「イオン」にクマ侵入…吹き矢で麻酔の県職員にネット騒然「何者?」 実はえりすぐりの精鋭

全国各地でクマによる被害が相次いでいる。秋田県では16日、鹿角市の田んぼでクマに襲われたとみられる身元不明の女性の遺体が発見された。また、能代市では商業施設にクマが侵入、県の職員が吹き矢で麻酔をかけたのち駆除した。市街地での出没が増えるなか、注目を集める吹き矢による捕獲だが、どんな効果や課題があるのか。県の担当者に話を聞いた。

全国各地で相次ぐクマ被害(写真はイメージ)【写真:写真AC】
全国各地で相次ぐクマ被害(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「何者なんだ」吹き矢でクマを捕獲した県職員に注目の声

 全国各地でクマによる被害が相次いでいる。秋田県では16日、鹿角市の田んぼでクマに襲われたとみられる身元不明の女性の遺体が発見された。また、能代市では商業施設にクマが侵入、県の職員が吹き矢で麻酔をかけたのち駆除した。市街地での出没が増えるなか、注目を集める吹き矢による捕獲だが、どんな効果や課題があるのか。県の担当者に話を聞いた。

 16日午前11時20分ごろ、能代市柳町の「イオン能代店」にクマ1頭が侵入したと従業員から110番があった。クマは北側の入り口から施設内に入り、1階の家具売り場に居座っていたところを、従業員が棚などを動かして売り場内に閉じ込めた。約2時間半後、駆けつけた県職員が吹き矢による麻酔で眠らせた後、電気ショックで駆除した。クマは体長約80センチ、体重11.5キロのオスで、子グマと見られている。

 県職員が吹き矢で麻酔をかけたとの報道に、ネット上では「麻酔吹き矢が使える県職員って何者なんだ」「吹き矢って何時代の話?」「吹き矢で何とかなるもんなの?」「麻酔で眠らせたなら殺さなくてもいいのに」など、さまざまな声が上がっている。

 実際のところ、クマに対し吹き矢での捕獲はどの程度有効なのか。秋田県生活環境部自然保護課鳥獣保護管理チームの担当者は、「麻酔を使用した捕獲は危険猟にあたるので、麻酔銃にしても吹き矢にしても、環境省の危険猟法許可が必要になります。県職員で資格を持っているのは9人ですが、そのうち実際に捕獲経験があるのは5人ほど。また、捕獲用の麻酔は複数の麻薬や劇薬を調合して作りますが、その調合資格を持つ職員は3人のみです」と説明。肩書きは県職員といえども、えりすぐりのクマ対策のエキスパートだという。

 吹き矢を使用する状況については、「市街地や屋内など、猟銃はもちろん、麻酔銃の使用でも危険が伴う場所に限られます。射程は5メートルほどですが、実際に針が刺さる柔らかい箇所を狙って当てる、有効射程という意味では2~3メートルまで近づかないと難しい。現実的にはおりに入ったクマを眠らせるときぐらいしか使うことはありません。今回は売り場に閉じ込めたクマが出てこない状況だったということもあり、総合的に判断し吹き矢を選択しました」と担当者。もし吹き矢での捕獲が難しい場合は緊急銃猟の手順を踏むことになるという。

 駆除を巡る抗議の電話については「今回の件で、この部署だけでも数件の抗議電話が寄せられています。県全体でどのくらいあるかはお答えできません」と担当者。麻酔で眠らせたクマを駆除することについては「県では管理計画に基づいてクマの個体数管理を行っており、市街地周辺に出没したクマの捕獲後の放獣は行っておりません」と話している。

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