【べらぼう】横浜流星の役作りの凄みにチーフ演出脱帽 食事&水断ちで減量「ボクサーのよう」
俳優の横浜流星が主人公・蔦屋重三郎を演じるNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)。14日に最終回が放送され、俳優・生田斗真が演じる一橋治済の衝撃的なラストや脚気を患う蔦重が徐々に衰弱する様子などが描かれた。チーフ演出・大原拓氏が、生田や横浜の凄さや気になるシーンの舞台裏を明かした。

平蔵と蔦重が見つめる女性の顔映さない理由とは
俳優の横浜流星が主人公・蔦屋重三郎を演じるNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(日曜午後8時)。14日に最終回が放送され、俳優・生田斗真が演じる一橋治済の衝撃的なラストや脚気を患う蔦重が徐々に衰弱する様子などが描かれた。チーフ演出・大原拓氏が、生田や横浜の凄さや気になるシーンの舞台裏を明かした。
定信らの敵討ちにより、阿波の孤島に送られることになった治済だが、最終回の序盤、道中、逃走し、生きながらえて逆襲に転じるのかとも思えた矢先、雷が脳天を直撃した。当初から落命の予定だったのか。
「当初から天罰が下る話になっていました。脳天直撃は天罰の象徴のような意味です」
治済は人を使って多くの命を奪う悪行を重ね、視聴者からは「怖い」といった声が多かった。落命直前も狂気めいた表情だった。
「あのシーンは手足も縛られた上でどうやって逃げるかを生田さんや殺陣師と相談しながら作りました。治済は追い込まれるほど楽しくなる人間。生きるの? どういう復讐劇が始まるの? と視聴者の方に興味を持ってもらえるといいですねという話をしました。最終的にどういうカタルシスになるかも含めて話し合い、ああいう表情になりました。治済は常に天を意識しているので最後のセリフも上の方を意識して話しています」
生田の魅力も尋ねた。
「何をするにも動じず、泰然自若としている方。ある意味、視聴者が想像するようなキャラクター作りをしてくださいました。たとえば治済が能面を見ているシーン。治済は能が好きで見ていますが、何か意味があるのかと視聴者やそこにいるキャストに想像させる。そして、むこうが勝手に動き、忖度していく作り方に上手にもっていく方。とにかくやり過ぎないようにと話していました。それでもインパクトが大きい。それが生田さんの表現力の豊かさ。芋を食べているだけで悪そうに見える人もなかなかいません(笑)」
治済が落命する際、かたわらには変わったマゲの謎の人物の後ろ姿があった。ズバリ誰なのか。ハッキリ顔を見せない理由も気になる。
「何回か雷の場面で登場していた源内ではないかと……変わったマゲはそういうことですし、衣装も源内の衣装にしています。ただ現実には家臣が見ている映像は映してはいません。“源内じゃないか”ということは視聴者が感じ取っていただくことかなと思います。視聴者が『あれは源内だったな』ということでいいのかなと」
横浜流星の徹底した役作りに脱帽
明言を避けたが、顔を見せない気になる人物は他にもいた。平蔵に気になっているだろうと言われながら蔦重が瀬川かと思わせる女性を遠くから見つめる姿が描かれた。直後には瀬川の回想シーン。瀬川らしき女性の顔をなぜはっきり映さなかったのか。
「すべて想像です。どういうふうになっているか見た蔦重と平蔵の表情が全て。そっちが重要なんです。彼女を見た彼らの今を表現したかった。だから、らしき人はあくまでも後ろ姿のみ。2人の表情で今の彼女がどうなのかを視聴者の方には感じ取ってほしいという狙いです。平蔵と蔦重との共通項は吉原。吉原の今後を考える場面で、蔦重と瀬川が約束したこと(回想シーンの内容)が大事なのでは、ということで、ああした形で描いています」
こちらも「らしき」という言葉で明言を避けたが、続いて横浜について尋ねた。演じた蔦重は最終回で脚気を患い、終盤、衰弱していった。見事に演じた横浜の凄さを聞いた。
「脚気(かっけ)については医師への取材メモを共有しました。最終的はやつれていくので、横浜さんは食事断ちだけでなく水断ちもしていました。最後の方はボクサーのように体重を落としていました。胸元やアゴのラインもだいぶ違います。弱っていく瞬間は、撮影としては1、2週間で表現しなくてはならなかったのですが、その中で作り込んでいってくれました。弱っていく声の出し方も含めてきっちり研究して演じてくれました」
綾瀬はるかが演じた九郎助稲荷の登場シーンの舞台裏も聞いた。すると面白エピソードが明かされた。
「衣装は神のお使いということで巫女さんの衣装。しっぽは常にマストで付けています。いつもスマホをぶら下げていたのですが、今回はありません。ぶら下げる流行が過ぎたからです。今はもうぶら下げている方っていないじゃないですか。今の世も生きている九郎助さん。撮影を始めた2024年頃はぶら下げるのもありでしたが、もうなくていいかなと。実は九郎助さんは現代とミックスしていたんです」
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