なぜ伊澤星花はここまでRENAにブチギレているのか 明かした水面下のリアル「本当に振り回された」

RIZINスーパーアトム級王者の伊澤星花は大みそか恒例のビッグイベント「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで全試合生中継)で挑戦者・RENAを迎えてタイトル戦を行う。ここ数年の伊澤は“RENA”という言葉が出ると「逃げた」と罵り表情が曇る。なぜ、そこまで怒っているのか。本人に迫った。

インタビューに応じた伊澤星花【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた伊澤星花【写真:ENCOUNT編集部】

連絡の遅さにいら立ち「怪我でできないのは別にいい」

 RIZINスーパーアトム級王者の伊澤星花は大みそか恒例のビッグイベント「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで全試合生中継)で挑戦者・RENAを迎えてタイトル戦を行う。ここ数年の伊澤は“RENA”という言葉が出ると「逃げた」と罵り表情が曇る。なぜ、そこまで怒っているのか。本人に迫った。(取材・文=島田将斗)

 そもそも因縁の始まりは、2022年のRIZIN女子スーパーアトム級ワールドグランプリにさかのぼる。

「最初の会見でRENA選手が『伊澤選手に勝てるのは私しかいない』って言ってきたんですよ。(浅倉)カンナ選手、浜崎(朱加)選手、パク・シウ選手……全員に勝てないじゃないですか。なのに『勝てる』って。まずそこでイラッとして」

 さらに伊澤をいら立たせたのは、その後の対応だった。RENAは1回戦でアナスタシア・スヴェッキスカ(ウクライナ)と対戦し判定勝利。しかし眼窩底骨折の回復が間に合わず準決勝を欠場。対戦は消滅した。

「怪我でできないのは別にいいんです。でも、RIZINに言うまでの期間が長すぎる。怪我は試合でしたものだから、終わって病院へ行けば分かるはず。なのに、それを1か月とか延ばしてきて……。『いやいや、もっと早く言えよ』と思ったのが始まりですね」

 その後もリング外での“場外戦”は続いた。超RIZINという大舞台で「伊澤さんじゃ女子格を担えない」と挑発されたこともあった。「どの口が言ってるんだ、自分が負けて試合できなかったのによく言えるな」と腹を立てていたが、決定的だったのは23年の大みそかと、今年5月の『男祭り』だ。

 何度も対戦の機運が高まりながら、そのたびにRENAの負傷などで直前に消滅した。

「大みそかも怪我でギリギリまで決めなくて。結局急きょ決まった海外選手とやることになって。早く欠場の決断をしてくれれば、もっと幅広く相手を探せる。なのに言ってくれないから『伊澤は強いけど相手が微妙』とファンには言われてしまう。こっちは悪くないのに。5月も『膝の調子が良くない』と引っ張られて、結局ビザが間に合わず海外選手も呼べないから、私は試合すら出られなくなりました」

「本当に振り回されてますよ」とため息をつく。それでも、この試合を受ける理由は一つだ。

「今まで、浜崎選手、山本美憂選手、カンナ選手と全員やってきている。まあ、あと一人だなと。初期RIZINの女子を盛り上げた選手を倒してきて、残る一人をようやく倒せる時が来たなと思います」

会見では怒りをあらわにした【写真:増田美咲】
会見では怒りをあらわにした【写真:増田美咲】

対策練習はゼロ「負ける要素がない」

 何度も「やるやる詐欺」に遭ってきたからなのか。大一番を前にしても、伊澤は「対策練習は全然してないです」と言い切る。

「『(試合が)決まるかも』みたいな感じなんで。私は決まったら練習するというスタンス。逆にRENA選手はずっとやるつもりで、ボンサイ柔術に行ったり対策しているんじゃないですか。意識は向こうの方がしていると思います」

 対策ゼロでも、負けるイメージは皆無だ。

「どうやっても自分が勝つなと思います。打撃が強いとは言え、これまでの試合を見ても急に失速したり、ケイト選手にも1R目は取られていた。負ける要素がないですね」

 1年半の間、試合から遠ざかっていたRENAと、防衛戦を重ねて進化し続けた自分。積み重ねてきたものには差がある。「自分のやりたいことを一方的に押し付けようかなと思っています。速攻、極めます」と豪語した。

 11月に試合をしたばかりだがコンディションも万全だ。普段から減量幅は少ないため、通常体重とほぼ変わらない状態でリングに上がる。

「みんな試合前にガッと落としてコンディションが変わっちゃうんですけど、自分は大体通常体重で挑むので。練習と同じ動きができます」

 格闘技を初めて見た2017年の大みそか。テレビの向こうで試合をしていたRENAはいまや「倒すべき最後のターゲット」になっている。数々の因縁と怒りを力に変え、絶対女王が介錯に向かう。

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