6輪のレクサス、動力源は?“逆転の発想”に驚き…担当者の熱意「技術の粋を集めて挑戦」
レクサスの車両に、タイヤが6個付いている? 開催中の「ジャパンモビリティショー 2025」(東京ビッグサイト)で、斬新なコンセプトカーが話題になっている。“疑問だらけ”の報道陣が担当者に殺到。トヨタの高級ブランドが、なぜ大胆な提案を仕掛けたのか。

「もし欲していただけるのであれば、実現できるために頑張っています」
レクサスの車両に、タイヤが6個付いている? 開催中の「ジャパンモビリティショー 2025」(東京ビッグサイト)で、斬新なコンセプトカーが話題になっている。“疑問だらけ”の報道陣が担当者に殺到。トヨタの高級ブランドが、なぜ大胆な提案を仕掛けたのか。
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初公開となったレクサスの「LSコンセプト」。小さめの後輪が2つある6輪仕様で、巨大な車体が重厚感を醸し出している。
「6輪で大きいハコというところが目に付くと思います。よく『変わったことをしている』『目立っていますね』と聞かれますが、6輪ありきではなく、人を中心とした設計なんです」。担当者はこう力説する。
専属運転手がハンドルを握って、オーナーが後部座席に乗車する「ショーファーカー」。この“VIP仕様”を徹底追求し、「ショーファーカーのニーズの原点から考え直しました」。
運転席の後ろに、VIP要人が座るシート(2席分)を設けた。3列目にはゲストや付き人、SP警護(3席分)が乗れるような設計になっている。現状は最大7人。「真ん中のスペースを、VIPの方のお部屋として捉えています。隠れ家であったり、オフィスであったり。ご自身の特別な部屋が移動する、というコンセプトです」。
ここを出発点に、6輪の発想にたどり着く。“玄関”とも言える、乗り降りのスムーズさに焦点を当てた。VIPが乗り込むとほぼ同時に、3列目にもゲストや関係者が乗って、よりスマートに乗車できるよう、設計を再考した。「通常の車は4輪が一般的だと思います。前輪と同じサイズのタイヤが後ろにあると、室内側にホイールハウスの空間が張り出してきます。室内の広さを確保するため、タイヤを小さくしようという発想が生まれました。今度はタイヤが小さくなると、駆動力、車の重量を支える力が足りなくなるので、もう1輪が必要になってきました」。こうして、2つの前輪と、4つの後輪の合計6つのタイヤを持つユニークな構造の車に行き着いたのだ。
動力源となるパワートレインはどうなっているのか? 記者からの質問が相次いだ。
「これだけの空間を取ろうとすると、それだけ大きいエンジンを積むのか、大きなバッテリーを積むのか。技術者としては悩むところです。今まではエンジンやバッテリーをどうしてという機械の話から始まって、残ったところで空間を設けましょうという順番でした。この車は全く逆の発想です。真ん中の空間があって、その周りに機械を置こうよということから始まっています。パワートレインとしてこの空間に必要なもの、ベストなものは何か。今まさにエンジニアが苦労しながら考えているところです」
熱視線が寄せられる独特なコンセプトカー。しかし、レクサスの開発陣は“夢物語”に終わらせるつもりはない。日本の狭い道にも対応できて、ラグジュアリー空間を損なわず、スムーズに走れる、新次元の高級車の開発だ。「コンセプトカーではあるのですが、ビジョンで終わるつもりは正直ありません。もし欲していただけるのであれば、実現できるために頑張っています。どうやったら実現できるのか。技術の粋を集めて、本当に我々の挑戦が続いている状況です」。結論はまだ出ていない。根気強さを持って、検討を続けているという。
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