800万円ランクル盗難、寝込みを狙われた経営者宅 防犯対策が次々突破され…怒りと恐怖「人ごとではない」

待ちに待った末、ようやく納車された愛車。家族の節目に寄り添ってくれた「相棒」が、無残にも奪われた。愛知・豊橋で、トヨタ・ランドクルーザーの盗難事件が発生した。被害者は、地域に根ざした総合建設会社の経営者。家族全員が就寝中に自宅に駐車していた愛車を強奪されるという犯行で、背筋が凍る思いでいるという。防犯カメラには犯行の様子の一部が残されており、「まず一言、『返してほしい』という気持ちです」と訴えている。

愛知・豊橋で経営者のトヨタ・ランドクルーザーが盗難【写真:本人提供】
愛知・豊橋で経営者のトヨタ・ランドクルーザーが盗難【写真:本人提供】

「生活の一部、大切な家族のような存在でした」

 待ちに待った末、ようやく納車された愛車。家族の節目に寄り添ってくれた「相棒」が、無残にも奪われた。愛知・豊橋で、トヨタ・ランドクルーザーの盗難事件が発生した。被害者は、地域に根ざした総合建設会社の経営者。家族全員が就寝中に自宅に駐車していた愛車を強奪されるという犯行で、背筋が凍る思いでいるという。防犯カメラには犯行の様子の一部が残されており、「まず一言、『返してほしい』という気持ちです」と訴えている。

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 被害者は藤城匡昭(ただあき)さん。愛知・豊橋市に本社を置く老舗の「藤城建設株式会社」の代表取締役で、2018年から経営トップの重責を拝命し、「地域インフラを支える事業を幅広く展開しております」と業務にまい進。バスケットボールBリーグ「三遠ネオフェニックス」のオフィシャルスポンサーを務めている。自身のXアカウント @meitetsu で、「自動車盗難に遭いました 涙」と盗難被害を報告した。

 盗まれたのは、「ランドクルーザー300 ZX ガソリン3.5リッターターボ」。ナンバーは「豊橋301ふ2070」で、ボディーカラーは白だ。

「2021年に発注が可能となり、日頃お世話になっているディーラーの勧めもあって注文いたしました。23年7月に新車で登録・納車されました。2トンを超える車体でありながら力強い加速性能を誇り、まさに『相棒』と呼べる存在でした」。購入価格は約800万円だった。

 まだ乗ったばかりだが、家族にとって特別な1台。「休日には家族旅行で大活躍し、夏は山や海へ、冬は岐阜県の牧歌の里で雪遊びなど、どこへ行っても安心して帰って来られる頼もしい車でした。雪道ではスタックした車両を牽引(けんいん)したこともあり、力強さを実感した場面もあります。また、子どもの卒園式や七五三といった家族の節目にも必ず寄り添ってくれており、生活の一部、大切な家族のような存在でした」。

 豊橋市内の自宅に愛車を止めていたところ、不意に寝込みを狙われた。「盗まれたのは2025年9月10日午前0時45分頃で、2人組と思われる人物が侵入し、0時53分には急加速で走り去りました。セキュリティーについては、ディーラーとも相談して純正標準装備を中心に、日常的にハンドルロックを使用していました。メーカーのスマホで駐車位置などを確認できるサービスにも契約していましたが、盗難時は全く反応せず、走行ログも残りませんでした。純正の指紋認証も設定済みでしたが、それも突破されたようです。現場にはガラス片や破壊された痕跡も残っていませんでした」。入念に準備され、手慣れた人物による犯行がうかがえる。

 藤城さんはつらい中でも事件当日を回想する。「10日の朝6時頃に駐車場を見た時、最初は『車がきれいになってる?』と思ったのですが、次の瞬間に、『いや、車がない』と理解し、頭が真っ白になりました。まさに人間の脳がフリーズする瞬間を体験しました」。防犯カメラには、闇夜に犯人と思われる人影、ランクルが発進していく様子が捉えられている。

 こみ上げる怒りと悲しみ。「人の物を盗むという行為自体、理解できません。きっと他に進む道はあったはずです。愛車がもう戻らないかもしれないと考えると、喪失感と共に強い憤りを覚えます。さらに恐怖を感じるのは、家族全員が自宅で就寝している深夜の出来事だったことです。私自身も仕事の会食から帰宅してわずか1時間後のことでした。もし犯人と鉢合わせていたらと思うと、今でも背筋が凍ります。犯人に伝えたいのは、『どうか出頭してほしい』ということ。そして警察による無事な検挙を心から願っています」と心境を口にする。

自動車メーカーには「盗難手口の進化に対応したセキュリティー強化モデルをぜひ開発していただきたい」

 相次ぐ自動車盗難。社会的な課題解消への取り組みはまったなしだ。藤城さんは「自動車盗難は、人生の楽しみや大切な時間を一瞬で奪う卑劣な犯行です。近年、車の希少化や価格高騰に伴い、ランドクルーザー、アルファード、プリウスなど人気車種の盗難が急増していると報じられています。車購入時の段階で、ディーラーオプションとしてでもいいので、より高性能な社外イモビライザーやセキュリティー機器を標準的に提案していただける体制が必要だと感じます。トヨタをはじめ自動車メーカーの皆様には、盗難手口の進化に対応したセキュリティー強化モデルをぜひ開発・普及していただきたいと強く願います」。防犯対策の向上を提案する。

 そして、「被害者としてお伝えしたいのは、『これは人ごとではない』ということです。ハンドルロックやイモビライザーも、最終的には破られてしまう可能性があります。完全に防ぐのは難しくても、『見える防御』『多層防御』で盗難リスクを下げる努力は不可欠です。また、車内に荷物を置かず、常に整理しておくことも車上荒らしの抑止につながると思います。社会全体として『盗難は身近に起こりうる』と認識することが、まず第一歩だと考えています」と、メッセージを寄せた。

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