ジェームズ・キャメロン監督が追求するキャラクターの“リアル” 『アバター』演出の裏側

全世界歴代興行収入ランキングで第1位を記録した映画『アバター』(2009)を皮切りに、ジェームズ・キャメロン監督が手がける「アバター」シリーズ。第2作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22)は、自らかつて手掛けた『タイタニック』(1997)を超えて同ランキングで第3位にランクインするという快挙を成し遂げた。そしてシリーズ最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が、12月19日より日米同時公開される。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が12月19日より日米同時公開【写真:(C)2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.】
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が12月19日より日米同時公開【写真:(C)2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.】

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が12月19日より日米同時公開

 全世界歴代興行収入ランキングで第1位を記録した映画『アバター』(2009)を皮切りに、ジェームズ・キャメロン監督が手がける「アバター」シリーズ。第2作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22)は、自らかつて手掛けた『タイタニック』(1997)を超えて同ランキングで第3位にランクインするという快挙を成し遂げた。そしてシリーズ最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が、12月19日より日米同時公開される。

“神秘の星”パンドラを舞台に描かれる本シリーズは、壮大な世界観と最先端の映像技術に加え、キャラクターの持つ“リアルさ”でも多くの観客の心をつかんできた。その背景には、キャメロン監督ならではのキャラクター作りへのこだわりがあるという。

 パンドラに“アバター”として潜入した元海兵隊員ジェイク(演:サム・ワーシントン)と、現地のナヴィ族のネイティリ(演:ゾーイ・サルダナ)が築いた家族を軸に、人類とナヴィの対立が描かれてきた「アバター」シリーズ。『ファイヤー・アンド・アッシュ』では、ナヴィでありながらパンドラへの憎しみを抱くアッシュ族のリーダー・ヴァラン(演:ウーナ・チャップリン)が登場。人類と手を組みサリー一家に襲いかかるという、シリーズ初の“ナヴィのヴィラン”による“炎の決戦”が描かれる。

 キャメロン監督は、登場人物に命を吹き込むうえで「細かい指示は与えず、自分自身が持つ要素を役へ落とし込む」という手法を取っているという。ジェイク役のサムは、「監督は役者に細かい指示は出さず、役者自身に発見してもらい、自分の中にあるさまざまな要素を持ち込んでもらおうとします。その上で彼は監督として、そこから出てきたディテールをさらに強調するのです。だからこそキャラクターにはリアリティーが生まれます。僕たちはキャラクター、また共演者と長い時間を過ごしてきましたから、その過程でさらに深めていくことができました。特にゾーイとは20年来の関係で、彼女との人間同士としての関係性はキャラクターにも深くにじみ出ています」と語っている。

 実際に、1作目と2作目の間にサムは3人の子どもの父となり、ゾーイもまた3人の子どもの母となっている。劇中で描かれる“家族を守るための戦い”において、そうした私生活での経験が役作りに自然と重なったことも、キャラクターの深みを生む要因となった。

 キャメロン監督の“リアル”への追求は、若いキャストにも共有されている。サリー一家の末っ子・トゥクを演じるトリニティ・ジョリー・ブリスは、「トゥクを見ていると、確実に私自身がいると感じます。そして自分がトゥクに息吹を与えたことを、すごくうれしく思うんです。私たちの間には共通点がたっぷりあります」と語り、『ウェイ・オブ・ウォーター』から登場したツィレヤ役のベイリー・バスも「監督は必ずしも完璧を求めてはいません。私たち役者は、監督の頭の中にあるビジョンと同じものを目指しつつも、自分たちが身を置くリアリティーの中で自由にキャラクターを追求することなのです」とコメントしている。

 また、ベイリーはオーディション時を振り返り、「思い返せばオーディションでもジムは私自身のことばかりを聞き、私という人間を知りたいみたいでした。監督にとってキャスティングする時は、キャラクターになるべく近い性格の子を持ってくることが大事なのです」と明かしている。

“パンドラの神”エイワに助けを求めるも見放され、世界に憎悪を抱いたアッシュ族がサリー一家に襲いかかるという『ファイヤー・アンド・アッシュ』。激化する対立の中で、親子、兄弟姉妹、それぞれの視点での葛藤と成長が描かれる。そして、一人一人のキャラクターには、役者の人生や感情が反映された“生きた存在”としてのリアリティーが込められている。巨匠キャメロンが描く“リアルな造形”が、シリーズ最新作でも観客の心を深く揺さぶることになりそうだ。

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