フジ社長「かなり痛恨」…改革で抜てきの55歳女性新取締役は5年前から「事実と異なる経費精算」で辞任 私的流用は否定

フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビは7日、両社の取締役である安田美智代氏(55)の同日付での辞任を発表した。理由は「一部不適切な経費精算の疑義が 認められたため」としている。これを受け、両社の清水賢社長が同日午後7時から東京・台場のフジテレビで取材対応し、「かなり痛恨」との見解を示した。

フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビの清水賢社長【写真:ENCOUNT編集部】
フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビの清水賢社長【写真:ENCOUNT編集部】

報道、経営畑を歩んだ安田美智代氏

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビは7日、両社の取締役である安田美智代氏(55)の同日付での辞任を発表した。理由は「一部不適切な経費精算の疑義が 認められたため」としている。これを受け、両社の清水賢社長が同日午後7時から東京・台場のフジテレビで取材対応し、「かなり痛恨」との見解を示した。

 清水氏は愛知・名古屋市で開催された民放連全国大会を終えて帰社。安田氏が辞表を提出した報告を受け、急きょ取材陣に対応した。冒頭、公表済みの文書を読み上げた後、安田氏による「不適切な経費精算」の詳細を明かした。

「調査で分かったことは会食や手土産での経費申請で、相手先や人数が事実と異なっていたという点です。2020年からの5年間で60件、約100万円分が確認されました。本人は『私的流用はない』と言っていますが本日、辞表を提出しました。弁済もすると言っています。(刑事)告訴するかどうかは本人の対応次第です」

 安田氏が、事実と異なる申請をした理由については「長く報道で記者をしていたので……」と言葉を濁しつつ、「理由の確認は難しかったです」などと話した。

 ただ、昨年末に表面化した元タレント・中居正広氏と女性アナウンサーのトラブルに端を発した一連の問題を受け、改革の決意を込めて経営陣が刷新された事実はある。安田氏もその一人として抜てきされたが、20年から最近に至るまで「不適切な経費精算」をしていたことが発覚。そのことに関する思いを問われると、清水氏は神妙な表情で言った。

「やはり、取締役ですから……。私としては、かなり痛恨です」

 安田氏が今後、フジテレビと関わりを持つかを問われると「全く関係はないと思います。辞任を持って今後はないと思っています」との認識を示した。

 同社の発表によると、今年9月中旬にフジテレビ社内のチェック機能により、安田氏の一部不適切な経費精算の疑義が認められたため、同社の社外取締役を委員長とする監査等委員会とフジテレビの監査役が主体となって詳細な調査を指示外部専門家や関係部局を入れて調査を行ったとしている。そして、下記の事実を発表した。

「結果、安田氏が、会食費用や物品購入について事実と異なる経費精算を行っていたことが複数確認されました。安田氏本人も上記の事実を認め、返金の意向を示すとともに取締役の辞任を申し出たものです」

 その上で「当社およびフジテレビでは、一連の事案を受け、ガバナンス強化の一環である経費使用の適正化により、厳格な経費利用ガイドラインを策定し、チェック機能をより強化したことに伴い、この度の判明に至ったものです。なお、今回の事案を受け、改めて全取締役について調査を行っていますが、同様の事案は確認されておりません」と報告。そして、「当社およびフジテレビとしては、全社一丸となって再生・改革に取り組んでいる中で、不適切な経費精算が行われていたことは断じて許されることではないと考えております。この度は、当社の取り組みにご理解とご支援を賜っているステークホルダーの皆様に、かかる事態が生じたことについて、心よりお詫び申し上げます」と謝罪している。

 安田氏は、1992年4月にフジテレビに入社。2001年7月、報道局外信部ニューヨーク支局に赴任し、21年7月、経営企画局グループ経営推進部長に。22年6月、経営企画局局次長グループ経営推進 統括兼特命担当になり、24年4月、経営企画局局次長上席グループ連携推進統括兼特命担当に着任。24年7月からは経営企画局グループ経営推進担当局長兼開発企画統括となり、今年3月27日の取締役会で取締役に就任した。また、6月からはFMHの取締役も務めていた。

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