「1週間でランクル4台盗難」署名4万筆の声が国会動かす ヤード規制法で盗難車“出口”封じへ
自動車盗難撲滅への一歩となるか。近年、再び増加傾向にある盗難事件を受け、国民民主党が「盗難自動車等の処分の防止に関する法律案」(自動車ヤード規制法案)を国会に提出した。解体業者や部品保管業者を対象に、公安委員会への届出や取引記録の保存を義務づける内容で、盗難車の“出口”をふさぐ狙いがある。同党に働きかけを行ってきた「車両盗難を厳罰化にする会」のKUN代表は歓迎しつつ、与野党での議論に期待した。

「犯罪の温床」違法ヤードを規制
自動車盗難撲滅への一歩となるか。近年、再び増加傾向にある盗難事件を受け、国民民主党が「盗難自動車等の処分の防止に関する法律案」(自動車ヤード規制法案)を国会に提出した。解体業者や部品保管業者を対象に、公安委員会への届出や取引記録の保存を義務づける内容で、盗難車の“出口”をふさぐ狙いがある。同党に働きかけを行ってきた「車両盗難を厳罰化にする会」のKUN代表は歓迎しつつ、与野党での議論に期待した。
「この1週間くらいでランドクルーザー250が4台盗まれた。捕まえても次のヤツが出てくる」。自動車盗難の現状に、KUN代表は危機感を募らせてきた。その訴えが、ついに国会を動かした。
「すごくありがたいこと。初期の頃から活動されてきた浜口(誠)先生、国民民主党には感謝しかない。車の盗難は社会問題になっている。これを取り締まるにはヤードを抑えるしかない。現行法ではどうにもならない。そこを打ち破る突破口になる」
2022年3月に「車両盗難を厳罰化にする会」を立ち上げ、元トヨタ自動車社員の浜口政調会長と何度も協議を重ねてきた。実際に車を盗まれた被害者と面会に訪れ、関係省庁にもかけ合った。
自動車盗難の認知件数は、2003年の6万4223件がピーク。その後、大幅に減少したものの、近年は21年から4年連続して再び増加傾向にある。
300万円以上の盗難車の比率は年々上昇しており、24年は全体の42.8%に達した。ランドクルーザーやアルファード、レクサスなど高級車を狙った犯罪が多発している。また、ディーラーや大型駐車場を狙い、一挙に複数台持ち去る悪質な犯行も発生している。にもかかわらず、検挙率は低いままだ。24年は殺人の検挙率96.6%、強盗92.5%に対し、自動車盗難はわずか44.1%。凶悪犯罪の半分以下だ。
盗難車はヤードと呼ばれる解体場に運び込まれ、バラバラにされて海外に輸出されるルートがある。高い壁に覆われ、中が見えづらいため、違法ヤードは「犯罪の温床」と指摘される。日本人のみならず、外国人の出入りも多いため、KUNさんはヤードの規制が不可欠と考え、浜口氏らに訴えてきた。賛同者の署名は4万筆を超えている。
「4万人以上の民意があるのももちろんだけど、政治が取り組まなきゃいけない必須の課題。あとは保守、リベラル関係なく、全党一致で進めていただきたい」と、法案の今後に期待を込めた。
法案では、車両の解体や部品の保管を業として行う事業者に対し、営業開始前に公安委員会へ届け出ることを義務化。店舗には事業者名や届出番号の掲示を求め、原則としてインターネット上でも公開するとしている。
また、車や部品を引き取る際には、相手の本人確認を行い、身分証明書や車検証の確認やコピーを義務づける。取引の日時や内容などの記録は3年間保存しなければならず、盗難車の疑いがある場合には、警察への申告も求められる。
「知らなかった」では済まされない
これらの義務に違反した場合、無届営業や名義貸しには懲役や罰金を科すほか、本人確認や記録保存を怠った場合にも罰金を科す規定を盛り込んだ。悪質なケースでは、営業停止命令を出せるとしている。営業停止命令に違反したときは、「当該違反行為をした者は、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」としている。
浜口氏は「自動車盗難に遭われた被害者の方からも対応を強化してほしいという要望をいただき、今回の法案を作成した。盗難に対する情報の発信もより強化をして、盗難被害に遭われる方が1人でも少なくなるようにしたい」と話す。
法案が成立すれば、解体業者やヤードなどにとっては新たな事務負担が生じる一方、車を持ち込んだ側にも責任が生じる。盗難車の流通経路を断つ効果が期待される。
ネット上では「盗難対策が進むのは評価できる」と法案を歓迎する声が上がる一方、ヤードの実態調査や取締り強化を求める意見も見られた。
KUNさんは「ヤード法に厳罰化ですよね。それが実現すれば、かなり治安も回復するだろうと思います。自民党も高市政権になったから乗っかってくれるとありがたい。分断を生まないためにも、法律を守っている人は認めてあげることも必要。日本人だろうが外国人だろうが、裁きを受けるのは大事。盗品を『知らなかった』と言えば、ウソだとしてもまかり通ってしまう。緩い管理をしているからうやむやにされちゃう」と受け止めた。
法案審議は今後本格化する見通し。成立すれば、自動車盗難に歯止めがかかる一歩となるか、国会の動きが注目される。
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