三代目三遊亭百生が誕生 師匠は好楽、“幻の師匠”は林家たい平で「幸せな襲名」

61年ぶりに落語界に復活する大名跡、三遊亭百生(さんゆうてい・ひゃくしょう=56)が25日、都内で会見し、「昭和百年、ラジオ放送も百年の年に襲名できるのは何かのめぐりあわせ」と“百尽くし”の襲名披露&真打ち昇進に感無量の表情。左では師匠の三遊亭好楽(79)、右では“幻の師匠”の林家たい平(60)が見守る中、好楽は「彼はたい平と私、2人の師匠を持っている。幸せな襲名だと思います」としみじみ伝えた。

会見に出席した三遊亭百生【写真:ENCOUNT編集部】
会見に出席した三遊亭百生【写真:ENCOUNT編集部】

昭和百年、ラジオ放送百年に“百尽くし”の襲名「両師匠の気配りを受け継ぎたい」

 61年ぶりに落語界に復活する大名跡、三遊亭百生(さんゆうてい・ひゃくしょう=56)が25日、都内で会見し、「昭和百年、ラジオ放送も百年の年に襲名できるのは何かのめぐりあわせ」と“百尽くし”の襲名披露&真打ち昇進に感無量の表情。左では師匠の三遊亭好楽(79)、右では“幻の師匠”の林家たい平(60)が見守る中、好楽は「彼はたい平と私、2人の師匠を持っている。幸せな襲名だと思います」としみじみ伝えた。(取材・文=渡邉寧久)

BMW、ベンツにプジョー…人気女優の“多国籍”な歴代愛車(JAF Mate Onlineへ)

 なぜ、たい平が“幻の師匠”なのか。たい平自身が謎解きをした。

 2009年7月のこと。「ニッポン放送を出たら、おじさんが自転車で待っていて、声をかけられた。落語家になりたいと。まっすぐな目だったので、近所のカフェに行っていろんな話をしました。僕が45歳で、彼が40歳。僕の方が若々しく見えるし、これはどうしたもんだと思ったんです、さんざん悩みました」と第一印象を回想。

 縁を感じたたい平は、5歳年下を見習いとして一番弟子に迎え、厳しくしつけたが、異変が発生した。正式入門する直前、たい平が所属する落語協会が「入門年齢は30歳まで」と年齢制限を決定。「2人で途方に暮れて、ただただ途方に暮れて。僕には変える力がないんだ」と申し訳なさを伝えたという。

 たい平の元にいたのは約3か月半。その後、運送会社で助手を務めていたが、落語家への夢が諦めきれず、好楽の扉を叩いた。「好楽師匠に『僕の弟子にしたからね』って言われて、すごく安心しました」(たい平)。前座名は「たい好」。2013年に二ツ目に昇進し「鯛好」。両師匠のなじみの二文字が芸名になった。

 そして今回、大名跡の百生を襲名するまでに成長した。百生は「(たい平師匠には)厳しくいろいろ育てていただいていましたので、厳しい面を受け継いで、師匠好楽は自由にやらせてくれまして、否定されることもなかった。自由になることもプラスになると思い、両方のいいところを引き続ぎながら、三代目百生を出していければと思います」と独自の百生像を思い描く。「両師匠とも気配りという面ではお客さんに対しても、落語家に対してもとってもすごいので見習わないといけないと思う」と気配りのすごさも継承することを誓った。

 百生という名前について、たい平は「熊本の農家さんから聞かされていたのは、百姓は百の手間から収穫物を生み出すんだよ、ということ。彼はこれから自分の芸を百の手間で育てていくと思う」と語り、期待を寄せた。

 五代目円楽一門会の本拠地、両国寄席では10月6日から10日まで、鯛好改め三代目三遊亭百生真打昇進披露興行が行われる。11月15日には、出身地の三重・東員町総合文化センターで、両師匠と“幻の妹弟子”の林家あずみを迎え、真打昇進披露襲名落語会を開催する。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください