マスクをかぶることは宿命 謎のマスクウーマンが明かす“流血事件”の裏側「ケガから守ってくれた」
2024年10月。マリーゴールドのマットに突如現れた新星、ハミングバード。デビュー戦がいきなりタイトルマッチという期待がかかる中の初戦だったが、場外で頭部を強打してしまう。結果的には異状はなく少し休養を取って復帰し、その明るいキャラクターもあり自分の戦い方を確立していた。そんな中、11.3後楽園大会で、スーパーフライ王者・岩谷麻優が次期挑戦者にハミングバードを指名。そこで、注目度が一気に急上昇しているハミングバードを直撃、謎多きマスクウーマンの真実に迫るインタビュー前編をお送りする。

マリーゴールドのマスクウーマン・ハミングバードインタビュー前編
2024年10月。マリーゴールドのマットに突如現れた新星、ハミングバード。デビュー戦がいきなりタイトルマッチという期待がかかる中の初戦だったが、場外で頭部を強打してしまう。結果的には異状はなく少し休養を取って復帰し、その明るいキャラクターもあり自分の戦い方を確立していた。そんな中、11.3後楽園大会で、スーパーフライ王者・岩谷麻優が次期挑戦者にハミングバードを指名。そこで、注目度が一気に急上昇しているハミングバードを直撃、謎多きマスクウーマンの真実に迫るインタビュー前編をお送りする。(取材・文=橋場了吾)
2024年10月7日。当時のスーパーフライ王者・翔月なつみに対し挑戦をぶち上げたマスクウーマン。その彼女は“ハミングバード”と名乗り、飄々とトップロープに飛び乗り、はっきりした口調でベルトへの挑戦を表明した。
「ハミングバードは日本名では“ハチドリ”のことで、常に動き続けている鳥なんです。その羽ばたいているときの音が蜂と似ているのでこの名前になったらしいのですが、ハミングバードって言葉は皆さんが知っているので印象に残りやすいかなと思って。(カタカナの造語だと)覚えづらいかもしれないじゃないですか、であれば実際にいる鳥の名前の方が覚えやすいですし、ハチドリを見たときに『マリーゴールドにいたな』と思い出してくれるかもしれないなと思って、このリングネームにしました」
彼女の口からはこれまでの経歴に語られることはなかった。おそらく今後もないだろう。しかしマスクをかぶることには『導かれている』と感じている。
「皆さんがご存じのデビュー戦で、私は頭部をケガしてしまったのですが、CT検査も問題がなくて。あとボジラのマリーゴールド最終戦(2025.4.12 新木場大会)で、椅子攻撃を受けて眉間から流血してしまったときも、傷口以外は異状がなかったんです。これはもうマスクが守ってくれたんだなと。マスクを被る運命にあって、私のことを守ってくれたんだなと思いましたね」
そのデビュー戦というのが、当時のスーパーフライ王者・翔月なつみに挑戦した一戦だった。2024年10月24日、場外でコルバタを仕掛けた際に頭部を床に強打した。
「打った瞬間は未だに思い出せないですけど、素早く駆け寄ってくれたセコンド達の声で目覚めた瞬間に手の痺れを感じました。でも、起き上がれそうだなと思って立ち上がったら動けたんです。その後の記憶は全部あって、皆さんの声のおかげだなと思いました。ただ今も言われることはありますよ、『あの試合の選手ね』って。でも過去に起こしてしまったことは改変できるものではないですし、今は元気に復帰してそういう失敗をしないように万全を期しています」

マーベラスとの対抗戦はギアが上がりっぱなしの試合だった
その後、筆者はハミングバードに対してどことなく一匹狼的な雰囲気を感じていた。その思いを変化させたのは、今年4月10日のマーベラスへの出撃だった。ビクトリア弓月と組み、川畑梨瑚&宝山愛と対戦、結果ハミングバードが敗北を喫するも“マリーゴールドにハミングバードあり”を強く印象付けた。
「自分の中でも、あの一戦はターニングポイントになったというか。マリーゴールドでも新宿FACEでよく試合はしていますけど、雰囲気がいつもの新宿FACEではなかったですね。マーベラスというよそ様のリングに上がることで、勝手にバイアスがかかっていたのかもしれないですけど、マーベラスのファンの方に殴られるかもしれないくらいの気持ちではいました。マリーゴールドを背負ってきているので、入場するところからギアを上げて……そうしたらコールの時には相手にしか紙テープが飛ばなかったんです。はいはいはい、わかっていますけど、そこでまたギアが上がっちゃって。試合が始まってからも、ギアが上がりっぱなしの試合でしたね。弓月さんとは初めて組んだんですけど、本当に頼もしくて、そのおかげで自分も勢いに乗れた部分はありました」
その2日後、前述の新木場大会で眉間に傷を負い大流血してしまったわけだが、プロレスに対する恐怖心はないのだろうか。
「怖さはありますよ。ただ先日、甲賀プロレス祭り(2025.11.16)に参戦して、エル・イホ・ドス・カラスという190センチ近い選手と組んで、肩の上からプレスしたんですけど、コーナーポストよりも高い位置から飛べたので、まだまだ私は飛べるという気持ちになりました」
そう、ハミングバードというと「飛ぶ選手」というイメージがあるかもしれないが、実は年始にヒザをケガしたため、ダイブ系の技を減らしていた。
「でも”ハミングバード”という名前で飛ばない試合ばかりしていたら、過去の自分にも勝てないですし、追い越さないと何も進まないよなと思っています。またフィニッシャーであるマッドスプラッシュで飛ぶためにも、しっかり練習しています」
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