元宝塚・真飛聖、30周年で思う自分向きの仕事 “人生の相棒”も明かし「まあいいかって思えるように」

1995年に宝塚歌劇団で初舞台を踏み、今年芸能生活30周年を迎えた元宝塚歌劇団花組トップスターの俳優・真飛聖。2011年の退団後は、ドラマや映画など映像を中心に活動する。テレビにも精力的に出演し、現在はフジテレビ系バラエティー『ぽかぽか』(月~金午前11時50分)の金曜レギュラーを務めている。実は幼少の頃からテレビっ子。人の話を聞くのが好きといい「司会をやってみたい」とも。来年は初の一人芝居が控えており、新たな挑戦を前に今回、私生活での“相棒”の存在や転機の時に直感が冴える話など、素顔に迫った。

今年芸能生活30周年を迎えた真飛聖【写真:増田美咲】
今年芸能生活30周年を迎えた真飛聖【写真:増田美咲】

根っからのテレビ好き「台本を覚えながら見ていました」

 1995年に宝塚歌劇団で初舞台を踏み、今年芸能生活30周年を迎えた元宝塚歌劇団花組トップスターの俳優・真飛聖。2011年の退団後は、ドラマや映画など映像を中心に活動する。テレビにも精力的に出演し、現在はフジテレビ系バラエティー『ぽかぽか』(月~金午前11時50分)の金曜レギュラーを務めている。実は幼少の頃からテレビっ子。人の話を聞くのが好きといい「司会をやってみたい」とも。来年は初の一人芝居が控えており、新たな挑戦を前に今回、私生活での“相棒”の存在や転機の時に直感が冴える話など、素顔に迫った。(取材・文=大宮高史)

 宝塚時代は、下級生からの相談にも親身にのってあげ「日比谷の母」のあだ名がついた真飛。10月に開催された30周年記念ライブでも、軽妙なトークで客席を爆笑させた。そんな親しみやすい人柄は、『ぽかぽか』でも生かされている。番組司会はお笑いコンビのハライチ(岩井勇気、澤部佑)とフリーアナウンサーの神田愛花が務めている。

「MCのハライチさんと神田さんが場を回してくださるので、私はただただ笑っている時間が多いんですけど、毎回感心しているんです。『この返し面白いな』とか、『なんでこの間でこれをぶっこんでくるんだろう』って。もう毎週勉強ですね」

 特に楽しんでいるのは、ゲストのトークの時間だ。「人の話を聞くのが好きなんです」と語り、好奇心をスタジオでも発揮する。話をより深く聞きたいと、実は司会やホスト側をしてみたいと語る。

「人の良いところを見つけたり、その人のヒストリーを知るのが大好きです。だから『ぽかぽか』でゲストの方の話を聞いて、『この人のここがステキ』と、自分の中で発見をかみしめている時間はすごくしっくりきているんです。もしかしたら司会者の方が向いているのかなと思うこともあって、機会があればしてみたいですね。もてなす側として、もっといろんな話を聞いてみたいです」

 トークに限らず、もともとテレビ好き。それは宝塚時代も変わっていなかった。

「小さい頃からテレビが好きで、在団当時もテレビは欠かさず見ていました。よく『見る時間、ありますか?』って聞かれましたけど、台本を覚えながら見ていました(笑)。リフレッシュにもなるし、生の舞台って、オーケストラなど、いろんな音の中でセリフを言わないといけないですよね。だから、シーンとした場所で覚えるより、何か音がしている方が逆に入ってくるんです。今もそうですが、テレビが好きで見たいから自分で編み出した習慣でもあります」

 2011年の退団後は、ドラマや映画など映像を中心に活動を展開する中、“縁”もあった。大ファンだったテレビ朝日系『相棒』が花組トップ時代の09年に舞台化され、杉下右京役で主演した。宝塚を退団すると今度は、『相棒』のシーズン11から13まで出演。3代目相棒・甲斐享の恋人、笛吹悦子役を演じた。

「ドラマに出させていただけるの知った時もびっくりしました。舞台とは別物のつもりで現場に行ったので『初めまして』の気持ちだったんです。スタッフの皆さんが、私が宝塚で右京さんを演じたことを知ってくださっていて、ウェルカムな雰囲気で迎えてくれました。宝塚での経験があったからこそだな、とありがたくて、すごくうれしかったのを覚えています」

初の一人芝居『ガールズ&ボーイズ』で主演を務める【写真:増田美咲】
初の一人芝居『ガールズ&ボーイズ』で主演を務める【写真:増田美咲】

来年は初の一人芝居『ガールズ&ボーイズ』に主演 「やるんだな」と直感

 一方で、新たな挑戦も。10月に芸能生活30周年を記念し退団後初のライブを開催。来年4月には東京・新国立劇場で初の一人芝居『ガールズ&ボーイズ』に主演する。作品は英ロンドン発(18年)の日本初演舞台で、決断の際は直感が動いた。

「脚本を読んだ瞬間に、情景が浮かんだんです。自分が舞台に立って、そのセリフをしゃべっている絵がパンって出てきて。こんなことは初めてでした。だから、これは『やりたい』じゃなくて『やるんだな』と直感して、『やります!』と即答しました。私、宝塚受験を決めた時も、同級生に『ゆう(真飛の愛称)、入ってよ』って勧められ、口が勝手に『入る』って言っていたんですよ。受験のこととか本拠地が関西とか何も知らずに(笑)。転機に出会う時って、直感が降ってくるようです」

 一人芝居は初挑戦、しかも舞台での主演は16年のミュージカル『マイ・フェア・レディ』以来10年ぶりになるが、自然体で舞台を作っていこうとしている。

「これから、『なんで私は一人芝居をやるって言ってしまったんだろう』って思う波が来ると思うんです(笑)。でも、劇場の方にも『みんなで力合わせて頑張りましょう』と言っていただいているので、(演出の)稲葉賀恵さんや皆さんと力を合わせて一緒に作り上げていきたいです。お客様も私の味方だと思って、向かっていこうと思います」

 そんな真飛をリラックスさせてくれる“相棒”がいる。14年に家族に迎えた愛犬「おもち」だ。生活を共にすることで、考え方も変わってきた。

「宝塚のトップ時代は、自分がダメになったら、組にも影響してしまうという責任感が常にありました。その真面目さが、退団してからもなかなか抜けなかったんです。でも、おもちと暮らすようになって、『まあいいか』って思えるようになりました。犬って感情は通じていると思うけど、しゃべれないですよね。だからこそ、完璧を求めず、柔軟な考えになりました。犬を飼ったことは大きいかもしれません」

 最後に今後について聞いてみると、“おもち効果”もあってか、より自然体を意識するようになったという。

「人生の半分以上を“真飛聖”として生きてきて、本名の自分がどういう性格だったか分からなくなる時もあって(笑)。男役として生きてきたので、女性としての自分ってどんな感じだったかなと迷うこともあるんです(苦笑)。ありのままの自分を大切にすることは、きっと役者として深みや人間らしさに繋がっていくのかなと思います。だから素顔を隠さずに生きて、冒険もしてみたいですね」

 30周年の節目は通過点に。再び新たなスタートラインに立った今、自分らしく真っすぐに飛翔していく。

□真飛聖(まとぶ・せい) 1976年10月13日生まれ、神奈川県出身。95年に宝塚歌劇団に入団。2007年に花組トップスターに就任し、11年に退団。退団後は俳優としてドラマや映画などで活躍する。主な出演作は、ドラマでは、TBS系『DOPE 麻薬取締部捜査課』(25年)、WOWOW『怪物』(25年)ほか多数。映画では、『ミッドナイトスワン』(20年)、26年2月公開の『レンタル・ファミリー』など次々に話題作に名を連ねる。また、26年4月には東京・新国立劇場で舞台『ガールズ&ボーイズ』に主演し、初の一人芝居に挑む。

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