炎上した「支持率下げてやる」発言に「俺は驚かなかった」 青木真也が「メディアはいらない」と言い切るワケ【青木が斬る】

2003年のプロデビュー以来、日本総合格闘技界のトップを走り続けてきた青木真也(42)。格闘家としてだけでなく、書籍の出版やnoteでの発信など、文筆家としてもファンを抱えている。ENCOUNTで昨年5月に始まった連載「青木が斬る」では、格闘技だけにとどまらない持論を展開してきた。今回のテーマは自民党・高市早苗総裁の囲み取材での「支持率下げてやる」騒動。

今回のテーマは「メディア論」【写真:山口比佐夫】
今回のテーマは「メディア論」【写真:山口比佐夫】

連載「青木が斬る」vol.14

 2003年のプロデビュー以来、日本総合格闘技界のトップを走り続けてきた青木真也(42)。格闘家としてだけでなく、書籍の出版やnoteでの発信など、文筆家としてもファンを抱えている。ENCOUNTで昨年5月に始まった連載「青木が斬る」では、格闘技だけにとどまらない持論を展開してきた。今回のテーマは自民党・高市早苗総裁の囲み取材での「支持率下げてやる」騒動。(取材・文=島田将斗)

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“支持率下げてやる騒動”とは、10月7日の高市総裁の囲み取材の待機中にメディア関係者が「支持率下げてやる」などと発言。雑談のなかで出た発言であったが、この様子は生配信されていた。

 報道機関の公正性や中立性が揺るぎかねない事態にネット上では驚きの声や不信感が募り、大きな問題に。当該発言をしたカメラマンが所属する社は謝罪する事態となった。

 青木は「俺は驚かなかったんですよ」と触れ、こう続けた。

「だってメディアってそうでしょ? そういうものでしょ、メディアは。一応、公平性の範ちゅうにいなければいけないメディアがそういう言葉を漏らしたっていうのは脇が甘いな、反省しなければいいけないなって思うけど、俺は『別にそんなもんでしょ』って」

 そして、今回の件は大きな潮目になると斬った。

「格闘技メディアの場合はもっとお粗末というか、拡散性がないし、俺らが取材を受けるメリットはあまりなくて……。なおかつ彼らが作りだしたムーブメントに付き合わなきゃいけないじゃん。だから、今回の問題を見たときに、政治家も(メディアを使わず)自分で発信するようになるなと。彼女(高市氏)だって自分でチャンネルを持ってるわけだしね」

 すでに青木は取材を多くは受けず、note、YouTube、voicyを中心にテキスト、映像、音声と3つの媒体を使って自身について発信している。個人でメディアを持つことを自らが一番実感しているという。

「メディアはいらないけど、選手全員が自分でメディアをできる人ばかりじゃない。だから結局、選手のメディアを作るのか、選手のメディアにくっついていくのがいまのメディアの人の仕事になるんじゃないかなと思いますね。格闘メディアとかそこが崩れていくと思うんだよね」

「メディアが勘違いしていることってよくあるじゃん。興味深かったですよね」としみじみとこぼした。

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 耳が痛い話だった。政治の現場に限らず、同じような光景はこれまでにも見てきた。「とうとう出てしまったか」と感じたのが正直なところだった。「メディアはいらない」――。そう言われないためにも、ただ待つのではなく、自ら手を動かして、双方にメリットのあるコンテンツを生み出していかなければならない。

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