篠原涼子、殺人犯役ジェシーと“禁断の愛” 初挑戦の刑務官役に衝撃「道を踏み外す危うさと快感見て」
俳優の篠原涼子が、1月11日スタートの日本テレビ系連続ドラマ『パンチドランク・ウーマン-脱獄まであと××日-』(日曜午後10時30分)に主演し、初の刑務官役に挑む。実話から着想を得た、“脱獄サスペンス”。1990年にデビュー後、今も第一線を走る篠原が、新境地に臨む心境や内面的な変化を等身大の言葉で語った。

実話モチーフのドラマ『パンチドランク・ウーマン-脱獄まであと××日-』で主演
俳優の篠原涼子が、1月11日スタートの日本テレビ系連続ドラマ『パンチドランク・ウーマン-脱獄まであと××日-』(日曜午後10時30分)に主演し、初の刑務官役に挑む。実話から着想を得た、“脱獄サスペンス”。1990年にデビュー後、今も第一線を走る篠原が、新境地に臨む心境や内面的な変化を等身大の言葉で語った。(取材・文=大宮高史)
本作は、アメリカで実際に起きた刑務官と受刑者の逃亡事件をヒントにしたオリジナル作品で、女性刑務官と“殺人犯”の禁断の愛と脱獄劇を描く。篠原は、真面目な刑務官・冬木こずえに挑み、彼女の秘密に大きく関わる強盗殺人容疑の未決拘禁者・日下怜治をSixTONESのジェシーが演じる。さらに、日下の担当刑事・佐伯雄介に藤木直人が扮する。真面目なエリート刑務官が、なぜ道を踏み外していくのか――。篠原は、オファーを受けた当初は衝撃を覚え、一方でその背景にある人間ドラマに共感したという。
「刑務官という役柄自体が初めてでしたし、規律正しく生きている女性が殺人犯と出会い、脱獄を手引きをする話なので、大きな衝撃を受けました。でもなぜそのような行動に出たのか、同時に彼女の心の中を覗いてみたいという、強い好奇心も湧いてきました」
こずえのストイックな刑務官としての姿と、彼女の秘密に関わる若い男と出会って変貌していく過程、どちらにも魅力を感じている。
「彼女は自分の仕事にも社会にも、ものすごく真面目に向き合ってきた人だと思います。そのために、相当強い精神力を保つ努力を続けてきた人だと解釈しています。それが怜治やさまざまな人と関わっていく中で、張り詰めた倫理観が崩れて初めて『本当は弱い自分』をさらけ出すことになっていきます。ようやく自然に呼吸ができるようになっていくような変化を演じられることに、やりがいを感じています」
ドラマの制作にあたり、鈴木亜希乃プロデューサーからかけられたある言葉が、篠原の役作りにおける大きな指針となっている。それは、現代を生きる人々に普遍的なテーマでもあった。
「鈴木さんから、『社会のルールがあると分かっていても、人間だからこそ時には間違った方向へ行きたくなる衝動もある。でも現実に道を踏み外すことはできないからこそ、踏み外す危うさと快感をドラマで感じてほしい』と言われ、心に響きました。道を外すところに不完全ではない人間らしさがあるので、世間の倫理観が、本当に自分にとって正しいのか、と迷う彼女の葛藤を丁寧に表現して、皆さんに届けていきたいですね」
1990年に東京パフォーマンスドールのメンバーとしてデビュー。音楽活動と並行し、90年代から俳優としても多彩な作品に出演してきた。これまで『アンフェア』(フジテレビ系/2006年)などの主演作で、凛々しく困難にもめげない役を好演し、芯の強いパブリックイメージを築いてきた。今回の冬木こずえもその延長線上にある。「劇中、魅力的だと思う人物は?」と記者が聞くと、「どの人も魅力的すぎて……逆にどんな女性が好きですか?」と笑顔を見せながら、茶目っ気たっぷりに逆質問する場面も。だが、続けて意外な言葉が口をついた。
「私自身は『芯』というものがないような気がしています。役柄から精神的な強さを持っていると見られがちですが、私はどちらかというと流されやすいし、自信がないんです。ただ価値観というか、私なりの考え方はあるかなって。あ、でも、(パブリックイメージ通りの)『今日も格好よかった』って書いてくださいね(笑)」

「一度やり始めると止まらない性格で」断捨離でハプニング
さて、今回演じる冬木は、柔道の名手という設定だ。ところが、練習前に思わぬハプニングが起きた。
「実は、柔道の練習の前日に、腰を痛めてしまったんです。家で掃除をしていて、一度やり始めると止まらない性格で、一日中掃除をしていたら、ふとした瞬間に『あ、痛い』となってしまって(苦笑)。それからずっとベッドで横になっていました。翌日の現場は実技もやるつもりで行ったのですが、結局できなくて椅子に座って見学するだけという……。一番周りに気を使わせてしまう、使い物にならない俳優になってしまいました。そんな失敗も含めて、自分の身体を通して、こずえが柔道にかける情熱だけは伝えようと思います」
共演者との関係性も、ドラマでは重要な要素になってくる。運命の相手となるジェシーについては「バラエティーの明るいイメージとは一転して、とても真面目で繊細な方です。今回の怜治役にぴったりですね」と太鼓判を押す。そして、何度も共演してきた藤木には全幅の信頼を寄せている。
「もう10年以上前からご一緒していて、共演者という枠を超えた『戦友』のような存在です。昔から変わらず優しくて、私が自由奔放にお芝居をしても、広い心で受け止めて支えてくれます。だから今回も藤木さんがいてくれるだけで安心感がありますし、甘えて頼って、時には慰めてもらいながら、一緒にお芝居を作っていけるのが本当に心強いですね」
そう笑顔で明かし、現場での充実ぶりをうかがわせた。最近はプライベートでも豊かな時間を過ごしているようだ。自ら能動的に変化を求めたことが、内面の充足につながった。
「この歳になって、『変化というのは誰かが与えてくれるのを待つだけじゃダメだ』と気づかされたんです。些細なことですが、部屋の模様替えや断捨離を始めてみました。物を整理していく作業は、そのまま心の整理にも繋がるし、身の回りの景色を少し変えるだけで、気持ちがリセットされます。そうやって自分で自分の機嫌をとったり、環境を整えたりすることで、内面も良い方向に変わっていけそうと実感しています」
そうして自分自身を整えながらも、心根には、芸能界に入った当初から変わらない、亡き父からの言葉が息づいている。
「父はもう亡くなりましたが、この世界に入る時にくれた『初心忘るべからず』の言葉が、ずっと私の中にあります。だからどんなことが起ころうとも、若い頃に感じた感謝の気持ちや、新鮮な驚き、ピュアな心は絶対に失いたくないですね。一貫して変わらない大切な価値観です」
初心というゆるぎない心を持ち、今後も自分らしく、走り続けていく。
□篠原涼子(しのはら・りょうこ)1973年8月13日生まれ、群馬県出身。90年に東京パフォーマンスドールのメンバーとしてデビュー。94年、小室哲哉プロデュースのシングル『恋しさと せつなさと 心強さと』がダブルミリオンを記録する大ヒットとなる。歌手活動と並行し、俳優としても活躍。ドラマでは日本テレビ系『anego[アネゴ]』(2005年)、フジテレビ系『アンフェア』(06年)、日本テレビ系『ハケンの品格』(07年)などに主演し、注目された。ほか、映画では、『人魚の眠る家』(18年)、『ウエディング・ハイ』(22年)ほかに主演。近年は朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』(23年)、舞台『見知らぬ女の手紙』(24年)などにも出演した。
ヘアメイク: 宮本陽子
スタイリスト: 宮澤敬子(WHITNEY)
衣装クレジット:
ジャケット・パンツ(ハイク/ボウルズ)
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