『ザ・ロイヤルファミリー』際立った目黒蓮の成長ぶり「すごく変わった」 Pが明かす原作との違い

俳優の妻夫木聡が主演を務めるTBS系連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(日曜午後9時)が14日に最終回(拡大SP)を迎える。このたび、本作を手がける加藤章一プロデューサーがインタビューに応じ、本作を支えた妻夫木はじめ主要キャストの魅力とともに、ドラマオリジナルのシーンについて解説した。

山王耕造を演じる佐藤浩市【写真:(C)TBSスパークル/TBS】
山王耕造を演じる佐藤浩市【写真:(C)TBSスパークル/TBS】

14日に最終回(拡大SP)放送

 俳優の妻夫木聡が主演を務めるTBS系連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(日曜午後9時)が14日に最終回(拡大SP)を迎える。このたび、本作を手がける加藤章一プロデューサーがインタビューに応じ、本作を支えた妻夫木はじめ主要キャストの魅力とともに、ドラマオリジナルのシーンについて解説した。

 本作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真氏の小説『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)が原作。物語は主人公・栗須(妻夫木聡)が、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の創業社長で馬主の山王耕造(佐藤浩市)との出会いをきっかけに競馬界に身を投じ、耕造や仲間たちと共にGIレース・有馬記念の制覇という夢を追い続ける、大人たちの姿が描かれてきた。

 そんな本作で栗須を演じた妻夫木について、加藤氏は「僕が今までやった作品の中で、一番すてきな主役の方のお一人だと思っています」と断言し、“座長”としてドラマ全体を支えた存在だったと信頼を寄せた。

「妻夫木さんご本人も原作に惚れ込んでいたんでしょうけど、作品全体を考えて、どういう展開にしてご自分がどう演じればいいのかをすごく考えられていました。だから、出演者というよりはかなりスタッフの目線でもお仕事をしていただいて、僕も相談しましたし、妻夫木さんも気になった部分があれば僕に相談してくださいました。主役としても、演者としても素晴らしい方でした」

 原作での栗須はストーリーテラーとして物語を俯瞰する立場だった。しかし、ドラマでは自らも動き、物語や仲間たちを引っ張るキャラクターへと生まれ変わっている。

 加藤氏は、原作者の早見氏にも相談して変更した設定だったとした上で、「キャラクターのさじ加減ですよね。原作と違いすぎても僕らの解釈がずれてきますから。でも妻夫木さんは、僕らが予想していたよりもすてきな解釈をされて、栗須というキャラクターを作り上げていただきましたし、そこは本当に感謝しています。妻夫木さんじゃなかったらできなかっただろうなと。原作から映像化する時に心配していたところを全部、妻夫木さんが補完してくれました」と、繊細な演技を称賛した。

 また、物語後半の中心になった一人は、目黒蓮が演じる耕一だ。ドラマ前半ではナレーションを担当し、後半では耕造から競走馬のロイヤルファミリーを相続して相続馬限定馬主となり、有馬記念制覇の夢を引き継いだ。

 加藤氏は、目黒が主演を務めたTBS系金曜ドラマ『トリリオンゲーム』(2023年)と映画『わたしの幸せな結婚』(同)で作品を共にしてきた。

 本作では途中から本格参加とあって「大変だったと思います」と難しい立場だったと理解を示しつつ、「プロデューサーが言うのはおこがましいですけど、『ザ・ロイヤルファミリー』の中で役者さんとしてすごく成長されたと思っています。たぶんそれは浩市さんと妻夫木さんを見ていたからだと思いますけど、お芝居の仕方、現場でのたたずまい、スタッフ・キャストへの接し方と、すごく変わったと思いました」と変化が見て取れたという。

 その上で、耕造の隠し子であり、馬主として夢を“継承”して葛藤する耕一を演じきった目黒について、「きちんとやってもらえるという確信のもとお願いしているんですけど、その予想を超えていただいて、すごくうれしく思っています」と感謝した。

佐藤浩市のアイデアから原作になかったセリフが生まれた【写真:(C)TBSスパークル/TBS】
佐藤浩市のアイデアから原作になかったセリフが生まれた【写真:(C)TBSスパークル/TBS】

原作になかった名シーンの舞台裏

 続いて佐藤の話題に入ると、加藤氏の表情には強い敬意がにじんでいた。「スマートでクレバー」な佐藤のイメージとは大きく異なる昭和気質のワンマン経営者という耕造役だったが、「台本に書かれていない部分を上手く演じていただいて、ドラマの幅も広がりました」と、作品の魅力を押し上げたと強調した。

 また、撮影前の打ち合わせ段階で「浩市さんから2点『こういうのどうだい』って言われたアイデアがありました」と、原作にはなかった名シーンの誕生を明かした。

 一つ目は第1話。耕造が栗須に「馬は自分で勝ったって分かってるかな」と問いかけ、「俺は分かってると思うよ」と語りかけるシーンだ。加藤氏は「あれは浩市さんからのアイデアです。『こういう風に俺は思うんだけど、何かドラマの中で使えないかな』とおっしゃっていただきました。それはすごくいいと思って使わせてもらいました」。

 もう一つは、耕造の夢が有馬記念制覇であることの理由だ。通常、競馬界のホースマンたちが目指すのは3歳クラシックレースの頂点・日本ダービー。「なぜ有馬が目標なのか」と、競馬に造詣の深い佐藤自身も演じる上で不思議に思ったという。

 加藤氏は「原作の早見さんにも確認していろいろな意見もいただきました。でも、ドラマに落とし込むにはもうちょっと何か理由がないかなと考えました。そこで2話の最後、耕造が天ぷら屋さんで『なぜ自分が有馬を目指すのか』を話す描写を作りました」と明かした。

 この場面で、耕造が日本ダービーではなく有馬記念での勝利を目指すことへの疑問を示した上で、「ダービーや他のG1は強い馬が競い合うもんだが、有馬はちょっと違う。強いだけじゃ選ばれない。ファンに愛され、その走りを認められた馬だけが選ばれるんだ。そして、その中で1着を決める。情がある。愛がある。しかも年末のお祭りだよ? 1年分の負けた記憶が吹っ飛んじまうんだ。つまり、勝ち逃げってやつだよな。最高だよ」と豪快に笑うシーンになっていた。

 この内容について加藤氏は「浩市さんからご提案いただいたものなんですよ」と打ち明け、「ストーリーの根幹に関わるテーマ的なものも含めてアイデアをいただいたんです。役者さんとして素晴らしい演技をしていただいたのと同様に、作品全体のテーマの部分も実は影で背負っていただきました。そこは驚きとともに感謝しています」と改めて敬意を示した。

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