尾上右近、重たい歌舞伎衣装の過酷さ明かす「メンタル、フィジカルがバシバシに鍛えられる」
歌舞伎俳優の尾上右近が30日、東京・中央区の歌舞伎座ホールで行われた特別展「This is KABUKI 体験!『義経千本桜』が誘う歌舞伎の世界」(10月1日~11月16日まで)の内覧会に出席した。

「一生登れないかも」と途方に暮れた過去も…日々の稽古で得た“喜び”を語る
歌舞伎俳優の尾上右近が30日、東京・中央区の歌舞伎座ホールで行われた特別展「This is KABUKI 体験!『義経千本桜』が誘う歌舞伎の世界」(10月1日~11月16日まで)の内覧会に出席した。
BMW、ベンツにプジョー…人気女優の“多国籍”な歴代愛車(JAF Mate Onlineへ)
歌舞伎座では10月1日から、松竹創業百三十周年『錦秋十月大歌舞伎』通し狂言『義経千本桜』がスタートする。松竹では創業130周年を記念し、『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』の三大名作を、30年ぶりに通しで上演する試みを企画。すでに3月(仮名手本忠臣蔵)と9月(菅原伝授手習鑑)に上演し、『義経千本桜』が掉尾(とうび)を飾る。『義経千本桜』を歌舞伎座で通し上演するのは2013年以来12年ぶり。同作は、兄・源頼朝から謀反の疑いをかけられ悲劇的な運命をたどる義経と、滅んだはずの平家の武将たちが実は生き延びていたという着想を絡ませた壮大な歴史ロマン。10月はAプロ・Bプロと配役を替えた三部制で、右近はAプロ『吉野山』で清元の立唄を清元栄寿太夫として勤め、Bプロでは『鳥居前』『吉野山』『川連法眼館』の狐忠信を演じる。
「This is KABUKI 体験!『義経千本桜』が誘う歌舞伎の世界」は『義経千本桜』の通し上演に合わせ、大道具、衣裳、小道具を体験型の展示で紹介する。オープンを前に内覧会に出席した右近は、実際に歌舞伎の歴史が書かれたパネルや、『義経千本桜』の衣装や小道具などを観賞。「僕が子どもの時にこういう展示があったら、楽しくてしょうがなかったんじゃないかな」と笑顔を見せ、「衣裳や小道具、鬘。そういうものからその演目の香りがしますので。僕も扮装してお稽古をした時にようやく、その役になれたような気になる。セットが出来上がった舞台に立って、ようやく『この演目を自分が勤めるんだ』ということを強く実感できます」と語った。
特別展について、「ただ力強いだけじゃなく、華やかさや柔らかさ、日本人ならではの情や香りというものを、世界観にひたりながら間近で感じることができる空間」と説明し、「舞台をご覧いただいた方は、ぜひまたそれを体感するという意味で、この空間を楽しんでいただきたい。逆にお芝居の知識が全然なくても、この空間から先に入って、『こういう衣裳やセット、物語、小道具で役者さんが演じるんだ』と想像を膨らませていただいてから(舞台を)ご覧いただく。どちらが先でも十分楽しんでいただけると思います」とアピールした。
展示には自身が演じる狐忠信の衣装も含め、重たく厚い衣装や小道具が並ぶ。「若手のうちは初めての経験がほとんど続くので、毎回、『こんなに重いのか』『こんなに大変なのか』とびっくりしますね」と衣装を着る大変さを明かし、「本当にメンタル、フィジカルがバシバシにに鍛えられます」と語った。さらに、「何かを習得するための一段は途方もなく高くて、最初のうちはどうやっても登れないんです。『これは一生登れないのかもしれない』と思う時があって、途方に暮れる」と乗り越える大変さも。
しかし継続し稽古を続けることで、「ある時に『あれ、これ登れたかもしれない』と思う時があって、時が経つと登れていることに気がついた」という。「登るためには途方もなく時間かかるんですけど、1回登れたらそれは当たり前になるので、人間の慣習、習慣というものはすごいことですよね。だから、慣れて自分のものになっていくということも、舞台を経験していく上での喜びのひとつです」と、日々の稽古や継続の大事さを語った。
明日10月1日からは『義経千本桜』に出演。「この座組の中にいる歌舞伎俳優たちによる、熱い熱い『義経千本桜』の世界観を存分に楽しんでいただきたいです」と語り、「僕は音楽面でも役者面でも、今回の『義経千本桜』にしっかり力を注ぐことができる舞台をご用意いただいたので、存分にやらせていただきたい。歌舞伎座の通し狂言の『義経千本桜』の魅力とはどういうものなのか。もう30代半ばに差しかかる世代ですので、しっかり大人の説得力を持って挑みたいなと思っています」と意気込んだ。
