“次世代エース”の重圧を経て 元HKT48渡部愛加里、再始動で誓う「ビビりな自分」からの卒業
タレントの渡部愛加里は、アイドルグループHKT48を卒業して2年半、モデル、俳優、ラジオのパーソナリティーなどマルチな活動を誓って本格的に再始動する。11月19日にリリースした1st写真集『シアワセ』(宝島社)も、それまでチャレンジには奥手だった自分を変えるきっかけになったという。21歳の彼女が思い描く“今後”を聞いた。

HKT48卒業後は服飾専門学校へ進学
タレントの渡部愛加里は、アイドルグループHKT48を卒業して2年半、モデル、俳優、ラジオのパーソナリティーなどマルチな活動を誓って本格的に再始動する。11月19日にリリースした1st写真集『シアワセ』(宝島社)も、それまでチャレンジには奥手だった自分を変えるきっかけになったという。21歳の彼女が思い描く“今後”を聞いた。(取材・文=小田智史)
2018年1月に開催された「第3回AKB48グループ ドラフト会議」で、3チーム競合となったなかで指原莉乃が交渉権を獲得してHKT48のメンバーとなった渡部。13歳でアイドルとなり、“次世代エース”と期待されて選抜も計5回経験したが、コロナ禍で思うように活動できなかった影響も大きく、2023年3月にHKT48を卒業した。
「芸能界引退」とは明言していなかったが、当時は「また元(芸能界)に戻ることは考えていませんでした」と明かす。
「コロナ禍の当時はまだ高校生だったので、その時は『この状況がずっと続く』と世の中全体が思っていました。私以外の人もそうだと思いますけど、ああいう状況になっていなかったら、また違っていた人生だった気がします。でも、普通の女の子に戻ることは正直そんなに重く考えていなくて。どんなもんなんだろう、楽しんでみようと(笑)、5、6年ぶりに親戚の家に行ったりしました。でも、それはHKT48での楽しかった思い出があるからこそだし、人との関わり方も先輩から教えていただいたことがたくさんあって、そこにいた経験が今の自信につながっています。HKT48があったから今の私がある。あらためてグループの偉大さを実感しています」
卒業発表で口にした「新しい夢・やりたいこと」は服飾専門学校への進学。アイドルをやめてすぐに進学し、今年3月に無事卒業した。「専門学校は大変でした」と、渡部は苦笑いする。
「久々の学生生活、すごく青春でした。(学校は)朝9時半から始まって16時半に終わる。作品提出前は、帰ってからずっと家で作業をしていました。今は学校という縛りがなくなって、伸び伸びやっています(笑)。学校でパーソナルカラーと色の勉強をしたので、『この色を自分に合わせたら、自分も色もよく見えない』とかいろいろ考えるようになりました。昔の『かわいいから着る』という直感タイプから、少し慎重になった気がします」

インターン経験が芸能活動の本格再開を後押し
2023年10月から芸能事務所には所属していたが、学業に軸足を置いてきたため、主だった活動はしてこなかった。芸能活動の本格再開への思いが強まったのは、インターンの経験だったという。
「学校のプログラムの一環でインターンをさせていただいた時に、『もう少し表(舞台)に立っておきたい』という思いが芽生えたんです。何も素性を明かさず(笑)、一般人として服飾系の会社にインターンに行きました。『これを一生の仕事にしようと思えたら、その道に進もう』とインターン前に決めていたんです。だから、楽しかったインターンの経験を踏まえて自分の進路を決めることができたのは、すごく大きかったです」
HKT48時代、「次世代エース」と大きな期待を受けた渡部。しかし、「今だからこそ言えるんですけど」と前置きした上で、当時の胸中を明かす。
「プレッシャーはめちゃくちゃありました。自分はプレッシャーに強いわけでもなく、考えすぎてしまうタイプ。『なんで自分はそんな風に言ってもらえるんだろう』と悩んだ時期もありました(苦笑)」
ただ、HKT48で活動を共にしたメンバーたちの今を見てみると、ドラフト交渉権を引き当てた指原莉乃をはじめ、村重杏奈、矢吹奈子、田中美久、月足天音、村川緋杏らがさまざまなフィールドで活躍している。偉大な先輩たちの姿に、大いに刺激を受けていると話す。
「1人ひとりに対して、違う憧れがあります。村重さんみたいにあんなにしゃべれて、おもしろくて、何でもできるタレントさんはすごいと思うし、(田中)美久ちゃんもドラマに出て、いろんな役をされていて、演技がすごいなって。今でも(矢吹)奈子ちゃんとか指原さんが出ているテレビは絶対見ていますし、びびちゃん(村川)とか(月足)天音ちゃんのように、一緒にいた人がたくさんテレビに出ているのを見ると憧れが出てきます。先輩たちを見ると『この人たちの後輩』と言える人生ってすごいとうれしい気持ちになります。いつか自分もそう思ってもらえるような人間になりたいです」

指原莉乃とは今も交流
“恩人”とも言える指原とは、今年1月の成人式を機に再び連絡を取るようになったという。
「指原さんが(2019年にHKT48を)卒業する時、まだ未成年だったメンバーに、『成人した時は写真を送ってね』とLINEに残していた気がしたんです。20歳のタイミングで、振袖の写真とともに連絡を取ってから、また連絡を取るタイミングができて、また活動を再開することも報告しました。20歳っていろんな人との再会があったりして、大きかったですね」
21歳となった渡部が思い描く、“これからの自分”とは――。
「女優さんとか“何かになりたい”というよりは、今はいろんなことをしてみたい思いが大きいです。好奇心は旺盛だけど、意外に挑戦心が少なかったのが今までの自分。そういうビビりな自分を卒業したいですね。何でもマルチにできる人がかっこいいと思うし、そうなれるように頑張ります!」
1st写真集『シアワセ』を経て、挑戦に前向きになった渡部が新たな一歩を踏み出す。
□渡部愛加里(わたなべ・あかり)2004年10月18日、神奈川県出身。18年1月、「第3回AKB48グループ ドラフト会議」で指名を受け、同年11月にHKT48・チームHの所属が決定。さまざまな活動を経て、23年3月にグループを卒業した。今年1月の成人式では、会場での姿が地上波のニュース番組で抜かれ、大きな反響を呼んだ。趣味はファッション、アイドル鑑賞。
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