長い旅路を振り返り、新たな景色に触れる壮大なオーケストラコンサート 「Eorzean Symphony」レポート

オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』のオーケストラコンサート「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2025 -Eorzean Symphony-」が、12月27日と28日に東京国際フォーラム ホールAで開催された。本稿では、27日に開催された昼公演の模様をレポートする。

毎回、高い人気を誇る『FFXIV』のオーケストラコンサート【写真:(C) SQUARE ENIX/カメラマン:山川哲矢】
毎回、高い人気を誇る『FFXIV』のオーケストラコンサート【写真:(C) SQUARE ENIX/カメラマン:山川哲矢】

『FFXIV』国内4度目のオーケストラコンサート

 オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』のオーケストラコンサート「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2025 -Eorzean Symphony-」が、12月27日と28日に東京国際フォーラム ホールAで開催された。本稿では、27日に開催された昼公演の模様をレポートする。

 2017年9月に「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2017 -交響組曲エオルゼア」として初開催され、その後も国内・海外でたびたび開催されてきた。今回は国内で3年ぶり4度目の開催となる。

 指揮はおなじみの栗田博文、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、コーラスはGLORY CHORUS TOKYO。ゲストボーカルにアマンダ・エイケンとジェイソン・チャールズ・ミラーを迎えての公演となった。

 最新の大型拡張パッケージである『黄金のレガシー』までカバーする本公演は、それぞれの拡張パッケージでの楽曲を順に演奏していく構成。まずは「ファイナルファンタジー」シリーズを代表するオープニングテーマのアレンジである「そして世界へ」で、オーディエンスをエオルゼアの世界観へと引き込んだ。

 1曲目を終え、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹がMCとして登場し、会場に足を運んだ光の戦士(FFXIVプレイヤー)たちへの感謝を述べる。そして『新生エオルゼア』から重厚なサウンドとコーラスが美しく融合した「天より降りし力」、駆け出し冒険者時代を思い起こさせる「希望の都」、ストーリー上での最初の大一番にふさわしい「究極幻想」と続き、栗田の指揮にも熱がこもっていく。

 その後のMCでは、吉田とともにサウンドディレクターの祖堅正慶も登場。荘厳な演奏に「すごいでしょ?」と観客と感情を共有すると、次のセクションからは『蒼天のイシュガルド』の楽曲へ。「彩られし山麓 〜高地ドラヴァニア:昼〜」では静謐なイシュガルドの雰囲気と歴史の重みを感じさせ、「Dragonsong」はアマンダの切なくも力強い歌声が蒼天の旅路と重なり合う。そして「メビウス 〜機工城アレキサンダー:天動編〜」迫力満点の演奏が“時間停止”し、吉田と祖堅が「ちんどん屋」として客席の中段を横切るというファンサービス(?)も披露された。

 プログラムは進み、続いて『紅蓮のリベレーター』関連の楽曲へと移っていく。苦難と希望のせめぎあいが伝わる「塩と苦難の歌 〜ギラバニア湖畔地帯:昼〜」、ヨツユの生き様が克明に表現された「月読命之唄」、そして「鬨の声」ではボス戦BGMの名曲がコーラスの迫力でさらにパワーアップし、光の戦士たちの感情を揺さぶった(余談だが、最大の盛り上がりどころではなぜか“余輩さん”ことマグナイがスクリーン上でドアップとなっていた)。

ジェイソンは圧巻のボーカルを披露した【写真:(C) SQUARE ENIX/カメラマン:山川哲矢】
ジェイソンは圧巻のボーカルを披露した【写真:(C) SQUARE ENIX/カメラマン:山川哲矢】

『漆黒のヴィランズ』から『黄金のレガシー』へ

 20分間の休憩を挟み、ここからは作品全体でも屈指の人気を誇る『漆黒のヴィランズ』のセクション。推しも押されもせぬアンセム「Shadowbringers」をジェイソンが歌い上げて幕を開ける。続くアマンダ歌唱の美しくも儚い「Tomorrow and Tomorrow」は、グ・ラハ・ティア、アルバート、エメトセルクの感情が聞こえてくるかのよう。「To the Edge」での優しい歌声は、必ずしも善と悪では分けられないエリディブスの境遇と心境に寄り添うようだった。

 そしてここからはついに『暁月のフィナーレ』の楽曲へ。「Close in the Distance」では過去の旅路すべてに思いを馳せる光の戦士たちと、その思いを包み込むようなジェイソンの歌唱が共鳴する。続く「Flow」は結末に向かう物語を繊細なサウンドが温かく彩り、メーティオンやヴェーネスの心に触れるような感覚をもたらしてくれた。

 最後のセクションは最新大型拡張パッケージの『黄金のレガシー』。「山峡の涼風 ~オルコ・パチャ:昼~」は異郷の地での冒険を重厚なオーケストラサウンドで再発見し、それまでと違う冒険を音で感じる時間に。重なり合うコーラスが美しい「Give It All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」、新しい世界の広がりを壮大に表現する「Smile」と続き、いったんの幕引きを迎えた。

 アンコールでは「新生エオルゼア」から「暁月のフィナーレ」まで続いた物語を一気に回想する「終焉の戦い」が疾走感たっぷりに演奏され、最後は「記憶幻想 ~遠き日々のメドレー~」で新しい冒険の“これから”に期待を抱かせるような明るい締めくくりとなっている。

 その後、記念撮影の時間も設けられ、帰路に就いた光の戦士たちは、口々に印象に残った楽曲や演出について興奮気味に語っていた。今回も大成功となった「Eorzean Symphony」の思い出は、今後も続いていくエオルゼアでの日々に、新しい彩りを与えてくれるだろう。

大盛況のなかで終演を迎えた【写真:(C) SQUARE ENIX/カメラマン:山川哲矢】
大盛況のなかで終演を迎えた【写真:(C) SQUARE ENIX/カメラマン:山川哲矢】

セットリスト

1. そして世界へ
2. 天より降りし力
3. 希望の都
4. 究極幻想
5. 彩られし山麓 〜高地ドラヴァニア:昼〜
6. Dragonsong
7. メビウス 〜機工城アレキサンダー:天動編〜
8. 塩と苦難の歌 〜ギラバニア湖畔地帯:昼〜
9. 月読命之唄
10. 鬨の声
11. Shadowbringers
12. Tomorrow and Tomorrow
13. To the Edge
14. Close in the Distance
15. Flow
16. 山峡の涼風 ~オルコ・パチャ:昼~
17. Give It All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
18. Smile

・アンコール
19. 終焉の戦い
20. 記憶幻想 ~遠き日々のメドレー~

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