新幹線“荷物スペース占拠”の外国人、困るベビーカー親子…「共用」で勃発したトラブル…JRの見解とは
新幹線での荷物置き場を巡るトラブルが相次いでいる。子連れの移動でベビーカーを運ぶため、特大荷物スペースつきの座席を予約したところ、同じく予約をしていた外国人がスペースを“占領”、譲り合いにも一切応じることがなかったという投稿がネット上で物議を醸している。限られたスペースで複数の予約が重なったときのルールはどうなっているのか。当事者の女性とJR東海に話を聞いた。

1席分の予約で3席分のスペースを占有、譲り合いにも一切応じず
新幹線での荷物置き場を巡るトラブルが相次いでいる。子連れの移動でベビーカーを運ぶため、特大荷物スペースつきの座席を予約したところ、同じく予約をしていた外国人がスペースを“占領”、譲り合いにも一切応じることがなかったという投稿がネット上で物議を醸している。限られたスペースで複数の予約が重なったときのルールはどうなっているのか。当事者の女性とJR東海に話を聞いた。
「快適に帰れるつもりが、凄く嫌な気分な時間になってしまいました」
先月下旬、SNS上に投稿された新幹線の特大荷物スペースを巡るトラブル。投稿者の女性は0歳の子どもと夫の3人で東海道新幹線に乗車したが、事前に2席分を予約していた特大荷物スペースには大きな自転車が置かれていた。一連の投稿では、1席分の予約でスペースを占有していた外国人女性に、ベビーカーを置かせてもらえないか交渉したものの、無下に断られてしまったというトラブルの一部始終がつづられている。
投稿者と夫は特大荷物スペースのついた新幹線の3列シートのうち、B席とC席を予約。外国人女性はA席のみを予約していた。投稿者が「ベビーカーを置きたいのですが」と話しかけると、外国人女性は日本語で「この席(A席)を予約しているのでここを使っている」「荷物はどかさない」「終点まですぐでしょう」と座ったまま迷惑そうに言われたという。
夫婦は「我々もこの席を予約している」「BC席の後ろは我々のスペースのはず」「ベビーカーを置きたい」「あなたが使えるのはA席後ろのスペースだけ」と説明したが、外国人女性は「喧嘩(けんか)をしてこないでください」と無視を決め込む始末。たまらず車掌を呼ぶも、荷物をどかす気はないの一点張りで、車掌も仕方なく、夫婦に対してベビーカーをデッキに置くよう求めてきたという。
投稿の中で女性は「我々が譲歩して不便さを被るの変では? と思い車掌さんには申し訳ないけど納得はできなかった」と不服な思いを吐露。その後、あらためて車掌にルールを確認したところ、「特大荷物スペース付き座席は席を予約した3人で3席分のスペースを譲り合って使う共有スペースであり、先方もルール違反をしたわけでもない」との説明があった。女性は「みんなに思いやりがあることを前提にしたルールだが、相手がそのルールの穴をつけば今回のように先に置いたもの勝ちにもなってしまう」「このルール自体がどうかと思った」と自身の考えをつづっている。
投稿には2000件の“いいね”を超える反響が。「これなら早いもん勝ちじゃん」「外国人に日本人の常識は通用しません」「性善説では馬鹿をみるだけ」「『譲り合い』なんて曖昧なルールは、外国人には通用しない」「モヤっとするルール」など、さまざまな反応が寄せられている。
外国人女性も事前にみどりの窓口で確認をしており、ルール違反がなかったことを主張
投稿者の女性は、取材に「地元の静岡県内の駅から東京駅まで、こだまで数十分の移動でした。相手の外国人女性は席から立つこともなく、車掌さんが来てからも予約をしているの一点張り。らちが明かず、車掌さんも譲歩をお願いしてきましたが、我々が折れるのはおかしい、他の人から見たら我々が置いてはいけない場所にベビーカーを置く『子持ち様』になりかねない、子育て世代に逆風が吹いている現状でそれはできないと思いました」と当時の心境を振り返る。
話し合いでは、外国人女性も事前にみどりの窓口でルールを確認しており、ルール違反がなかったことを主張。日本には20年ほど住んでおり、これまでももめ事になったことはないとし、「ルールが悪い」という結論に至ったという。結局、最終的に夫の提案で夫婦が座席を移動することになったものの、座席を移動したのは新幹線が新横浜に着くころで、その後も女性はぐずった子どもをあやすため、結局デッキで座れない時間を過ごした。
一連の出来事について、ENCOUNTがJR東海に質問状を送ったところ、文書で回答があった。
それによると、特大荷物とは「荷物の3辺の合計が160cmを超え、250cm以内のもの」を指し、特大荷物を車内に持ち込む場合、特大荷物スペースとセットになった特定の指定席を事前に予約することで車内に置場を確保できるという。ちなみに、楽器やベビーカー、スポーツ用品等は、特大荷物の対象外になるものの、座席近くや荷物棚に置くことが難しい場合には特大荷物スペースつき座席を事前に予約することで利用できるとしている。
回答では「特大荷物スペースは、ご予約されたお客様でスペースを共用していただくため、お客様同士で譲り合ってご利用いただくようお願いいたします。お困りの際は、お近くの乗務員までお知らせください」「特大荷物スペースに持ち主不明の荷物が置いてあった場合やお困りの際は、荷物にお手を触れることなく、お近くの乗務員までお知らせください」と利用に際しての注意点を明記。特大荷物スペースは予約した乗客同士で譲り合って使うことが前提となっており、1席分の予約で1席分のみのスペースしか使えないわけではないという。
なお、特大荷物スペースを確保するため1人で複数の座席を予約するなどの行為については「出来る限り多くのお客様に等しくご利用機会を提供するため、1人のお客様が利用できるのは1席だけである旨をJR旅客6社共通の運送約款である旅客営業規則に定めております」としている。
