RIZIN王者が太鼓判「数か月でチャンピオンに」 柔道エリート・岡美紀、25歳でMMA挑戦の理由

DEEP・RIZIN王者の伊澤星花が始動させた、格闘家の発掘・育成プロジェクト「伊澤星花チャレンジ」。8月に選考が行われ、竹林エル、成本優良、岡美紀の3人が1期生に選ばれた。9月からは千葉・松戸を拠点に本格的な練習がスタートしており、ENCOUNTでは将来を嘱望されるチャレンジ生にインタビューを実施。第1回は、柔道の実績を持ち、師である伊澤と経歴も重なるストロー級の岡美紀。

インタビューに応じた岡美紀【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた岡美紀【写真:ENCOUNT編集部】

伊澤星花チャレンジ連載・第1回

 DEEP・RIZIN王者の伊澤星花が始動させた、格闘家の発掘・育成プロジェクト「伊澤星花チャレンジ」。8月に選考が行われ、竹林エル、成本優良、岡美紀の3人が1期生に選ばれた。9月からは千葉・松戸を拠点に本格的な練習がスタートしており、ENCOUNTでは将来を嘱望されるチャレンジ生にインタビューを実施。第1回は、柔道の実績を持ち、師である伊澤と経歴も重なるストロー級の岡美紀。(取材・文=島田将斗)

 柔道との出会いは小学2年生のときだった。柔道指導者だった父の影響で自然に道を歩み始めた。

「お父さんが高校の監督をしていて、私もその高校に進みました。全国大会には小学5、6年生のときに出場してベスト16ぐらい。中学3年で全中に出ましたが結果は残せず。高校では1年で県大会1回戦負け、高2でインターハイまで行けました」

 波のある競技成績をたどるなかで「柔道が好きだったか」と問われると、即座にこう答えた。

「めっちゃ嫌いです(笑)。お父さんが厳しくて、部活もほぼ私のためのマンツーマンの練習でした。週7回、3時間。日曜がたまに休みという生活で、外に出ることも少なかったです」

 高校で柔道を辞める選手も多い。しかし、岡は父の母校でもある近畿大に進学した。複数の大学からスカウトが来る中、いつの間にか「柔道を辞める」という選択肢は消えていたという。しかし、そこからが苦しかった。

「『よし!』って気持ちで始めたけど、環境がガラッと変わって。私は強豪校向きじゃないんです。周りは全国の強豪校出身で、練習内容でもめることも多くて。だんだん柔道が嫌になって、ただ続けているだけの状態でした。大学1年の終わり頃からは、“強くなりたい”とも思えず、ただこなすだけ。病みながらやってましたね。けがをせず終われたらいいなって」

 そんな岡が格闘技に出会ったのは大学卒業から2年後。京都に移り住み、近所のムエタイジムにエクササイズ感覚で通い始めたのがきっかけだった。

「フィットネスで入ったんですけど、途中からスパーリングもやるようになって。『試合出てみたら?』と声をかけられて、“やるなら総合が面白そう”と思いました。本格的にやろうと思っていたときに、ちょうど『伊澤星花チャレンジ』の告知を見つけたんです。仕事しながら総合ジムに通うつもりだったけど、タイミングがぴったりでした」

 応募の背中を押したのは、伊澤星花の存在だった。

「元々柔道をやっていて、伊澤さんが活躍している姿を見て『私でもいけるかな』って(笑)。25歳になるし年齢も気にはなっていたけど、MMAは年齢層も幅広いと聞いて、思い切って飛び込みました」

 現在は上京し、チャレンジ生として格闘技に集中する日々を送る。

「1日中動いてて体は疲れるけど、めちゃくちゃ充実しています。仕事していたときは何だったんだろうって思うくらい」

 伊澤は岡の実力を高く評価し、「数か月でチャンピオンにする」と明言している。その期待に対する思いを問うと、岡は静かに答えた。

「それこそ、自分に甘えてられない。絶対に勝たないとダメだなって思います」

 柔道時代には70キロ級で戦っていたが、MMAでは52キロ級で出場する。これまで減量経験はない。

「普段の体重も結構重いので、めちゃくちゃ不安です。でも、ちょっとずつ落ちていくかなと」

 今は試行錯誤の日々だが、将来は明確な理想がある。

「まだ自分のスタイルはあまり分かっていないんですけど、きっちり自分の型を持っていて、極めるところをしっかり極められる選手になりたいです。星花さんみたいな極め技を持っている選手に」

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