スッキリしない?ラストが“読者の想像にお任せ”だったマンガ3選 再評価の声があがる作品も
読者にとって、好きな漫画作品がどのような最終回を迎えるかは重要な関心事である。多くの読者は伏線がきれいに収束し、すべての問題が解決する結末を望んでいるだろう。しかし、なかには最終回を迎えても大きな疑問点が残ってしまい、スッキリとしないまま完結した作品も存在する。

読者に解釈が委ねられた結末
読者にとって、好きな漫画作品がどのような最終回を迎えるかは重要な関心事である。多くの読者は伏線がきれいに収束し、すべての問題が解決する結末を望んでいるだろう。しかし、なかには最終回を迎えても大きな疑問点が残ってしまい、スッキリとしないまま完結した作品も存在する。
例えば、2007年から17年まで「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載されたテニスマンガ『ベイビーステップ』(作:勝木光)は、ライバルとの試合中に物語が完結した作品として知られている。
同作は主人公「丸尾栄一郎」が未経験だったテニスを高校からはじめ、最終的にはプロ選手になるまで成長していく物語だ。最終回では同世代の有望選手「ジェームス・ファウラー」との試合が描かれ、劣勢に追い込まれた栄一郎が「このままやり続ければ……きっと届く」と手応えをつかむ。しかし、試合が再開し、栄一郎の反撃が始まるかと思いきや、勝敗が描かれることなく物語は終了する。まるで次号に続くような展開で終わったため、読者の間では驚きの声があがった。
また、1994年から99年まで「週刊ヤングマガジン」(講談社)に連載されていたサバイバル漫画『ドラゴンヘッド』(作:望月峯太郎)も最終回の展開が賛否を呼んだ作品のひとつだ。主人公「青木照(テル)」たちが修学旅行から帰るなか、突如発生した大地震によって乗っていた新幹線は脱線事故を起こした。そして、テルは生き残った同級生「瀬戸憧子(アコ)」「高橋ノブオ」とともに東京を目指して進んでいく。
終盤、テルは何とか東京に辿り着き、はぐれていたアコと再会する。しかし、その直後に東京湾に現れた富士山の噴火によって、再び都市は壊滅的な被害を受けていく。最終的に、テルの「僕らも……想像できるはずだ 未来を……それがどういうものかはわからないけど」というモノローグに合わせ、噴煙に包まれる東京の光景が描かれる。一度は暗闇に包まれた首都圏に再び光が灯るシーンで幕を閉じ、テルやアコの生死は明かされない。彼らの運命がどうなったかは読者の解釈に委ねられた形だ。
当時は不完全燃焼との声も多かったが、あらためて再読して「究極の恐怖を描く作品としてはふさわしい結末だった」と再評価する意見もあがっている。
ほかに2005年から15年まで「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載していた『LIAR GAME』(作:甲斐谷忍)も、物語に含みを持たせたまま完結している。同作は他人から騙されやすいほど正直な主人公「神崎直」が、自宅に届いた謎の小包を無造作に開けてしまい、謎の組織「ライアーゲーム事務局」が仕掛ける心理戦に巻き込まれていく物語だ。
終盤、作中で開催されていた「ライアーゲーム」は、過去に出版された外国小説をもとにしたゲームであり、今回の開催が2回目だったことが明かされる。そして、闇の権力者も恐れる小説家のメッセージを広めるため、隠しカメラで撮影されたゲームの内容は参加者の賛同を得て動画として世間に公開されることとなった。しかし、いよいよ世界中に公開された動画は、世界に潜んでいる「闇の権力者」の圧力で消されてしまう。
直と協力してゲームを戦った天才詐欺師「秋山深一」は、「『闇』は俺たちの想像よりはるかに深いってことだ」と敵の強大さを匂わせ、直も「そんな……」と戦慄したところで物語は終わる。結局、物語で描かれた真相の先にいる権力者の正体について、作中では分からずじまいとなっており、消化不良に感じた読者も多い最終回の展開となった。
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