【ばけばけ】母役・池脇千鶴は「ダメもと」オファー 制作統括が明かす起用理由と“絶対条件”
俳優の池脇千鶴が、ヒロイン・松野トキ(高石あかり)の母・フミ役で出演するNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(月~土曜午前8時)の第35回が14日に放送され、これまでの柔和なフミとは一味違い感情を爆発させた迫力ある姿を見せた。池脇は当初から個性豊かな家族をまとめる母を巧みに演じているが、制作統括の橋爪國臣氏が取材に応じ、池脇の起用理由や魅力を語った。さらに同作特有の笑いに関わるキャスティングのこだわりも語った。

芸能事務所へ事前にキャスト絶対条件宣言 制作統括「まじめなリアルな芝居できる方」
俳優の池脇千鶴が、ヒロイン・松野トキ(高石あかり)の母・フミ役で出演するNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(月~土曜午前8時)の第35回が14日に放送され、これまでの柔和なフミとは一味違い感情を爆発させた迫力ある姿を見せた。池脇は当初から個性豊かな家族をまとめる母を巧みに演じているが、制作統括の橋爪國臣氏が取材に応じ、池脇の起用理由や魅力を語った。さらに同作特有の笑いに関わるキャスティングのこだわりも語った。
(※以下、ドラマの内容に関する記述があります)
第35回では生活に困窮する雨清水三之丞(板垣李光人)に、トキが自分を捨てて家族のためにラシャメン(異人の妾)になろうとしたと話し、金を渡そうとする姿が描かれた。三之丞は物乞いをして暮らす母を自分で稼いだ金で救いたいプライドを示し、受け取ることをためらった。そんな三之丞にフミが「もらうの、もらわんの、どっちかね」と切り出すと、「言っちょくけど、もらわんはないけん。おトキが覚悟を決めて稼いだこのお金。三之丞ぼっちゃんでも、もらわんは許さんけん」とものすごい迫力で言い放った。三之丞が「もらいます」と言うと、フミは「頂戴いたしますでしょ」と怒り叫んだ。池脇の演技をどう評価しているのか。
「松野家は池脇さんでもっていると思っています。家族みんながそれぞれ好き放題して楽しくやりますが、そこにちゃんとクサビを打つ芝居をして、みんなが離れないようにつなぎとめています。みんなのコミカルな芝居をちゃんとリアルに引き戻し、どっしり構え、松野家のリアルさを担保してくれています。池脇さんがいるから松野家がしまる。だからこそみんなが自由にコミカルな芝居ができる。でも実は、フミが何かやる時が一番笑えると思います。リアルだから笑えるんです。朝ドラヒロインの経験からアイデアもたくさん頂けるし、舞台裏でもみんなを引っ張ってくれています。すごく頼りになります。岡部たかしさんと小日向文世さんも含め、みんなの母親みたいな存在です」
池脇の起用理由を尋ねた。
「フミという役を誰に依頼したらいいか迷いました。コメディエンヌだけどコメディーになってはいけない役。みんなをどっしりとまとめないといけないけど重くなり過ぎてもいけない。みんなが好き放題やる中、うまくまとめる力を持つ人ということを考えて、池脇さんの名前が上がり、ダメもとで聞いたら早めに返事を頂けました」
台本だけ読むとコントのようだが、池脇とはどんな話をしたのだろう。
「面白くやろうとは一切思わないでください。最後まで徹頭徹尾まじめにという話をしました」
作品は登場人物がまじめに面白いことをやっている姿にクスっと笑ってしまう。
「意識的にやっています。この物語はコメディーですが、誰一人として笑わそうと思って芝居をしていません。演出もしていません。だからこそ面白い脚本。なので、キャスティングに関してもそこは徹底しようと考えました。私の中ではちゃんとまじめなリアルな芝居ができる方を絶対条件としました。それは小さい役に関しても徹底しています。吉本興業や松竹芸能さんには、『申し訳ないけど今回は地元だからとか楽しいからとか知名度を理由にお笑い芸人を起用することはしません』と最初に宣言しました。ふじきさんの脚本はあえて笑わそうとするといろんな物が壊れてしまう。今回はふじきさんの書く脚本に合った方を選んでいます」
作品は松江の没落士族の娘で、小泉八雲の妻・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描くオリジナルストーリー。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語をフィクションとして描く。
※高石あかりの「高」の正式表記ははしごだか
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