【ばけばけ】トキ演じる高石あかりの魅力 大の字シーンには「細かい技術が込められている」

俳優・高石あかりがヒロイン・松野トキを、トミー・バストウがレフカダ・ヘブンを演じるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(月~土曜午前8時)。制作統括・橋爪國臣氏と演出・村橋直樹氏が取材に応じ、見合いの直後に縁側で大の字になるトキを演じるなど、大胆でのびやかな演技を見せる高石の魅力を語った。また、第6回から登場している雨清水三之丞役の板垣李光人や第9回から登場したトキの見合い相手・山根銀二郎を演じる寛一郎の魅力も紹介した。

松野トキを演じる高石あかり【写真:(C)NHK】
松野トキを演じる高石あかり【写真:(C)NHK】

カツラの問題で動きに“制限”

 俳優・高石あかりがヒロイン・松野トキを、トミー・バストウがレフカダ・ヘブンを演じるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(月~土曜午前8時)。制作統括・橋爪國臣氏と演出・村橋直樹氏が取材に応じ、見合いの直後に縁側で大の字になるトキを演じるなど、大胆でのびやかな演技を見せる高石の魅力を語った。また、第6回から登場している雨清水三之丞役の板垣李光人や第9回から登場したトキの見合い相手・山根銀二郎を演じる寛一郎の魅力も紹介した。

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 まずは印象的だった第8回の見合い後のトキの大の字のシーンの演出について尋ねた。

 村橋氏「高石さんには自由にやってくださいとしか現場で言っていません。ただ大の字になったシーンは、実はカツラの問題があって自由にやれませんでした。カツラがあると大の字になれないんです。倒れるためにカツラ(頭部)を縁側までもっていくという細かい技術が込められています(笑)。うまく体をこなしてそこまで持っていっている状態。でもそれを感じさせない、感情がバーンと出た時のお芝居は高石さんならではと思います」

 元気で明るいトキと高石がシンクロしていると感じることはあるだろうか。

 村橋氏「高石さんには高石さんのままやってくださいと言っています。出演者の皆さんは、どうしても時代劇を意識して現場に入りますが、ご自分の部分を使った芝居が現代ぽく聞こえたとしても、そこはちゃんと映像的に担保するから安心してくださいと言っています。高石さんは自分で『トキと私は同じです』と言っています。当て書きしているわけではありません。高石さんの共感力だと感じます。役になりきるというより、自分の中にある同じ部分を使って演じていると思います。なので、現場ではそのまま高石さんにある部分を殺さないように芝居をしてもらっています」

 続いて第6回から登場している板垣李光人の起用理由を聞いた。高貴な雰囲気が漂う雨清水家の三男・三之丞を演じており、両親は堤真一、北川景子が演じている。

 橋爪氏「あの家族だけちょっと違う色を出さないといけない中、ふたりの三男坊として演じられる人は本当に少ないと思います。板垣さんは役者さんとして本当に稀有な存在。何も期待されていない中で何とか生きていかねばならない。でも、どうしていいか何も分からない人物を演じるのは板垣さんが力を出せるところ。北川さんと堤さんから生まれた子として納得できるような雰囲気を持っている方。また、三之丞は1人だけみんなと違う方向を向いて生きている特異なキャラクター。板垣さんが演じるとグッと胸にきます。泣けます。また、板垣さんは何か運命を背負っていないとこうは見えないでしょ、というような特異な存在の方。でもその中で人間としての揺れを感じ取れる。それはまさに三之丞」

マゲ落とした司之介を演じる岡部たかし【写真:(C)NHK】
マゲ落とした司之介を演じる岡部たかし【写真:(C)NHK】

トキの父・司之介を演じる岡部たかしは「陰の演出家です」

 トキの2人目の見合い相手・山根銀二郎を演じる寛一郎の魅力はどうだろう。

 橋爪氏「実直で嫌味にならない、皆が好きになれる銀二郎を演じられる方をと思って寛一郎さんにお願いしました。銀二郎を皆好きになると思います」

 村橋氏「時代劇に登場する人物は現代人からみるとちょっと異常ですよね。現代人は子どもの頃からいろんな取捨選択をして生きていますが、時代劇に登場する昔の人は選択肢のない中、決められた価値観の中で生きてきた人が多いと思います。ある意味、まっすぐで純朴。それを現代人で表現できる人は本当に少ない。寛一郎さんは本当に、平安時代でも奈良時代でも戦国時代にいってもどの時代でもその時代の人に思える真っすぐさ、純朴さがにおいたっています」

 第9回ではトキの父・司之介(岡部たかし)が結っていたまげを切り落とし、まるで落ち武者のようなヘアスタイルとなった。岡部の魅力と舞台裏も気になる。

 村橋氏「岡部さんはおどけている役ですが、おどけないから面白いんです。司之介は真剣にあの髪形がカッコいいと思っているし、散切り頭もこれが普通だと思ってやっているし、彼なりにおしゃれで、いいと思ってやっているんです。それが『こんな格好で毎度ばかばかしく登場しています。岡部です』というお芝居になると全く笑えなくなります。切実にその時代を生きている人が真剣にカッコいいと思ってやっていることとして演じ、それがズレているから笑えるんです。岡部さんはそこを体現できる数少ない役者さん。また、ふじきさんの台本はそういう性質。全員が本気で真剣に生きているから、ズレみたいなことが面白くなる。岡部さんはふじきさんと劇団で一緒にやっていたこともあって、それを体現してくれるので、他のキャストの皆さんには岡部さんを見てくださいと言っています。岡部さんは陰の演出家です」

 橋爪氏「髪形について言いますと、当時(明治初期)、結っていたマゲを切り落とすと、頭を剃っているからあの状態になります。時代劇では散切りや時間がたって伸びたことにすることが多いですが、史実では落ち武者スタイルの人が恥ずかしいからと帽子をかぶったとか、髪が全部伸びるのを待ってから切った人がいたそうです。落ち武者状態も面白そうだと思ってやってみました」

 作品は松江の没落士族の娘で、小泉八雲の妻・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描くオリジナルストーリー。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

※高石あかりの「高」の正式表記ははしごだか

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