RIZINガールから異例の広報転身→仕掛けた企画が2600万回再生 意外な日常も告白「満員電車で社会人を感じます」

大みそか恒例のビッグイベント「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで全試合生中継)が開催される。旗揚げ10年目の今年は5大タイトル戦など珠玉のカードが目白押し。そんな熱狂を表からも裏からも支えているのが、元RIZINガールで現在は広報を務める横島加奈だ。華やかなイメージとは裏腹に、その実態は驚くほど「社会人」だった。広報職に就いて1年半。ランチ事情から残業まで、知られざる裏側と仕事への矜持を聞いた。

ラウンドガールから広報に転身した横島加奈【写真:増田美咲】
ラウンドガールから広報に転身した横島加奈【写真:増田美咲】

約1年半前に広報職に

 大みそか恒例のビッグイベント「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで全試合生中継)が開催される。旗揚げ10年目の今年は5大タイトル戦など珠玉のカードが目白押し。そんな熱狂を表からも裏からも支えているのが、元RIZINガールで現在は広報を務める横島加奈だ。華やかなイメージとは裏腹に、その実態は驚くほど「社会人」だった。広報職に就いて1年半。ランチ事情から残業まで、知られざる裏側と仕事への矜持を聞いた。(取材・文=島田将斗)

 30代で初めての「社会人」になった。一番、それを実感するのは通勤電車だ。

「本当に遊ぶ暇もなく、朝の通勤や家に帰る時の家に帰る時、朝のラッシュの満員電車で社会人を感じます(笑)。アイドルの時は満員電車の時間帯に通勤することはなかったので、『みんな毎回こんな思いをしているんだな』と」

 1日があっという間に過ぎていく。午前10時に出社すると業務はメールの確認やLINEの返信からスタートする。「私の場合は、違う会社の方から『写真の素材をください』と言われることがあるので提供したりします」と説明した。

 会社は東京・六本木。お昼休憩は大人な街に繰り出し、おしゃれなランチをしているのかと思いきや、私たちと同じような時間を過ごしていた。

「よく行くのは『丸亀製麺』です(笑)。1人で行って、釜揚げうどんと天ぷら1個をセットにして食べています。わかめとか無料のトッピングをいっぱいいれて食べていますね」

 休憩が終わると午後はSNS動画の作成や更新作業。そのほか、細々した仕事に追われているとあっという間に定時の午後7時を迎える。職業柄、先方とのやり取りがあると残業になることもしばしば。駅のホームでパソコンを開き作業をすることもある。

「試合大会がない日でも全然忙しいです。日々やることがどんどん溜まっていくって感じです。遅いときだと午後10時までやっていることもざらにあります(笑)」

クイズ番組出演時の準備ノート【写真:増田美咲】
クイズ番組出演時の準備ノート【写真:増田美咲】

自学ノートには文字がびっしり

 いまを語る横島の表情はイキイキとしていた。RIZIN広報はそれほどまでもやりたかった仕事。異例の転身は榊原信行代表とRIZIN広報事業部長の笹原圭一氏への直談判から始まった。

「RIZINガールのときから働きたいとは思っていて、社長と笹原さんに相談したんです。『じゃあちゃんと履歴書を持ってきて』と言われて、採用試験を受けました」

 決して特別待遇ではない。面接へ向けての準備も入念に行った。姉に面接官役をお願いし、どんな質問が来ても打ち返せるよう、何度もシミュレーションを重ねた。

 当日は榊原代表、笹原氏のほかに3人が同席する1対5の面接。まさに緊張の瞬間だった。

「『本当にできるの?』『この会社でどういうことしたいですか?』など聞かれました。とにかく元気よく働きたい気持ちを素直に伝えて、『こういうことをやりたい』って展望も伝えました。そうしたら社長から開始10分ぐらいで『採用!』って言われて(笑)」

 晴れて広報になったいま、まさに「RIZINの顔」のひとりとなっているが、ここまでは簡単な道のりではなかった。RIZINガール1年目の合宿で行われた格闘技の知識を問うテストではビリから二番目だった過去がある。「このままガールをやるのはRIZINに失礼だ」と猛勉強をした。

「私自身、最初はそんなにRIZINを知らなかったんです。テスト後は、ここまでのRIZINの歴史と試合があるたびにその選手一人一人を詳しく調べました。最低でも選手の試合の特徴を言えるぐらいになってなきゃと思って」

 SNSでは自作のノートをアップしている。1枚のページに文字がびっしりと敷き詰められた1冊はまさに努力の結晶と言える。

「『肩書きだけのRIZINガール』になりたくなくて。RIZINガールって有名になれる1個一つのチャンスでもあるからので、その肩書きが欲しくてだけでやってみたいという子もいるとは思うんですけど、格闘技ファンには、そこは見抜かれます。ファンにも愛される人になりたいなと思ったので、勉強して知識を得て、格闘技のことを発信できるような人にもなりたいなと頑張りました」

 その姿勢は現在でも変わっていない。ABEMAの格闘クイズ番組出演時にもノートにまとめて挑んでいた。

「今でもまだ覚えきれてないこともたくさんあるので、その都度学んでいこうっていう感じです。でも『大変』というよりは『楽しい』が勝っていますね」

横島加奈が仕掛けた企画が成功している【写真:増田美咲】
横島加奈が仕掛けた企画が成功している【写真:増田美咲】

ラウンドガール時代と会場の景色が変化「お客さんってすごい」

 実際の仕事でも実を結んでいる。自ら立案した企画「横島加奈の母国語インタビュー」のシェイドゥラエフ編は大成功。「#あなたの携帯で選手を撮影します」は2600万回再生を記録している。「社長に褒められたり、数字で結果が出たりするのは『あ、やってよかったな』という気持ちになります」とはにかんだ。

 格闘技最高峰の舞台「UFC」も人とは違う視点で見ている。特にSNSのプロモーションを注視しており「これRIZINでも私っぽく変えてやるのがいいかな」と日々アイデアを集め、横島カラーにアレンジしている。

「ニーナ/Nina-Marie Daniele(UFCの美女レポーター。日本では朝倉海とYouTubeでコラボしたことにより話題となった)さんをめっちゃ見ていますね。そこまでは及ばないけど選手と一緒に動画を撮影して、ああいう感じで何かを生み出せて選手の違う一面を引き出したいです」

 ラウンドガール時代と同じ会場でも、その景色はまるで変わった。盛り上がっている観客を見て感動する気持ちはより深まった。

「改めて『お客さんってすごいな』っていうのは日々感じます。毎日いろいろお仕事の準備をして積み重ねていく。私にとってはその成果を見るのがRIZINの本番の日です。満員の景色とかを見ると、『あ、なんか本当にここまでやってきてよかった』って」

「今までにないことをやれているのは光栄です」とうなずく。横島が見据えているのは“元ラウンドガール広報”という枠を超えた存在だ。

「唯一無二の存在だと思うので、もっと今のRIZIN広報を磨き上げていきたいです。格闘技ファンはもっともっと多い。そんな人たちに認められるような『この子がRIZIN広報でよかった』と言ってもらえるような存在になりたいです」

 リング上で選手たちが負ける勇気を持って勝ちに行っているように、横島もまた現状に甘んじず、常に成長を続ける。その姿勢は、格闘技ファンだけではなく、多くの人々の心をわしづかみにするに違いない。

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