岡田奈々、“弱い自分”を見せられるようになったワケ AKB48卒業から2年半…ありのままで歌う今
歌手の岡田奈々は、2023年4月に国民的アイドルグループ・AKB48を卒業し、ソロ活動3年目を迎えている。11月12日には、自身3枚目となるアルバム『Unformel』(アンフォルメル)をリリース。28歳となった彼女が描く未来予想図は――。

3rdアルバム『Unformel』…「もっと人に寄り添える音楽を」
歌手の岡田奈々は、2023年4月に国民的アイドルグループ・AKB48を卒業し、ソロ活動3年目を迎えている。11月12日には、自身3枚目となるアルバム『Unformel』(アンフォルメル)をリリース。28歳となった彼女が描く未来予想図は――。(取材・文=小田智史)
2023年11月に1stアルバム『Asymmetry』でソロデビューした岡田。24年11月に2ndアルバム『Contrust』、そして今回の3rdアルバム『Unformel』と、3年連続でアルバムをリリースした。今作では全10曲、岡田本人が作詞を担当し、リード曲『あなただけを求めてる』では作曲にも初挑戦した。1人で活動するようになった3年間で、音楽観に変化はあったのか。
「もっと人に寄り添えるような音楽を作りたいと思うようになりましたね。誰かの心に寄り添って、背中を押せるような応援ソングだったり、みんなで盛り上がれるような明るい曲を作っていけたらいいなと徐々に思うようになりました」
アイドル時代、AKB48 チーム4や兼任したSTU48のキャプテンを務め、AKB48の51stシングル『ジャーバージャ』と58thシングル『根も葉もRumor』でセンターのポジションに立った。「アイドルだった時は根拠のない自信がありました。若さもあったかもしれません」。しかし、アイドルの世界を離れ、ソロアーティストとして活動する中で、“弱い自分”も見せられるようになったという。
「若さゆえの根拠のない満ちあふれる自信が、歳をとるにつれてだんだんなくなっていくのは感じています(苦笑)。大人数で活動するグループを離れて、1人で頑張って活動していくというところで、だいぶ弱さが強く表に出てきているのではないかなと思います。でも、以前は『アイドルはこういなきゃいけない』という偶像がありましたが、ソロアーティストは自分の弱さだったり、ダメなところも生かせていける職業だと感じています。そこは隠さず、ありのままの自分で勝負して、歌を伝えていかなきゃいけない。アイドル時代との大きな変化です」

歌だけは「マイナスな気持ちになったことはない」
岡田は、2022年1月に行われた「第4回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」で優勝を果たした高い歌唱力を誇るだけでなく、ドラマや舞台での芝居、公演プロデュースなど、マルチに才能を発揮してきた。もっとも、本人の自己肯定感は思いのほか低い。
「いつまで経っても自分を認められなくて(苦笑)。どこかで『他にすごい人はたくさんいるから』と思って、なかなか自分を認められないんです」
ただ、「歌」だけは「今まで生きてきてマイナスな気持ちになったことはない」と語る。
「私はダンスも下手だし、身長も低いのでモデルさんとかもできない。その中で『好き』という気持ちが一番勝ったのが歌でした」
これまで、歌を通して聴く者に勇気を届けてきた岡田。自身も歌に救われた経験があるという。
「日々自分の好きな音楽を聴いて癒されるだけでなく、自分で歌うことで心が楽になることもあるんです。20歳だった2018年に初めてソロコンサートをやった時、生バンドでAKB48の楽曲をやったんですけど、選曲のテーマがあって、“とにかく闇深いダークなネガティブな曲”。アイドルとしてはあまりよくないかもしれないけど、すごくしっくりきたんです。ずっと10代のころからずっと悩みが尽きなくて、このまま生きていていいんだろうかと思うなかで、その時初めて生きていていいんだと思えて、心が楽になりました。聴くだけじゃなくて、歌う側も救われています」
目標は「いつかアニメの主題歌を」
11月7日に28歳となった岡田は、どのようなソロアーティスト像を理想とするのか。
「私は小さい頃からアニメが好きだったので、アニソン(アニメソング)、ボーカロイドを中心に聴いていました。今はいろんなジャンルを聴いていますが、最近は女性アーティストさんを聴くことが多いですね。曲を聴くのは作詞の勉強にも、作曲の勉強にもなるし、個人的に自分に出せない音域・声色の女性に憧れと尊敬があります。いつかアニメの主題歌ができるように頑張りたいという目標を持っていますが、人間らしさ、人間味は大事にしていきたいと思っています」
岡田は「具体的な将来はあまり見えていない」と前置きしつつ、「ただ、歌はずっと歌い続けたいです。おばさんになっても歌っていたいですね」と笑顔をのぞかせた。
「歳を重ねるたびに少しずつ声変わりは感じているので、(これから)深みは増していくと思います。昔よりも高音が伸びるようになったので、声の幅が広がってきました。高い声が出なくなると思いきや、逆に音域を伸ばしていけるんじゃないかという希望が見えていて、色っぽい低音が出るような歌い手さんが好きなので、そこを目指して頑張りたいです。『いろんな歌い方ができるように』と1stアルバムの時から意識して、曲の中で声のトーンを変えたり歌い方を変えたりしています。一つのジャンルに縛られずにいろんな歌い方を試して、自分だけのジャンルを見つけられたらいいなと思います」
自分自身と向き合う岡田は、きっといつまでも歌い続けるに違いない。
□岡田奈々(おかだ・なな)1997年11月7日、神奈川県出身。2012年にAKB48に第14期生として加入し、13年にチーム4に昇格。51stシングル『ジャーバージャ』、58thシングル『根も葉もRumor』でシングル表題曲のセンターを務め、22年1月に行われた「第4回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」では優勝を果たした。また、17年から22年3月までSTU48のメンバーとしても活動した。23年4月にAKB48を卒業し、アーティストとしてソロ活動を精力的に行っている。11月12日に約1年ぶりとなる3rdアルバム『Unformel』をリリースした。
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