22歳・片岡凜、原点は「異次元でぶっ飛んでいるお父さん」 二人三脚で歩んだデビュー秘話
俳優の片岡凜が、昨年12月26日公開のアニメーション映画『この本を盗む者は』(福岡大生監督)で声優に初挑戦し、主人公の高校生・御倉深冬の声を担当した。実写とは異なる表現の世界で、どのように役と向き合い、何を学んだのか。さらに、物語の大きなテーマでもある「本」との関係性についても、率直な言葉で語ってくれた。

アニメーション映画『この本を盗む者は』で主人公の声を担当
俳優の片岡凜が、昨年12月26日公開のアニメーション映画『この本を盗む者は』(福岡大生監督)で声優に初挑戦し、主人公の高校生・御倉深冬の声を担当した。実写とは異なる表現の世界で、どのように役と向き合い、何を学んだのか。さらに、物語の大きなテーマでもある「本」との関係性についても、率直な言葉で語ってくれた。(取材・文=猪俣創平)
本作は架空の書物の街・読長町を舞台に、2人の少女が本の世界を旅する冒険ファンタジー。片岡は声優として初主演し、本嫌いな高校生・御倉深冬(みくら・みふゆ)を演じた。深冬を冒険に誘う謎の少女・真白の声を俳優・田牧そらが務めた。
片岡は今回のオファーに、「すごくびっくりしました。でも、アニメの声優さんのお仕事は以前からやらせていただきたいとずっと思っていたので、とても楽しみでした」と心境を素直に語った。
実際にアフレコに臨んでみると、普段の実写作品の現場とは「表現の仕方が全然違う」と驚きもあり、「俳優としても声は意識しているんですけど、自分の声だけで人に言葉を伝えないといけないのは難しかったです。一つのセリフの中で何を一番伝えたいのかをすごく考えましたし、いろんなパターンを現場で試しました」と試行錯誤したという。
演じた深冬は巨大な書庫「御倉館」を代々管理する一家の娘。ある日、御倉館の本が盗まれたことをきっかけに、町が“ブック・カース”と呼ばれる呪いに覆われ、本の世界へと飲み込まれてしまう。町を救うため、深冬は不思議な少女・真白と共に、本泥棒を捕まえる旅に出る――。
収録に向けて脚本だけでなく、原作となる2021年本屋大賞でノミネートを果たした深緑野分氏による同名小説のほか、コミカライズ版にも目を通して、深冬や作品のイメージを膨らませた。
「コミカライズ版はすごく参考にさせていただきました。脚本と一緒に読みながら、深冬の声はどんな感じなのか考えました。どこにでもいるような女子高生に見えたので、何か特別な感情を出すというわけではなく、常に少し気だるさが漂っているような、『あーめんどくさいなー』という雰囲気は意識していました」
しかし、物語が進むにつれて深冬にも変化が起きていく。そのグラデーションも、声で丁寧に表現した。
「最初はとにかく『だるさ』と『普通の女子高生』に見えるように心掛けました。でも物語を通じて、どんどん成長して“自分の強さ”を出していきますし、いろんなことに純粋に驚いたりするので、振れ幅を持たせるように声のイントネーションと強さは意識しました」
初めての声の仕事に戸惑いがありながらも、「収録が進んでいくにつれて、自分でも成長しているなと感じましたし、監督にも『レコーディングが上手くなっている』と言っていただけました(笑)」と手応えもつかんだ。

お気に入りの一冊は伊坂幸太郎氏による人気小説
深冬は書庫を管理する一家の娘でありながら、実は本嫌いというキャラクターだ。もっとも、演じる片岡は「本が好きです」とキッパリと語り、「何かに集中したい時とか、ここじゃない場所に逃げたい時のいい“逃げ道”になってくれています」と日頃から本を持ち歩いているという。
好きなジャンルはサスペンスやミステリー。好きな作家について尋ねると、「伊坂幸太郎さんが好きです。『ゴールデンスランバー』が一番好きです」と明かした。記者も同じ伊坂ファンだと打ち明けると、パッと表情が明るくなって「え! 本当ですか? 何がお好きなんですか?」と逆質問。『チルドレン』や『死神の精度』など短編集もオススメと伝えると、「『死神の精度』はこの前買って、これから読むところなんです! 読んでみます!」と声を弾ませた。
実は片岡の読書体験や映画の好みには、父親の影響が色濃く、「私は父と仲がいいので、父が『これ面白かったよ』とか『見てみたら』と言ってくれたものを中心に選択することが多いです」と明かした。
父の存在は仕事をする上でも大きいようだ。2022年にTikTokの投稿が注目され、現在所属する芸能事務所・フラームからのスカウトで芸能界デビューを果たしたが、そうしたSNS活動の際も「高校生の頃に俳優になろうと思って、TikTokを始めました。撮影は父が手伝ってくれて、編集も一緒にやってくれました」と夢に向かって二人三脚で歩んできた。
そんな父を娘は「異次元でぶっ飛んでいるお父さんです(笑)」と分析する。だがそこには、父への深い尊敬の念があり、片岡自身の価値観を形作ってきた。
「生き方とかは、父の影響がすごく大きいです。私も常に異次元でいたくて、型にハマらない人間でいたいんです(笑)。周囲と違うことは今までもあって、人と違っても大丈夫だと教えてくれたのは父ですね」
初めての声優挑戦で得た経験、そして本や父親から受け取ってきた価値観。そのすべてが俳優として表現の幅を広げ、人として成長させていく。
□片岡凜(かたおか・りん)2003年10月6日、群馬県出身。21年春に開設したTikTokとインスタグラムで注目を集め、同年末に芸能事務所・フラームに所属。22年にシンガーソングライター・優里のミュージックビデオ『レオ』で俳優デビュー。同年、TBS系連続ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』でドラマ初出演を果たす。24年、NHK連続テレビ小説『虎に翼』で高校生・美佐江役を“怪演”し話題に。そのほか、フジテレビ系月9『嘘解きレトリック』、TBS系日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』などにも出演。26年1月期にはテレビ東京系『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』、日本テレビ系『パンダより恋が苦手な私たち』へのドラマ出演も控える。
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