「楽園」のような川で魚が大量死 コイ、フナ、ウナギ…前日に“黒い水”の目撃情報 「これは酷すぎます」
穏やかな川の流れに、突然訪れた異変。和歌山・海南市を流れる日方(ひかた)川で、魚が大量死しているとの情報がネット上で拡散され、騒然となっている。画像を投稿したけいた(@keita__bass)さんと市の担当者に話を聞いた。

「コイやザリガニまで死ぬって尋常ではない」
穏やかな川の流れに、突然訪れた異変。和歌山・海南市を流れる日方(ひかた)川で、魚が大量死しているとの情報がネット上で拡散され、騒然となっている。画像を投稿したけいた(@keita__bass)さんと市の担当者に話を聞いた。
「先日、めちゃくちゃバスが釣れた川へ久しぶりに釣りに行くとめちゃくちゃ悲惨な状況になってて とある区間から下流が魚全滅。バスだけでなく小魚、コイ、フナ、うなぎも全て死んでました。水質汚染にはかなり強いはずのザリガニまで。市には連絡しましたが原因を調査してくれるのかな…」
10月12日、けいたさんがXに投稿すると、「これは酷すぎますね」「胸が痛いです」「目に見える範囲でこれだから、川底の石とかの隙間にも小魚が、ひっくり返してんだろうな」「コイやザリガニまで死ぬって尋常ではない」「鯉も死ぬってことは余程の汚染か酸欠かしかないよなぁ」「絶対原因突き止めないとダメなヤツ」と驚きと懸念の声が相次いだ。
釣り人にとって、川は憩いの場であり、自然との触れ合いの場でもある。魚が豊富に生息する川は、地域の貴重な財産だ。その環境が突然、失われた。
けいたさんが異変に気付いたのは、スーパーのオークワ海南幡川店付近の川だった。
「1か月ほど前は普通の割ときれいな小川という感じで、魚もすごく豊富な良い川でした」
けいたさんはYouTubeで釣りの様子を投稿していた。「【釣り人を見た事が無い川】でバス釣りしてみたら夢のような楽園を見つけてしまった」とタイトルをつけるほど、自身も驚く釣果だった。
ところが、10月12日に訪れた際、目にしたのは想像を絶する光景だった。魚の腐敗臭が漂い、普段は透明度の高い川が、ヘドロのようなネズミ色に変色していた。
ブラックバスだけでなく、小魚、コイ、フナ、ウナギまで、あらゆる魚種が死んでいた。さらに、水質汚染に強いとされるザリガニまでもが犠牲になっていた。
近隣住民に話を聞くと、11日に“真っ黒い水”が流れており、すでに魚は死んでいたという。
「関心を持ってくれる人が一人でも多く増えて、大きな話題になれば確実に市も動いてくれるのでは?と思い、動画も投稿しました」
投稿は反響を呼び、環境問題への関心の高さを示した。
魚はなぜ大量死したのだろうか。

直前にため池放流も…「関連は不明」
ENCOUNTが海南市の建設課に問い合わせると、魚は確認できる範囲で約1キロにわたり死んでいた。死がいはすでに県の担当者が回収済みだという。
また、原因については、現場近くのため池を放流したことの影響を挙げたが、「関連は不明」とした。魚の死がいは放流のあった場所から下流に集中しているためで、保健所がため池の水質調査を行っていると話した。このため池は市が管理しており、ため池放流により、魚が酸欠になった可能性もあるという。
川の環境は一度破壊されると、元の状態に戻るまでには長い年月を要する。魚が戻り、生態系が回復するには、水質の改善だけでなく、食物連鎖の再構築も必要だ。けいたさんは1日も早い原因の究明を願っている。
