「乗らないのにおかしい」貴重な愛車、オーナー悩ます妻の一言…拮抗する“相棒歴”「少しでも長く付き合いたい」
愛車は所有者にとってかけがえのない存在だ。しかし、家族の理解を得るのは時に難しい。「乗らないのに持ってるのおかしい」。クルマ好きなら誰もが直面するであろう“究極の選択”について、男性オーナーに詳しい話を聞いた。

【愛車拝見#333】高額な維持費に厳しい視線…
愛車は所有者にとってかけがえのない存在だ。しかし、家族の理解を得るのは時に難しい。「乗らないのに持ってるのおかしい」。クルマ好きなら誰もが直面するであろう“究極の選択”について、男性オーナーに詳しい話を聞いた。
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男性が所有するのは、1984年式のトヨタ・セリカXX。購入したのは1994年で、すでに30年以上の付き合いになる。
「前から欲しかったんですけど、10年落ちでちょうど安くなってたんです。それで買いました」
当時から憧れていたが、新車は高額で手が届かなかった。まだ若く、「安月給の」サラリーマン。10年の月日を経て、ようやく手に入れた愛車だった。
決め手は「やっぱり形といい、色といい。ちょうど赤か黒が欲しかったんですけど、赤があったから赤にしました」。
一番気に入っている箇所はフロントグリル。もちろん、エンジンにもほれ込んだ。「2000ccの6気筒っていうのはあんまりないから、そこがよかったですね」と希少さもポイントになった。
実際に運転すると、スペック通りの走りに魅了された。
「やっぱりエンジンが快調で、そんな壊れない。あとは走ってて、やっぱり楽しいかなって。割とスピードも出るし、加速もいいし」。期待は裏切られなかった。
30年以上も乗り続けるには、それなりの苦労もあった。特に悩ましいのが、乗らない期間が続くとエンジンの調子が悪くなることだった。
「3か月とか乗らないと、エンジンが調子悪くなります。プラグは長寿命タイプで、10万キロは大丈夫っていうプラグなんですよ。だけど、まだ1万キロも走ってないんだけど、プラグが1本死んだりしちゃうことがある。不思議なんですよね」
メンテナンス代については、できる限り抑える工夫をしてきた。
「なるべく自分でできる範囲でオイル交換とかはやってます。修理代は部品代がメインで、部品もほとんどないんですけど、たまたま出たやつが年々上がってってるんですよね。だけど出る部品も限られちゃってるから、早めに買っといたほうがよかったなと思います」と振り返る。
遠出はほとんどせず、近場のイベントに参加する程度。「千葉県からあんま出たことない。千葉県とか東京ぐらいです。あんまり出ないですね。ちょっと不安もあるし」
以前は足車も使っていたが、現在はこれだけだ。普段の買い物も自転車で済ませるなど、少しでも長く乗り続けるための努力を惜しまない。
「ガソリンも高いし、駐車場も今有料とかが多い。だからあんまり買い物とかも行かないです」
ほとんど乗らない愛車。しかし、税金や保険など維持費は毎年かかる。そんな状況に、家族からの視線は厳しい。
「(妻からは)『乗らないのに持ってるのおかしい』と言われて。ほとんど乗らないのに持ってて、維持費だけかかるから。もったいないからそろそろやめたほうがいいんじゃないって」
至極もっともな意見である。
しかし、オーナーの答えは揺るがない。
「それも一理あるなと思いますけど、やっぱり趣味というか、自分の好きな車がある。だからそこは、少しでも長く付き合いたい」
将来は「車庫に飾る」乗れなくても手放せない存在
究極の質問をぶつけてみた。
「奥さんとどっちが大事ですか」
オーナーは、少し考えた後、笑みを見せて答えた。
「半々じゃないですか」
連れ添った長さも「同じぐらいかな」。30年以上をともに過ごしてきた愛車は、まさに人生の相棒だった。
将来的にはどうするのだろうか。
「飾って置いとくかもしれないです。車庫に置いて見ながら磨いて眺めてるかもしれないですね」
譲ってもいいという人がいれば譲るかもしれないが、今は分からないという。
クラシックカーを愛する人々にとって、家族の理解は永遠のテーマだ。維持費、保管場所、そして「乗らないのに持っている」という矛盾。それでも手放せない理由は、単なる移動手段を超えた、かけがえのない存在だからだろう。
「壊れたり事故が起こらない限りは乗っていきたい」
愛車との人生物語はまだまだ終わらない。
