛戦を行い、見事勝利をおさめ岩谷の16年目は勝利から始まった。しかし、2025年は激動の1年だった。インタビュー後編では、マリーゴールドへ移籍してからの激闘を振り返ってもらい、今後の展望についても聴いた。(取材・文=橋場了吾)

 2025年10月26日。マリーゴールドの両国国技館大会のメインのリングに立った岩谷の対角には、イヨ・スカイが立っていた。かつて岩谷がデビューしたスターダムにおける先輩・紫雷イオが、WWEのスーパースターとして日本への里帰りを果たした。実に7年半ぶりのシングル戦、岩谷はイヨのムーンサルト・プレスに3カウントを許した。

「空気感は凄かったですね。ちょっとイオさん(あえてこの表記とする)に空気を持っていかれたのは、すごく悔しかったですね。こっちの方がホームなのに、『イヨ』コールも凄かったですし……。7年半前との違いは、オーラですね。イオさんのブランド力が上がったのを感じました。(スターダムをやめたときに)アメリカ行きはまったく考えませんでした。犬と猫と離れて暮らすことはないですし(笑)、日本が好きですからね。日本からどれだけ世界に広げていけるか、これは前から変わっていないです」

 そして今年に入って1.3大田区大会でマーベラスの彩羽匠からGHC女子王座を奪取。女子では初のIWGP王座とGHC王座の両方を獲得した選手となった。

「5年ぶりくらいだったのかな、相変わらず強かったですよ。スタミナもパワーも凄いというか、凄いところだらけでした。彼女も後輩がたくさんできて教える側の人間になっているじゃないですか、そりゃみんな匠から教えてもらいたいよね、という感じです。(対抗戦という意識は)何も考えていないかもしれないですね。団体のことよりも、岩谷麻優の戦いをするだけ……昔からそうかもしれないです」

 岩谷の試合を見ていると、あるタイミングでいわゆる“ゾーン”に入ることがある。とにかく相手の技を受けまくる。もうだめだという場面が何度あっても、そこからが岩谷の真骨頂。何度も立ち上がっては、相手に立ち向かっていく。

「相手の技を受けている自分が好き、だからじゃないですかね。映像を見返すときも、自分が攻めているところはあまり見ないんですよ。相手が120%の技を仕掛けてきて、受けきれたときの自分が好きなんです。だからいつもボコボコにやられてしまうんですが……本当にバカやってるなあと。後から後悔するんですよ、あれは避ければ良かったかなと(笑)。いいのをもらっちゃうと、サクッと負けることもありますし。(返していても)身体的には終わっていることもありますよ、気づいたら返していて、気づいたら勝っているという感じで。

“スーパーモード”に入ると、記憶が飛んでいることもありますし。自分の限界を超えている……わかりやすくいうと、ランナーズハイですね。さっきまで疲れていたのに、体が楽だぞ、みたいな感じで。自分は受けまくるからアドレナリンが出て、“スーパーモード”に入りやすいのかもしれないです。実はスタミナも全然ないですし……。勝つためには、思いっきりボコボコにやってもらった方が勝ちやすいのかもしれないですね(笑)」

 プロレスにはケガはつきもの、ではあるが昨今の技の攻防について岩谷はどう考えているのか。

「技術が足りてないから、ケガをさせてしまうということだと思います。技をかける方は、相手の命を預かっているので。ケガをするのはどの選手でもあることですけど、技術を上げて、その技をかけても100%ケガさせない自信がある技なら使えばいいと思います。相手をケガさせずに終わらせることが一番大事なことだと思います、プロレスにおいては。(筆者「気持ちは折るけど、ケガはさせない」)はい」

マリーゴールドの中心選手として団体を支える【写真:(C)マリーゴールド】
マリーゴールドの中心選手として団体を支える【写真:(C)マリーゴールド】

今の女子プロレス界の中では彩羽匠と林下詩美がライバルになるのかな

 そして1.24後楽園大会。岩谷のデビュー15周年記念試合として、林下詩美を相手にGHC女子王座の防衛戦を行い勝利。林下とはスターダム時代から鎬を削ってきた中ではあるが、林下は旗揚げからマリーゴールドに参加。記者会見では、岩谷が移籍してくるまでの1年間の苦悩を隠すことなく、涙ながらに語っていた。

「詩とは、お互いが本当に大事な場面で対角にいる存在だったなと。自分が赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を獲られたのも詩でしたし、IWGPのトーナメントでもシングルをやってそのときは自分が勝って。詩が(プロレス界に)入ってきたときは、とんでもない新人が現れたなと思いましたし、すんなりとトップグループに来たのはすごいなと思いますね。自分のライバルは、イヨさんだったり、かつては花月だったりと思っていましたけど、今の女子プロレス界の中では匠と詩になるのかなと思います」

 試合前はそう語っていた岩谷だが、林下との試合後にはマイクで「これからは一緒に、マリーゴールドでいい思い出を作っていこう」と呼びかけた。そしてバックステージでは、改めてマリーゴールドで戦っていくことを力強く語った。

「改めてこの(マリーゴールドの)メンバーで今日を迎えたこと、これは素敵な道だなと思いました。来月33歳になるけど、寿引退はもういいや(笑)。プロレスと結婚して、プロレスと共に歩んでいく。その人生を、悔いなく正解の道にしていく。離れていた1年、詩は色々な重圧に耐えていたと思うけど、これからはみんなで一緒にいろんな覚悟を分散して乗り越えていこうね」

 最後に、2026年の展望を改めて聴いてみた。

「今はスーパーフライとGHCを持っているので、それらをどう生かすのか。自分も二面性の顔を持たないといけないと思うんですよね。同じような試合をしていたらメリハリもなくなっちゃいますから、自分の色をつけながら2本のベルトをどう生かしていくのか、このことしか考えていないです。スーパーフライは(南)小桃の挑戦を受けますが(1.30新宿大会)、半付き人みたいな感じにしてもらっていて、自分が昔イヨさんにしてもらったように、一緒に成長していけるような選手に育てたいなという気持ちもありますね」

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