ゲームにおける“オフライン開催”の意義 『シャドバWB』大型大会で再認識した、独特の体験と空気感
次世代スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』(iOS / Android / PC)の大型オフライン大会「RAGE Shadowverse JAPAN CHAMPIONSHIP2025」が、9月20日と21日に東京ビッグサイトで開催された。『シャドバWB』の世界大会にもつながる戦いとなっている。

「RAGE Shadowverse JAPAN CHAMPIONSHIP2025」が9月20日と21日に開催
次世代スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』(iOS / Android / PC)の大型オフライン大会「RAGE Shadowverse JAPAN CHAMPIONSHIP2025」が、9月20日と21日に東京ビッグサイトで開催された。『シャドバWB』の世界大会にもつながる戦いとなっている。
結論から言うと、実は筆者も参加登録していたのだが、大会に出場することはできなかった。グループAのリザーバー当選(当選者の欠場があった際に出場できる枠)となっていたため、20日に選手として現地へ。参加者数的には繰り上げ当選となりそうだったが、当日のAグループはシステムの混乱などもあり、そのなかで結果的に出場できないという事態になってしまった。
前作『Shadowverse』時代から「RAGE」に連続出場してきた一人のプレイヤーとしては残念な出来事だったが、すでにXやnoteなどでかなり議論し尽くされた話題でもあるため、本稿では置いておく。ここでトピックとしたいのは、「オンラインゲームをオフラインで楽しむこと」の意義についてだ。
20日に選手登録ができなかったことを受け、21日に開催されるサイドイベント『もこかもチャレンジ!ガチで100万とりにいく大会(ガチ100)』に登録した。賞金のある大会であることに加え、せっかくなら『シャドバWB』でオフラインの対戦と交流を楽しみたかったからだ。こちらの抽選では無事当選し、参加することとなった。
21日のイベントでもチェックイン時間の変更などがあったものの、特に問題なく受付完了。指定された席に座って試合の組み合わせを待つことになったのだが、そこで横に座った参加者と会話する機会に恵まれた。
聞くと、大型オフライン大会(厳密にはサイドイベントだが)に参加するのは初とのこと。思いのほか多い参加者数、大会開始を待つ独特の雰囲気に緊張している様子だったが、なにより「目の前の相手と対戦する」ということへの期待感にあふれており、眩しささえ感じるほどだった。
先述のように筆者は前作『Shadowverse』の大会にはかなり慣れており、1回1回の参加に“特別さ”を見いだすことはなくなっていたなかで、新しい挑戦に目を輝かせる姿勢には新鮮さを感じると同時に、様々なゲーム体験のなかでオフライン大会が持つ意義についても考えさせられた。

オフライン大会にある“夢”
『シャドバWB』に限らず、競技性のあるゲームは基本的にオンラインで対戦が可能となっている。世界中の誰とでも、いつでも対戦ができることが面白さにつながっており、対戦相手に困ることはない。極論を言えば自宅から一切出ることなく、最強を目指すこともできる。
それでも今回の「RAGE Shadowverse JAPAN CHAMPIONSHIP2025」は定員オーバーとなるほどの応募があり、筆者の観測範囲だけでもオフライン開催だからこそ楽しみにしているプレイヤーは多かった。それだけの“プラスα”の価値が、オフライン大会にはあるということだ。
相手の一挙一動が見える状態での対戦、試合終了後の“感想戦”、同じゲームをプレイする仲間たちであふれる空間……。オフライン大会のどこに価値を見いだすのかは人それぞれだが、そのどれもが一度体験すると次回が楽しみになる、ちょっとした中毒性のあるものだ。逆に言うと、体験するまではオンラインでの対戦だけで満足できるのも事実。特に近隣でオフライン大会が開催されていないプレイヤーにとってはハードルが高いという面もあるだろう。
一つ言えるのは、これだけ幅広い層のプレイヤーにオフライン大会(特に大型のもの)の機会を与えてくれるのは、旧作から続く『シャドバWB』の特徴だということ。他ジャンルの対戦ゲームを見ても、これだけ大規模でハードルの低いオフライン大会は珍しい。『シャドバWB』はスマホ一つで誰でもオフライン大会に参加でき、自信のあるデッキとともにいきなり勝ち上がることも夢物語ではない。文字どおり、そこには“夢”がある。
思い返せば、かつて「アルティメットコロシアム」期に初めてオフライン大会に参加し、そのときも試合開始の遅れなどはあったが、(シード等はあるにせよ)会場のほぼ全員が横一線でスタートして競い合う楽しさ、しのぎを削った相手と試合展開について議論できることに感動した記憶がある。その体験があるからこそ、ゲームへのモチベーションが長く続いていると言ってもいい。
オフライン大会はどうしてもオンライン大会よりも手間がかかるし、「RAGE Shadowverse JAPAN CHAMPIONSHIP2025」のようなトラブルが発生する可能性も否定できず、参加に二の足を踏む心理も理解できる。ただ、素直な願いとして、『ガチ100』で隣り合ったプレイヤーがオフラインの空気感に触れて感じた高揚感を、一人でも多くのプレイヤーに体験してほしい。そうしたプレイヤーが増え、それぞれがゲームの新しい楽しさを発見し、コミュニティの活性化にもつながっていくことこそが、本当の意味での“オフライン開催の意義”なのではないだろうか。
