「震えがとまらない」襲い来るクマに“ピッケル一閃” 山中で遭遇した男性が語った“生死を分けた瞬間”

全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度クマの被害により死亡した人は、15日時点で計7人となり、統計がある2006年度以降で過去最多を更新した。16日には、岩手・北上市和賀町にある温泉施設から「清掃従業員の姿が見えない」という内容の通報があり、警察が現場を調べたところ、露天風呂の入り口付近に血痕があるのを確認。現場の状況から、クマによる被害の可能性も浮上している。

全国各地で相次ぐクマによる被害(写真はイメージ)【写真:写真AC】
全国各地で相次ぐクマによる被害(写真はイメージ)【写真:写真AC】

今年度クマの被害により死亡した人は過去最多を更新

 全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度クマの被害により死亡した人は、15日時点で計7人となり、統計がある2006年度以降で過去最多を更新した。16日には、岩手・北上市和賀町にある温泉施設から「清掃従業員の姿が見えない」という内容の通報があり、警察が現場を調べたところ、露天風呂の入り口付近に血痕があるのを確認。現場の状況から、クマによる被害の可能性も浮上している。

 連日のようにクマ関連の報道が続くなか、ネット上では、山中でクマの襲撃を受けたという男性の投稿が話題に。男性はクマを撃退、幸いけがなどを負うことはなかったと報告している。投稿者の男性に、緊迫の一部始終を聞いた。

「熊の襲撃をうけました 震えがとまりません」

 今月11日、SNS上に投稿された写真には、ヘルメットやクマスプレーなど、クマ撃退直後の男性の所持品が生々しく収められている。今回、クマ撃退に役立ったのは「バイル」や「アイスアックス」と呼ばれる氷壁登攀(とうはん)用の道具。雪山登山に用いるピッケルから派生した道具で、凍った壁をよじ登れるよう、鋭くとがった先端部や「ハーケン」と呼ばれる金属製のくさびを打ち込むためのハンマーなどが備えられている。

 男性は一連の投稿で、「熊は崖に近い急斜面をものともせず、斜め上から猛スピードで突進してきました。熊スプレーを取り出す時間もなかったので、咄嗟にバイルを向けました。熊の顔面にカウンターであたり、そのままの勢いで崖に落ちてゆきました。急いでスプレーを取り出しストッパーを外して周囲を見渡すと小熊がいました」「落ちていった母グマを心配そうに、木に少し登ってみていました。小さいのが2匹、母熊と同じくらいのが一匹。大声で威嚇しながら母熊が戻る前に、滑落しないように注意しながら尾根を下りきった次第です」と当時の状況を説明。

 襲われたのは夜間だったといい、「グルルっと聞こえて、なんだ? と思いヘッデンを向けたら、こちらへ突進してくる熊 高輝度LEDの眩しさも崖も、ものともせず突進する気迫…恐怖です」と心境をつづっている。

 投稿は2000件を超えるリポスト、1.7万件の“いいね”が寄せられるなど話題に。「ご無事で良かったです」「今はどんな山も油断できませんね」「熊スプレーを買いに行ったら、欠品でした」「やはり長柄の武器は正義ですね」「こんな小さなもので…!」「トラウマでもう山登れなくなりそう」「想像しただけでも恐怖です」など、さまざまな反応が寄せられている。

 50代の会社員という投稿者。キノコ採りや鉱石採集が趣味で、休みの日はよく山に入っており、キノコ採り歴は25年になるという。今回襲われたのは本州に生息するツキノワグマで、「(北海道の)ヒグマだったら死んでました」と振り返る。

「当日は松茸を取りに山に入っておりました。ただただリアルタイムの現象と心境を投稿しただけで、いわゆるバズるという現象になるとは全く思っていませんでした」。その後の対応については「松茸の場所は一子相伝。しかるべき時まで家族にも伝えません。ですので、体に被害がない以上、どこに届け出ることもありません」としつつ、「バイルに助けられました。山に入るということは、それなりの覚悟と準備(装備)が必要です」と話している。

次のページへ (2/2) 【写真】クマを撃退した「バイル」、実際の写真
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