マリーゴールド代表が“禁断”の対スターダムに言及「お客さんに夢を見せなきゃいけない」

昨年5月に旗揚げ戦を行ったMARIGOLD(マリーゴールド)は、10月26日に東京・両国国技館で年間最大のイベントを開催する。今回は“プロレス界のアイコン”岩谷麻優によるWWEのイヨ・スカイ(紫雷イオ)戦をメインに据えた。国技館大会を実施するのは昨年の7月以来、2度目となるが、大一番を前にロッシー小川代表を直撃した。

2027年には業界歴50周年を迎えるMARIGOLDのロッシー小川代表
2027年には業界歴50周年を迎えるMARIGOLDのロッシー小川代表

WWEトップのイヨ・スカイを招聘する意味

 昨年5月に旗揚げ戦を行ったMARIGOLD(マリーゴールド)は、10月26日に東京・両国国技館で年間最大のイベントを開催する。今回は“プロレス界のアイコン”岩谷麻優によるWWEのイヨ・スカイ(紫雷イオ)戦をメインに据えた。国技館大会を実施するのは昨年の7月以来、2度目となるが、大一番を前にロッシー小川代表を直撃した。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「この試合なんか想像できないでしょう。ましてWWEは日本の団体、女子だったらMARIGOLDにしか来ないじゃないですか」

 そう言って、今回の両国大会におけるメインカードにロッシー小川代表は自信をみせた。事実、岩谷VSイヨ戦は、両者がSTARDOM(スターダム)時代にも対戦した過去を持つが、今回は実に7年半ぶりの一騎打ちになる。

「プロレスって歴史も大事なんで、歴史を背負いながらやっていく。そのなかで新しいものが生み出せればいいし、いろんな要素が詰まっていたほうがいい」

 MARIGOLDにWWEのトップレスラー(スーパースター)であるイヨを招聘するのは、昨年の両国大会以来、2度目。前回は林下詩美相手に力の差を見せつけたが、同時にそれはMARIGOLDの存在を知らしめた、小川代表の矜持でもある。

「(イヨを)呼ぶ価値はありますよ。実際、彼女の参戦を発表してからチケットの数字も伸びているから。影響力はかなりある。PPVとかだったら、彼女が出るなら(購入する)っていう人もいるだろうし、いろんな効果がありますよ」

 ちなみに、小川代表とイヨの関係は、両者がSTARDOMに関わっていた頃に遡る。

「イヨは向こう(WWE)に行くっていう話を、最初から自分にしてくれていたんですよ。最後(WWEに)行くまで報告してくれて。だから気持ちよく向こうに送り出したし。なぜかっていうと、最初に自分宛にWWEの人間から連絡があったのもあったし。だからそういう意味では送り出したんだなあって。日本に帰国した時も会ったりしていたしね」

 おそらく試合は、この7年半のお互いの成長が激しくぶつかり合う珠玉の一戦になるだろう。その点は楽しみすぎる再会でもある。

 さて、本来であれば、さらに両国大会の見どころを深掘りするべきなのかもしれないが、取材時間に制限があるなか、ぜひとも小川代表に聞いてみたいと思っていたことがあった。

2度目の両国大会にはMARIGOLD総力戦で挑む
2度目の両国大会にはMARIGOLD総力戦で挑む

Sareeeへの“ブーイング現象”の理由

 それは最近、STARDOMにSareeeが参戦すると、これ以上ないブーイングが湧き起こる現象について。他の団体にSareeeが出ても起こらないことが、STARDOMでのみ確認される。いったいなぜなのか。

「STARDOMのファンはSTARDOMしか見ない人が多いんじゃないですか。だから、そこの熱狂的な人たちからすると外敵になってしまう。Sareeeもいろんなところに出ているけど、他の団体はSareeeを容認しているというかね。だからSTARDOMファンからすると、招かれざるを得ない部分がある」

 それがSareeeへの強烈なブーイングになっている、と小川代表は見ているが、さらにSTARDOM絡みの話をするなら、最近、とある団体の会場で、小川代表がSTARDOMの岡田太郎代表と立ち話をしている姿が目撃されている。当然、単なる立ち話にすぎないことは分かっているものの、両者の関係性を考えると、立ち話をしただけで驚きの光景に映ってしまう。

 これに関して小川代表は、「(岡田社長が)話しかけてきたから、別に拒否をする理由もないし」と明かしたが、STARDOMから分派して立ち上がったのがMARIGOLDだという経緯を考えると、両者のトップ同士が接点を持ったこと自体が驚きの第一歩なのは間違いない。

 まさか、STARDOMとMARIGOLDがついに交わる瞬間が来るのか……?

 これに関して小川代表に見解を求めると、「それはねえ、先のことは分からないですよ。ただ、我々はもっと力を付けなきゃいけないし」と明かしながら、「それってひとつの禁断のあれ(果実)になるじゃないですか。(今やっても)盛り上がらないと思うけどね。一部の人が盛り上がるだけで……」と話した。

 この発言は、裏を返せば熟すタイミングを待つ、ということになるのか。

「どうなんだろう……。分からない、それは。ただ、それまでにお互いの団体の闘いを見せていかなきゃいけない。だから、そこにこだわりたくない。でもホントにどうなんだろう……。やるともやらないともいえないよね」

 ここまで話した後、小川代表はこう続けた。

「ただ、この世界にいる限りは、お客さんに夢を見せなきゃいけないっていうのもあるんですよ。それは我々のやっている仕事の“性(サガ)”というかね。自分たちの考えで、できるものができなくなるっていうのはよくない。だから、できるだけやれるものはやりたいし、やれないものはやれないし」

男子を含めたプロレス大賞は北斗晶もクラッシュも取っていない

 たしかに、いかに因縁をリング上に持ち込むかを考えた場合、STARDOM対MARIGOLD以上の「禁断の果実」はなかなか思い当たらない。

「その辺は組織の考え方の違いでしょう。ウチだったらドーム大会ができたらWWEと(対抗戦を)やりたいよね。それだったらドームもイケけるかもしれない。そういう違ったアプローチの仕方もあるよね」

 その視点を持ち込むなら、WWEにはイヨをはじめ、KAIRI(カイリ・セイン)やジュリアといった、日本の女子プロレス出身の選手も揃っている。MARIGOLDとの対抗戦なら話題を呼びそうだ。

 そして、そんな話を小川代表と話しながら、実はもうひとつ、聞いておきたい話があった。

 今年もそろそろ年末の声が聞こえてきそうな時期にさしかかり、プロレス大賞がどうなるのかが気になる時期になってきた。今年に関しては、STARDOMで飛ぶ鳥を落とす勢いにあり、現在二冠王の上谷沙弥が、男子を含めた上でのプロレス大賞に選ばれるのでは、という声もある。

 これに関して小川代表は、「女子が取るのはいいと思うんですよ」と口にしながら、「(上谷が)そこまでなのかなあっていう気はするんですよね」と話した。

 理由は「昔、北斗晶とかクラッシュギャルズの時は(男子を含めたプロレス大賞は)取ってないんですよ。彼女たちは業界を超えて、それ以上にまで行っていたけど、それでも取れていない。今の上谷紗弥は、たしかに地上波の番組に出ていたかもしれないけど、今後出ていくのかは分からない。クラッシュギャルズなんか毎日出ていたからね」と話す。

 しかも小川代表は、「そこに関しては、一定のハードルを設けないといけない話。だって、これで取れちゃったら、(昔に比べて)ハードルが低いなって(思われてしまう)。まずは女子プロレス大賞からでしょう。ちょっとそこは飛躍しすぎなんじゃないかと思うね。だってまだ世の中を動かしてないじゃん。だから、今後どうなっていくかじゃないのかな」と話し、前例を覆すには過去の歴史以上の活躍が条件だと語った。

 小川代表の話を聞いていると、非常にさまざまなことを客観視しているように思える。

「当然。じゃないと(MARIGOLDの運営は)できないもん。客観視しているんだけど……なんていうの、主体視しなきゃいけないこともある。だって見るほうもそうなんだから。そこの感性も持たなきゃいけない」

 2027年には業界歴50周年を迎える小川代表。それだけにこの世界における見識は絶品だが、まずは両国決戦を成功させること。それを越えれば、その先にある、さらなる明るい世界が見えてくるに違いない。

(一部敬称略)

次のページへ (2/2) 【動画】マリーゴールドの小川代表が“禁断”の対スターダムに言及した実際の映像
1 2
あなたの“気になる”を教えてください