洞窟で遺体を見つけたら…クレイジージャーニー出演の探検家「バラバラにしちゃダメですか?と」
一流の登山家や冒険家、探検家など、名だたる本格派のアウトドアズマンが一堂に会する野外フェス「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」が、11月7~9日の3日間、茨城・涸沼自然公園キャンプ場で初開催された。作家の椎名誠氏や探検家の関野吉晴氏、極地冒険家の荻田泰永氏など、そうそうたる面々が集ったイベントで一際注目を集めていたのが、『クレイジージャーニー』などの番組出演で知られる洞窟探検家の吉田勝次氏。トークショーでは軽妙な話術で洞窟探検の魅力と過酷さを余すところなく語りつくした。

一流の登山家や冒険家、探検家が一堂に会する野外フェスに登壇
一流の登山家や冒険家、探検家など、名だたる本格派のアウトドアズマンが一堂に会する野外フェス「NEW WORLD OUTDOORSMAN FESTIVAL」が、11月7~9日の3日間、茨城・涸沼自然公園キャンプ場で初開催された。作家の椎名誠氏や探検家の関野吉晴氏、極地冒険家の荻田泰永氏など、そうそうたる面々が集ったイベントで一際注目を集めていたのが、『クレイジージャーニー』などの番組出演で知られる洞窟探検家の吉田勝次氏。トークショーでは軽妙な話術で洞窟探検の魅力と過酷さを余すところなく語りつくした。
冒頭から質疑応答をベースとした漫談スタイルで行われたトークショー。洞窟探検家となった経緯について、吉田氏は「はっきり言って、洞窟自体は別に好きじゃないんです。洞窟がどんな世界かっていうと、痛くて寒くてつらくて苦しくて、この世の苦行が全部あるところと言っても過言じゃない。じゃあなんでそんなところに30年も行ってるのかって言うと、未踏の世界が好きなんですよ」と好奇心の源泉を口にした。
オカルトやUMAなど、未知のものに憧れたという幼少期。たまたま一人で訪れた観光地の鍾乳洞で、暗く続いた穴の奥に魅せられた。
「ライトアップされたところより、暗くて見えない、立ち入り禁止のその奥ばかり見てた。登山にダイビング、いろんなアウトドアやったけど、自分だけしか見たことのない世界を突き詰めていくと、今も地球上に残された未知の世界って深海か地底だけ。洞窟が好きなんじゃなく、洞窟に行き着くしかなかった」
閉所恐怖症の克服の仕方を聞かれると「今更言いづらいんですけど、実は僕もあんまり狭いとこ好きじゃないんですよ。どっちかと言ったら閉所恐怖症気味かもしれない」とまさかの告白も。
「うちの探検チームの女子で、ノートパソコンの画面くらいのところでも何のちゅうちょもなく潜っていく子がいて、その子はもう全然怖くないんだって。どっか壊れてるんですよ。僕はその子に比べたらまともな方だから、ドキドキしたり、怖くなったりすることもある。パニックになりそうになったら、ライトを消して目を閉じる。真っ暗な中で現実逃避するんですよ。人間って目から入ってくる情報が7割。それを遮断してやることによって、心を落ち着かせて進むんです」と独自のパニック対処法を明かした。
自身が通り抜けられる限界の幅についての言及も。「つなぎの中でインナーを脱いで、息を吐ききって肺がしぼんだ分のギリギリの幅が、僕の場合は21センチと5ミリ。何度も測って、感覚的にも21.5センチあれば入っていける。でも、それ以上は無理です。21.5センチまでは頑張りますけど、それでも無理となったら戻ります」と驚異的な数値を口にした。
洞窟探検の最中には、しばしば、本来その場所にいるはずのない人間の痕跡に出会うこともあるという。
「ほぼ亡くなった人ですね。100年前から1000年、2000年前の人に遭遇することもある。不謹慎かもしれないけど、僕は親しみを込めて『先輩』って呼んでます。『おい、ちょっと待って。先輩いたよ』って。ふと思うんですけど、事件と遺跡の境界ってどこだと思います? 僕は100年くらい前のご遺体は事件として警察に通報するんですけど、だいたい警察の人もポカンとしてるんですよね」
通報後はほぼ確実に、洞窟探索のノウハウがない警察から遺体搬送の協力を頼まれると吉田氏。「生きた人間でもギリギリの穴に遺体を通すのって、それはもう至難の業なんですよ。すごい悩んで考えて、警察に言ったのは『バラバラにしちゃダメですか?』と。即答で却下されましたね(笑)」。エジプトのミイラに着想を得て、遺体袋をガムテープでぐるぐる巻きに圧迫して何とか搬送したという。「ちなみにその人、戸籍を調べたら探検家でも何でもない一般の方で、なんで洞窟の底にいたのか誰も分からない。ミステリーですよね」。常人からは想像もつかないエピソードの数々に、会場は大きな笑いと感嘆に包まれた。
今狙っている洞窟については、「狙うは世界最深。インドネシアの標高3600メートルぐらいのところに入口があって、全部石灰岩なんですよ。もしそんなところにでかい縦穴があったら、3600メートルから一気に0メートルまで潜れるかもしれない。今の最深はロシアの2300メートルくらいの洞窟なんですけど、それを大幅に更新する可能性がある」とこれまでの集大成となる壮大な計画を披露。
「ただ、そこに行くまでが大変。めちゃめちゃ治安が悪い、ほぼ内戦状態の地域で、テレビの企画が通って下見のヘリも飛ばしてもらったんですけど、そのヘリがロケットランチャーで襲われて、パイロットが行方不明になっちゃって……。当然番組の話もなくなって、今は何とか自腹で行く方法を探っているところ。もうすぐ59歳ですが、生きて帰ってこれるか。多分これが最後の探検になる」
最後まで刺激的なトークで、集まった大勢の観客を沸かせた。
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