三谷幸喜氏、6年ぶり“三谷かぶき”に自問自答「これって歌舞伎?」 松本幸四郎は「ど真ん中」と太鼓判
脚本家の三谷幸喜氏、歌舞伎俳優の松本幸四郎、片岡愛之助、中村獅童、坂東彌十郎、中村鴈治郎が20日、都内で行われた11月歌舞伎座、三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)幕を閉めるな』の囲み取材に出席した。

初タッグの中村鴈治郎を「“面白い生き物”がいた!」と絶賛
脚本家の三谷幸喜氏、歌舞伎俳優の松本幸四郎、片岡愛之助、中村獅童、坂東彌十郎、中村鴈治郎が20日、都内で行われた11月歌舞伎座、三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)幕を閉めるな』の囲み取材に出席した。
11月歌舞伎座松竹創業百三十周年『吉例顔見世大歌舞伎』では、夜の部に三谷が脚本・演出を手がける『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)幕を閉めるな』を上演する。2019年6月の歌舞伎座『六月大歌舞伎』で三谷かぶき『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)風雲児たち』が上演され好評を博し、6年ぶりに新たな“三谷かぶき”が歌舞伎座に登場する。
もともと1991年に、三谷氏が自身の主宰する劇団・東京サンシャインボーイズに書き下ろし上演した伝説のコメディ『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな』を、新作歌舞伎として上演。同作は、とある劇場の裏側を描いた舞台愛に満ちた群像劇で、“バックステージもの”の傑作として名高い。今回は伊勢の芝居小屋・蓬莱座を舞台に、狂言作者の花桐冬五郎(幸四郎)や座元の藤川半蔵(愛之助)が、人形浄瑠璃で人気となった『義経千本桜』を歌舞伎として上演しようとする物語。延享5年(1748年)に伊勢で初めて歌舞伎として上演された『義経千本桜』に関わる個性豊かな登場人物たちが、舞台袖と舞台上で錯綜する。
三谷氏は6年ぶりの“三谷かぶき”に、「今回のこのテーマはですね、歌舞伎座始まって以来の、割れるような拍手と割れるような笑い声、ガラスが割れるぐらいの笑いに満ちたコメディをやりたいなと思いました」と明かし、「僕の知っている歌舞伎役者の皆さんは、本当にコメディアンとして優れた人たちばかりで、笑いのセンスのある喜劇俳優が集まった。それをフルに生かして最高の喜劇を作りたいなと思っております」と語った。
自身の『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな』を題材にしているが、「もともと現代劇として20年ぐらい前に作った脚本をもとに、歌舞伎の舞台に置き換えて作り直したんですけど……、ほぼ原型を留めてない感じになりました」と笑いを誘った。また稽古中の幸四郎と獅童の仲がいいことを明かし、「お互いにいろんなことをし始めるんですよ。脱線するじゃないですか。出番じゃないのに、とにかくやめてもらっていいですか?」と2人につっこみ、仲睦まじい雰囲気を見せた。
幸四郎は、20代の頃から何度も一緒に仕事を共にしている三谷氏に対し、「もう、絶対的に信頼しています」と語り、「作って、書いていただいた“絶対的なもの”どうするかはこっち次第」と意気込んだ。今回、鴈治郎は三谷作品初出演。三谷氏は鴈治郎ついて「今回初めてなんですけども、もう本当に、今までなぜこんな“面白い生き物”がこの世にいたのを知らなかったんだろう!」と本音を明かして笑わせ、「もっと早く出会っていれば! 悔やまれてならないですね」と語った。彌十郎は6年前の“三谷かぶき”に出演。三谷氏は「彌十郎さんには台本を書く段階からいろいろとアドバイスいただいた。僕は歌舞伎の世界をよく分かってないし、江戸がどういう時代かも知らないことばかりなので、それはもういろいろと教えてくださいました」と感謝した。
最近ようやく最後まで通し稽古ができたといい、「クライマックス直前までもう大爆笑してて、すごいスピード感で1時間40数分があっという間だった。体感10分ぐらいですよね」と振り返った。さらに「これ、もしかしたら最初に言うべきことだったかもしれないんですけど、これって……歌舞伎なのかな」と我に返る瞬間も。すかさず幸四郎が「大丈夫、歌舞伎です。ど真ん中の歌舞伎です」と太鼓判を押した。
獅童は「歌舞伎を最初に見る作品としては、非常にいいのではないかなと思っています。楽しい作品ですので、ぜひおいでいただきたい」とアピール。また愛之助も「おそらく1回見ただけでは、見逃した部分がたくさんあるかもしれない。2回、3回と見て気づいていただければ。毎回変わって、いろいろ進化していくと思うので、ぜひ2度、3度見ていただいたら」と魅力を語った。
