20代で銀行退職、人里離れた山奥へ…「ネットがなければ絶対病んでる」資産1000万円“無職男性”の選択
慌ただしい都会の生活に嫌気が差し、人里離れた山奥の古民家へ……。多くの現代人が一度は夢見る憧れの田舎暮らしを20代で実現した男性がいる。しかし、その実態は苦労も多いようで……。4年前に銀行員を退職、大阪北部の山の中で生活する男性に、田舎暮らしのメリットと現実を聞いた。

勤務先の銀行を退職し、最寄り駅から徒歩5時間という山奥の古民家へ移り住む
慌ただしい都会の生活に嫌気が差し、人里離れた山奥の古民家へ……。多くの現代人が一度は夢見る憧れの田舎暮らしを20代で実現した男性がいる。しかし、その実態は苦労も多いようで……。4年前に銀行員を退職、大阪北部の山の中で生活する男性に、田舎暮らしのメリットと現実を聞いた。
「人里離れた山奥の古民家で、お昼寝をしたり、焚火をしたりしながら、ゆっくり暮らしています。ストレスのない世界を目指して」
“持続可能な無職”をコンセプトに、SNSで古民家暮らしを発信しているのは、現在32歳という無職さん(@100dayretire)。4年前に勤務先の地方銀行を退職、大阪・梅田の1LDKを引き払い、最寄り駅から徒歩5時間という山奥の古民家へ移り住んだ異色の経歴の持ち主だ。
「銀行を退職したのは新卒から6年目、28歳のときです。理由はうつ病になったからでも宝くじに当たったからでもなく、これ以上ここにいても得られるものがないと思ったから。貯金もそれなりにあったので、しばらくは何とかなるかなとノープランで辞めたんですが、家賃の出費が予想以上に大きく、とにかく固定費のかからないところに引っ越そうと家探しを始めました」
空き家バンクや不動産屋をあたり、「一番安かったから」という理由で大阪北部の集落にある築120年以上の古民家を第一候補に。物件の持ち主と交渉し、家屋の掃除や修繕を請け負うことを条件に家賃0円での生活を実現した。一見すると憧れのスローライフを満喫しているように感じるが、実際には投資に失敗して1年間に500万円の損失を出したり、過酷な住環境に翻弄されたりと、波瀾万丈の毎日だ。
「25畳の平屋で、別棟にもう2部屋、風呂とトイレは一度外に出た離れにあります。バスはだいたい2時間に1本で、1日に4~5本程度。今の時代、パソコンがあれば何でもできるので交通の便は苦ではありませんが、しんどいのは野生動物と冬の寒さ。サワガニ、ヘビ、アライグマなんかは家の中でも普通に出ますし、冬はこたつと石油ストーブが手放せません。
山暮らしというと、人間関係に疲れて孤独を求め、畑を耕して自給自足……というイメージを持たれるかもしれませんが、自分の場合はただ家賃を下げたかっただけで、田舎暮らしへの憧れみたいなのは全然ない。ネット環境は万全ですし、土日に友達を呼んでバーベキューしたり、ネットフリックスを見たり、昼寝をしたりして過ごしてます。SNSがあるので孤独感はないですが、もしこれがなければ絶対病んでるだろうなーとは思います」
少額ではあるが借金もある一方で、仮想通貨や不動産などを複数所有し、純資産は1000万円以上になるという無職さん。なぜ過酷な山暮らしを続けるのか。
「家賃という固定費を払いたくないというのが一番ですね。普通のサラリーマンが月収20万円で、家賃で8万円が出ていくってどう考えてもデカすぎるじゃないですか。固定費を抑えれば、がむしゃらに働かなくても生きていくことは可能なんじゃないかなと。ただ、自分でやってみた感想として、人には絶対におすすめしません。体力やコミュニケーション能力などのバイタリティーは都会暮らしよりもずっと求められますし、ぶっちゃけ無職の方が普通に働くよりも社会人力がいると思います。最初は『100日後に辞める銀行員』、退職してからは『持続可能な無職』をコンセプトに発信してきましたが、今は『無職は大変、働いた方が楽』ということが投稿の中心ですね」
私生活では婚活で知り合った同い年の女性と交際中で、来年には入籍も予定しているという。今後の生活は不透明なところもあるものの、当面のところ引っ越しをする予定はないそうだ。
「おそらく、籍を入れても別居婚になると思います。お互いに話し合って決めました。あと、いずれはヤギを飼いたくて、そうするとこの場所に住み続けざるを得ない。僕は山に、彼女は街に暮らして、ときどき会いに行く、もののけ姫のラストシーンような生活になるんじゃないでしょうか」
令和の時代、働き方も結婚観も考え方は人それぞれだ。一見すると、風変わりにも思える山奥での暮らしが、生き方に正解のない時代のヒントをくれるかもしれない。
あなたの“気になる”を教えてください