Suchmos、アジアツアー完走で5年越しの“リベンジ”果たす 来年以降にも言及「何かやります」
ロックバンド・Suchmos(サチモス)が12日と13日、東京・Zepp Hanedaで「Asia Tour Sunburst 2025」のファイナル公演を開催した。活動再開後初となる本ツアーの終着地で“今のSuchmos”を音楽を通して体現した。本記事では12日公演の模様をレポートする。

Zepp Hanedaで「Asia Tour Sunburst 2025」を完走
ロックバンド・Suchmos(サチモス)が12日と13日、東京・Zepp Hanedaで「Asia Tour Sunburst 2025」のファイナル公演を開催した。活動再開後初となる本ツアーの終着地で“今のSuchmos”を音楽を通して体現した。本記事では12日公演の模様をレポートする。
2024年10月に活動再開を発表し、今年の6月には神奈川・横浜アリーナで5年8か月ぶりとなるワンマンライブを開催していたSuchmos。10月からは国内9か所、海外はソウル・上海・台北・バンコクと計13都市をめぐる全国ツアーを開催した。会場はすべてライブハウス。プレミアチケットを手に入れた多数のファンで、この日のZepp Hanedaは2階後方の立見エリアまでビッシリと埋め尽くされた。
定刻を迎え、幻想的なSEとともにステージに現れたメンバーたち。YONCE(Vo)は、マイクスタンドの前に立つとフロアへ向かって深くお辞儀をして、1曲目へと突入した。
TAIHEI(Key)のキーボードの優しい音色で幕を開けると、YONCEがハイトーンボイスを響かす。スモークがかったステージをオレンジの照明が幻想的に照らす。サンセットを思わせるような演出で『Pacific』を歌い上げた。
続けるのは、最新EPに収録された『Eye to Eye』だ。ステージが明るくなると、メンバーの表情が浮かび上がってきた。心地よいリズムにフロアは揺れる。YONCEが独特なリズムで音の波を泳ぐように、ゆらゆらとステージを横切っていく。

未配信の新曲『To You』も披露、ファンクなビートに合わせて首を振り乱す
3曲目の『ROMA』では雰囲気が一変。赤いライトがけたたましく光り、サイケデリックな世界観へと誘う。そして、流れるように『Ghost』へとつなぎ、バンドとしての底知れぬ振り幅を見せつけた。
YONCEが「きょうは楽しんでいきましょう。よろしく」とあいさつすると、先ほどまでとは打って変わってアップテンポな『DUMBO』を披露。スポットライトに照らされながら、ポケットに両手を突っ込みながら歌い上げるYONCEの姿はまさにクールだ。視界を奪うほどのストロボライトの中、TAIKING(G)とベースの山本連がステージ前で客席をあおる。そして、『FRUITS』では、時折シャウトを交えながらも、スモーキーな歌声を響かせた。
改めてYONCEが「こんばんは、Suchmosです」とあいさつ。「活動休止を経て、今年の6月に5年ぶりにライブをやって、あっという間の半年でした」と2025年を振り返った。そして今ツアーについて、20年にコロナ禍で中止となった『Suchmos ASIA TOUR 2020』の「リベンジ」の位置づけでもあると明かし、「全部違って面白かったんですけど、やっぱり旅に出て、いろんな土地でライブをさせてもらえることって本当にありがたいことなんだなと思い知らされたツアーでした」と口にした。
さらに、同バンドを育ててくれたライブハウスへの思いを語りながら、「楽器とライブハウスとバンドミュージックをよろしくお願いいたします」と真剣な表情で語った。その後には「すごくいい風なことを言いましたけど、きょうはいっぱい稼がせてもらいます」とオチをつけると、OK(Dr)がドラムのビートを刻み始めた。
大歓声が上がる中で披露したのは、同バンドのアンセムともいえる『MINT』だ。ステージがミントグリーンに染まる。フロアは心地よい音色に体を揺らしながら、思い思いに手の平をかざす。バンドとオーディエンスの周波数が重なった瞬間だった。
『Alright』では、赤いスポットライトがムーディーな雰囲気を醸し出す。客席からは「オーライ」のコールが鳴り響く。派手なVJは使用せず、ステージ上にはバンドセットのみとシンプルな構成だが、照明の色使いで表情がコロコロ変わるのも魅力的だ。
「いけるかー、羽田!」とあおると、未配信の新曲『To You』へとつなぐ。ベースの重低音が響く中、YONCEが「良い子のみんな、変なおじさんには気を付けよう」と首を激しく振り乱す。ファンクなビートに会場も激しく揺れた。

来年の活動についても示唆「なんかやるということだけ覚えておいてください」
続く、『Hit Me, Thunder』では、スポットライトに1人照らされながらギターを弾き語りするYONCE。先ほどまでとは一変しての行き場のない哀愁が会場を満たしていく。さらにストレートな歌詞が胸を打つラブソング『Marry』をしっとりと歌い上げた。
YONCEは、来年については正式なアナウンスはまだできないと前置きしながらも「なんかやるということだけ覚えておいてください。その何かは恐らく東京以外でも行われるでしょう」と示唆した。そして、「ここから過激な演出が続きますので要注意です。Suchmosでした。ありがとう」とラスト5曲へとつなげた。
『A.G.I.T.』では、激しくギターをかき鳴らす。そして、Suchmosをメジャーシーンへと押し上げた言わずと知れた代表曲『STAY TUNE』へとつなげた。TAIKINGと息ピッタリに踊るYONCE。会場に熱気が帯びる中、『808』へとつなげ、観客はクラップで呼応する。
『VOLT-AGE』を披露し、「ありがとうございました。また会いましょう」とあいさつ。「DJ KCEE~!」とKaiki Oharaを紹介すると、小気味よいスクラッチから『YMM』へとつなぐ。ベースのソロパートでは、YONCEがポケットから小さなライトを取り出し、山本の顔を照らすパフォーマンス。自由なステージングを披露し、最後はキーボードの音色で本編の幕を閉じた。
アンコールの大合唱が鳴り響く中、6人が再登場。YONCEは「いろんな人がいろんな気持ちになっていいのがライブハウスとか音楽だと思う」とプラスもマイナスも受け止めるとし、「その気持ちを抱いてくれたことが我々にとってありがたいことでございます」と感謝した。
そして、「『なんかあいつら楽しそうにしてたし、いっか』みたいな気持ちで明日から生きていってくれたらと思います。というか俺はそう思います。きょうめちゃめちゃ楽しみました」と笑顔。続けて、「なんつってな。こうやって年々人から悪く思われないようにしゃべりがうまくなるんですよ。これが30代のうれしいところ、悲しいところ。でもさ、いい感じに摩擦をなくしていけばいいんじゃないですか。そうしたらだんだん丸っこくなっていい感じの球体になって『あ~きれいだね』って。それを目指したいと思っています。ありがとう。Suchmosでした」と独特の表現でメッセージを届けた。
最新EP収録曲の『Whole of Flower』では、ハイトーンボイスを響かせる。スポットライトの下にたたずむ6人。声援が飛び交う中、ラストとなる『Life Easy』へとつなげた。YONCEのシャウトは時には歌声としてではなく、グルーヴを構成するワンパーツのようだ。最後はロングトーンで締めくくった。
ロック、ソウル、ジャズ、ヒップホップ……ジャンルにとらわれないSuchmosらしさがステージ上には広がっていた。洗練されたバンドサウンドと照明演出で見せた楽曲ごとの異なる表情に観客は引き込まれていく。その一方で、ステージ上では、ふざけながら音を楽しむYONCEとそれに呼応するバンドメンバー。まさにライブならではの即興パフォーマンスが心に染み渡る一夜となった。

○Suchmos「Asia Tour Sunburst 2025」
2025年12月12日東京・Zepp Haneda
1.Pacific
2.Eye to Eye
3.ROMA
4.Ghost
5.DUMBO
6.FRUITS
7.MINT
8.Alright
9.To You
10.Hit Me, Thunder
11.Marry
12.A.G.I.T.
13.STAY TUNE
14.808
15.VOLT-AGE
16.YMM
-ENCORE-
EN1.Whole of Flower
EN2.Life Easy

○リリース情報
EP『Sunburst』
収録曲
1. Eye to Eye
2. Marry
3. Whole of Flower
4. BOY
▼Streaming
https://fcls.lnk.to/wof
▼CD購入
https://fcls.lnk.to/Sunburst_EP
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