今年結婚30年を迎えた唐沢寿明「この年まで一緒にいたんだな」 妻の山口智子に対する尊敬の念

俳優・唐沢寿明が主演するテレビ東京系連続ドラマ『コーチ』(10月17日スタート、金曜午後9時)。警察小説のドラマ化で、唐沢は悩める若手刑事に助言する警視庁人事二課の向井光太郎役を演じる。実は脚本の執筆前から企画に関わっていたといい、そこには、“ある思い“があった。役者・唐沢に迫ったインタビューPart2は本作へのこだわり、そして、妻・山口智子について聞いた。

テレ東系連続ドラマ『コーチ』主演の唐沢寿明【写真:(C)「コーチ」製作委員会】
テレ東系連続ドラマ『コーチ』主演の唐沢寿明【写真:(C)「コーチ」製作委員会】

脚本ができる前から企画に参加

 俳優・唐沢寿明が主演するテレビ東京系連続ドラマ『コーチ』(10月17日スタート、金曜午後9時)。警察小説のドラマ化で、唐沢は悩める若手刑事に助言する警視庁人事二課の向井光太郎役を演じる。実は脚本の執筆前から企画に関わっていたといい、そこには、“ある思い“があった。役者・唐沢に迫ったインタビューPart2は本作へのこだわり、そして、妻・山口智子について聞いた。(取材・文=鍬田美穂)

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 ベストセラー作家・堂場瞬一氏の同名警察小説が原作の本作は、唐沢扮する向井が若手刑事らに“コーチ”することで、彼らが仕事のみならず人としても成長する姿を描く。唐沢は、「スポーツ根性ドラマ、いわゆる“スポ根”ものみたいな単純な内容じゃなくて、人間ドラマがしっかり入っている」と、新たな切り口の刑事ドラマとアピールする。

「例えば、僕が全員を引っ張って事件を解決するパターンは山ほどあると思うけど、そういうのは(視聴者が)飽きちゃうんですよね。時代は変わっているし、同じやり方(ストーリー)じゃダメなんですよ。工夫したり、いろんなことを考えたりしなきゃいけない」

 そう話すと、主演として役を演じるだけでなく、脚本ができる前段階から企画に参加していたことを明かした。

「監督と脚本のこととかも相当話し合いました。いい作品にするために。初めて観る人は、なんかちょっと不思議な感覚になるでしょうね。だけど中身はしっかりしている。脚本がすべてですから。作品が面白ければ必ず見る人がいるし、それを信じて作っていくだけです」

謎の男・向井光太郎として街に溶け込む唐沢【写真:(C)「コーチ」製作委員会】
謎の男・向井光太郎として街に溶け込む唐沢【写真:(C)「コーチ」製作委員会】

キャリアを重ねたからこその懸念

 スラスラと言葉を紡ぐ姿に作品への愛情を感じさせる。さらに、「今までの刑事ものとは違うテイストだと思いますね。ちょっと大人っぽくいて、いい話ですよ。華々しくはないけどね、『わぁいい話だな』って。そういう(脚)本です。観ていたらハマると思います」と自信を見せた。

 一方で、このほど、ドラマのメインビジュアルとして、唐沢の白髪にヒゲを蓄えた眼鏡姿が公開された。役の向井は、“冴えないおじさん”という設定だが、本人は楽しんでいる様子だ。

「エンターテイメントだから、ちょっと作らせていただきました。リアルだったら、いないですよ、こういう人は。でも、このまま眼鏡かけて外歩いていても、誰も気づかないんですよ。だから、結構、成功しているのかもしれないなって思う。ロケをやっていても、誰も(唐沢だと)分からないし」

 周囲の反応に確かな手応えを感じているようだ。俳優としては飽くなき追求もある。

「いろんな役を振ってくれるのは、ありがたいと思いますよね。風体を変えるだけでもダメだし、役のその人に見えなきゃいけないわけじゃないですか。俳優って、そういうのを真剣に考えたりするのが楽しいですよね。例え、かっこ良くなくても、そこに感動があればいいわけでしょう。喜怒哀楽を表現し、役になりきるしかないと思いますね。それが楽しいんですもん。それが上手くいったか、失敗したかっていうところはすごい気になりますけど」

 もっともキャリアを重ねたことで、周囲から注意されなくなることへの懸念があるという。

「なんか出過ぎたかなとか、自己主張しすぎたかなとか、何事もやりすぎちゃうとマズイかなって。作品によっては、やりすぎちゃうので(笑)。コメディーとか、“何でもいいんじゃないか”と思っちゃうわけですよ。でも何をやっても怒られない世代になって、それが裏目に出るときもあって……。もう周りが、あまり言ってくれなくなりますから、だから自分で、戒めるようにしています」

結婚30周年の妻・山口智子の存在

 そんな唐沢の同世代といえば、妻で俳優・山口智子の存在も気になってくる。唐沢と同じく着実に実績を積んでいるが、互いに気づかされることなど、影響を受けることはないのかと聞くと「そういうことは、ないですね」と明言する。

「仕事に限らず、それぞれが自分の考えをすごくしっかり持っているんですよ。だから相手に対して、お互いに『これをこうした方がいい』と言うことはないんです。影響を与えることはないけれど、お互いに年齢を重ねてきて、ふと見ると『年をくったな』と思うことはあります。もちろんその分、自分も年を取っているわけで『この年まで一緒にいたんだな……』と感慨深いものがありますね」

 それぞれが違う感覚を持っているからこそ、相手のすごさも実感している。

「彼女も自分にないものを僕に見ていることがあると思うし、僕も彼女に対して、そう思うことがあります。すごいなあと感じるのは『山口智子』で、お金になる人だということ(笑)。演技や何かをすることだけを求められる人じゃなくて、どちらかといえば『山口智子』であること――本人の存在だけで成り立ってしまうのが、すごいところだと思います」

 言葉一つひとつに彼女への尊敬の念が伝わってくる。今年で結婚30周年。妻への愛情は今も変わらない。

□唐沢寿明(からさわ・としあき) 1963年6月3日生まれ。東京都出身。80年から自主公演などを行い、87年に舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』で本格デビュー。その後も舞台やドラマ、映画などで活躍。主な出演作は、ドラマではフジテレビ系『愛という名のもとに』(92年)、NHK大河ドラマ『利家とまつ』(2002年)、フジテレビ系『白い巨塔』(03~04年)、テレビ東京系『ハラスメントゲーム』(18年)、WOWOW『フィクサー』シリーズ(23年)など多数。映画では『高校教師』(93年)、『20世紀少年』シリーズ3部作(08~09年)ほか。プライベートでは、NHK連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』(88~89年)で共演した俳優の山口智子と95年に結婚し、今年、結婚30周年を迎えた。

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