雛形あきこ、俳優の夫と「互いに理解し合い、ありがたい関係」 娘との関係性も語る
今年47歳を迎えた俳優・雛形あきこが、舞台『新 画狂人北斎』(演出・宮本亞門、10月17日~22日の東京公演後に25日から全国11都市で上演)で葛飾北斎の娘・お栄を熱演している。2019年と23年の舞台『画狂人北斎』の内容を一新した新作となり、雛形は2年ぶりに同じ役に挑むやりがいを語った。さらに、夫で俳優・天野浩成や成人した長女との関係性など“素顔”にも迫った。

舞台『新 画狂人北斎』で葛飾北斎の娘・お栄役
今年47歳を迎えた俳優・雛形あきこが、舞台『新 画狂人北斎』(演出・宮本亞門、10月17日~22日の東京公演後に25日から全国11都市で上演)で葛飾北斎の娘・お栄を熱演している。2019年と23年の舞台『画狂人北斎』の内容を一新した新作となり、雛形は2年ぶりに同じ役に挑むやりがいを語った。さらに、夫で俳優・天野浩成や成人した長女との関係性など“素顔”にも迫った。(取材・文=大宮高史)
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江戸時代の天才浮世絵師・葛飾北斎が主人公の舞台『画狂人北斎』は、宮本氏の演出で2017年に朗読劇として上演後、19年に舞台化。23年に全国公演を展開し、今回新作となる。雛形は23年に初参加し、西岡徳馬演じる北斎の娘・お栄を演じた。今作も西岡の北斎、雛形のお栄という同じ顔ぶれながら、一昨年からストーリーを一新し、鳥居耀蔵(寺西拓人)、シーボルト(アイル・シオザキ)ら同時代の人物との活気ある人間模様を描いた。雛形が演じるお栄は、葛飾北斎の実在の娘で父と同じく絵師だった葛飾応為をモデルにしている。
――2年ぶりに、お栄を演じます。雛形さんはお栄をどのような女性だと捉えていきましたか。
「お栄に関して調べていくと、ミステリアスな女性だなと思いました。まず偉大な父である北斎に比べて、残されている情報が圧倒的に少ないんです。女性が絵師としてなかなか認めてもらえない時代に、北斎の名前で残っている作品にも彼女が描いたものがあったかもしれないと言われています。北斎の影武者のようでもあり、一方で父に似ていて面白い人だなという印象です」
――「面白い人」とは、お栄のどんなところに惹かれたのでしょうか。
「お栄は絵の才能があっても、生活力は全くなかったらしいんですね。煙草が原因で火事を起こしてしまったり、部屋が汚すぎて何度も引っ越しをしたというエピソードが残っています。でも絵を売る交渉力はあったようで、お金を稼ぐ面でも父を支えていたようです。舞台でも北斎と同じ変わり者なんですが、ただ父を支えるだけでなく、お栄自身の人生や、女絵師として認められない葛藤がより深く描かれています。父への憧れと、絵に対する彼女なりのプライドを、今回は特に大事に演じたいと思っています」
――葛飾北斎役の西岡德馬さんや、演出の宮本亞門さんとの稽古場での様子はいかがでしたか。
「西岡さんって、すごく純粋な方なんです。私は10代からドラマなどでご一緒してきましたが、今月79歳になられたばかりなのが信じられないくらいエネルギッシュな方でもあります。若手からの意見にも素直に『やってみよう!』と受け入れてくださり、本当にフットワークの軽い方です」
――宮本さんとは、どのようにお芝居を組み立てていますか。
「俳優として、とてもやりやすい空気を作ってくださって、ありがたいです。指示があった後でも、『お栄としては苦しくない?』と必ず役の気持ちに寄り添って確認してくださるので、繊細に役者を扱ってくれる方だなと感じます。今回の舞台は、一昨年からガラっと内容が変わってほぼゼロからのリスタートなので、台本があっても稽古場でどんどん変わっていきました。宮本さんもたくさん話を聞いてくださり、一緒に作品を作ってきた実感があります」

雛形家での「ゴロゴロタイム」
絵師であり、父の北斎からも才能を認められてきたお栄。雛形は、自身の家族とどのような関係性を築いてきたのだろうか。
「舞台では不思議な仲の親子をさせていただいていますが、私たちの家族もちょっと似ているかも、と感じています。自分の好きなことに没頭できた北斎のように、私も好きなお芝居をさせてもらっていて、普通の家庭より家にいない時間も長いのに、家族が理解して支えてくれているのがありがたいです」
――夫の天野浩成さんも、俳優として活動されています。
「やっぱり、お互い言わなくても共鳴できる感覚はあります。今もそうなんですが、お互い作品に入っている時期は、家で同じ空間にいても違う世界にいるような気分で(笑)。私は江戸の世界に、彼は彼の役の世界に行っていて、それは俳優として当たり前のことだと互いに理解しています。すごくありがたい関係だなと思います」
――では、子育ての過程で意識されてきたことはありますか?
「娘とは、一緒にいられない時間が多かった分、とにかくたくさん話すことを心掛けてきました。特に、一日の終わりにベッドルームに皆で集まって、ゴロゴロしながら『今日こんなことがあった』と報告し合うのが日課でした。大事なことも全部自分で決める子だったので、いきなり重大発表もありました。小学校6年生の時に急に『中学受験がしたい』と言われたり。自分のビジョンをしっかり持っている子だったので、私たちは彼女をサポートしていく感じでした」
――今は成人されて、雛形さんと別の道に進まれたそうですね。
「娘は高校卒業の時も、付属の大学に進学しないで『この学校に行きたい』と別の大学を選びました。やりたいことがはっきりしているのは一貫していましたね。独り立ちしましたが、今でも泊まりに来ると、やっぱりベッドでゴロゴロしながら、娘の会社の話題で時間が過ぎていきます。いくつになっても子どもは子どもだし、我が家ならではのあの時間があったからこそ、この関係が築けているのかなと思います」
□雛形あきこ(ひながた・あきこ)1978年1月27日生まれ、東京都出身。劇団東俳に所属し1992年にTBS系ドラマ『おべんきょう』で俳優デビュー。その後も映画やドラマなどに多数出演。一方で、同年からグラビアも始め、94年にフジテレビビジュアルクイーンに選ばれる。95年には1stシングル『笑顔の予感』で歌手ビュー。2025年は、7月公開の映画『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』、10月期放送のカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに』などに出演している。プライベートでは2013年に俳優の天野浩成と再婚。1児の母。
【今後の公演情報】
「新 画狂人北斎」
長野公演:10月25日(土)~10月26日(日)北斎ホール
石川公演:10月28日(火)~10月29日(水)北國新聞赤羽ホール
大阪公演:10月31日(金)~11月3日(月・祝)サンケイホールブリーゼ
北海道公演:11月11日(火)札幌市教育文化会館大ホール
11月13日(木)北ガス市民ホール(北見市民会館)
11月15日(土)幕別町百年記念ホール 大ホール
11月17日(月)だて歴史の杜 カルチャーセンター 大ホール
大分公演:11月24日(月・祝)中津文化会館 大ホール
熊本公演:11月25日(火)市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館) 大ホール
京都公演:11月27日(木)~11月28日(金)京都劇場
山口公演:11月29日(土)~11月30日(日)下関市民会館 大ホール
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